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17.テッドはみんなの視線を手に入れた

実技試験会場には多くの人が集まっていた。

どうやら試験時間には間に合ったようだ。

会場の中はすでに筆記試験を突破した子供達で一杯だった。

どうやら俺が筆記試験を受けた部屋は試験会場の内の一つというだけで他にもたくさんの試験会場があったようだ。

でないとこの人数は説明がつかない。

筆記試験合格者の番号を確認するときに気がつかなかったとは俺は余程動揺していたようだ。

「人がいっぱい居ますね。ここの人たちみんな私達のライバルなんですね。」

これからここに居る者同士で戦うのだ。

魔力視を使ってみるがポツポツと魔力の高い者がいる。

さすがに父様やシオン兄さんのような人はいなさそうだけど。

いや油断は禁物だ。俺のように体外に漏れる魔力量を調整している可能性もある。

「そういえばヒカリって戦えるの?」

「一応戦えますよ。これでも村の中では上から数えたほうが早いくらいの強さはあります。」

大人も含めて村の中で上位の実力があるなら大丈夫だろう。

ヒカリの自身を裏付けるかのように力強い魔力を纏っているのが見える。

この会場の中でも上から十指に入る魔力量だろう。

「それなら安心だな。」

ヒカリと話ながら試験開始を待っているとパンパンと手の叩く音が会場に響いた。

「注目!」

こっち世界でも手を叩いて騒いでる人々を黙らせるようだ。

「それではこれから実技試験を始める。番号を呼ばれたらすぐに移動するように、遅れたら負けたことになるぞ。それから使用する武器はあっちにあるものから選べ。早いもの勝ちだからな。」

受験生が一斉に駆け出す。

人ごみはイヤだから俺はゆっくり行こう。

「テッド、何ボーっとしてるの。早く行かないと良い武器は無くなるわよ。」

模擬戦に使う武器に良いも悪いもないと思うのだが。

全部刃引きをされた模擬剣か木製の武器だろうに。

「ホラ、早く。」

ヒカリに急かされるので仕方なく人ゴミの中に突撃する。

全員が一箇所に集まっているのでアチコチでぶつかる。

何とか木剣を手に持って人ごみの中から抜け出す。

俺が使っている木剣ほどではないがかなりの魔力を纏った木剣だ。こんなところにあるのが不可解な武器であるが気にしない。

「テッド、木剣なんてすぐ壊れるわよ。せめて鉄製の武器にしなさい。」

ヒカリは大きなメイスを持って表れた。

魔力視でみたところ俺が手にした木剣ほどではないが通常の鉄を超える魔力を纏っている。

何か特殊な金属でも使っているのだろうか?

「俺はコレが良いんだよ。たぶんヒカリの持ってる武器より上等な武器だと思うよ。」

俺の言葉が信じられないのだろう。

ヒカリは困惑した表情をしている。まぁ俺も普通は木剣が金属の武器より上等とは思わない。

ただここはファンタジー世界。特殊な植物もあるはず、実際の理由は分からんけど纏っている魔力が多いのは間違いない。

「俺の見立てでは特殊な木を使っているはずだよ。」

「テッドが良いなら良いけど。」

一応納得してくれたみたいだ。


「それじゃ、ヒカリ頑張ってきて。」

「テッドもね。」

俺達は二人とも番号を呼ばれたので模擬戦が行われる場所に向かった。

残念、いや寧ろ運が良いのか。ヒカリとは別のグループになれた。

広い会場で二十人ほどのグループが五十組出来ている。

つまり筆記試験を突破したのは約千人と言うことか。

「昨日はありがと。」

集まった人をかき分けて真っ黒が現れた。

どうやら真っ黒は俺と同じグループらしい。

昨日は隣で今日は同じグループ・・・っは!これが運命ってヤツか!

真っ黒って可愛い声をしているし女の子だよな?

ま、まぁ。男でも一生の親友で出会ったら運命の出会いと言っても可笑しくない。

うん、問題ない。

「昨日も行ったけど、気にしなくていいよ。」

「そんなわけにはいかない。君のお蔭で筆記試験を突破できた。」

ホント、俺が気になって仕方なかったからやっただけだから。

「なら、実技試験の勝ちを譲ってくれるのか?」

「それとこれとは別、私も学園に入学したい。」

真っ黒もここに集まっている中では平均以上の魔力を持っているようだ。

普段通りの力を発揮出来れば実技も突破できると思う。

普段の力を知らないけどね。

「それじゃ、お互い頑張らないとな。」

「手心は加えない。」

そう言うと真っ黒は俺から離れていった。



「六百六十六番、テッド・ロック」

オイ!番号と名前両方を読んだら俺が全問正解したヤツだってバレるだろが。

個人情報保護はどうなっているんだ。

案の定、そこかしこで俺のことをコソコソ話している。

クソ、目をつけられたくないのに

ちょっと非難するように試験官を睨んみながらが全くこちらを見てなかった。

「六百二十六番、フレア・ケーノ」

オイオイ、ケーノってケーノ伯爵家のケーノか。

クロード兄さんに聞いた話だと初代が火魔法と土魔法の上級魔法をさらに複合させた溶岩魔法で初代国王と共に古代帝国から独立した立役者じゃないですか。

一体どんな人物なんだろうな。

「・・・あなたが全問正解者。ウソはダメ。」

真っ黒がケーノ家の人間だったとは。

今更ながら真っ黒・・・いやフレア様の名前を知った。

それにウソなんかついたか?

「ウソなんて付いてないはずです。」

とりあえず伯爵家は男爵家に比べたら天上人ですから不興を買わないようにしないと。

「・・・全問解答したのにウソついた。」

それかぁ~。

どう言い訳するべきか。

「すみません、試験のことで頭がいっぱいだったので覚えていません。」

「・・・良い。これで遠慮は無くなった。」

フ~、とりあえず許してもらえた・・・のかな?

魔力量は俺が勝っているけど油断は禁物。

魔力操作による強化は使えないから慎重に行こうか。

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