1.テッドは前世の記憶を手に入れた
どうもみなさんお久しぶりです。
・・・え!お前なんて知らないですって?
愛されキャラで有名なテッド君ですよ?
そもそもそんなモブ系の名前は聞いていても記憶に残らないですって!
俺は人の名前を覚えるのは苦手だけどテッドなんてあからさまな名前は忘れないはず、ハズだ。
・・・そうでした。ここは異世界でした。ならみなさんが知らないのは仕方ないですね。
さて、現実逃避はこのくらいにして今後のためにもそろそろ現実に向かい合おうかと思います。
みなさん心して俺の告白を聞いてください。
どうやら俺は異世界に転生してしまったようです。
そうです。どこにでもある、ありきたりなお話です。
ってンなわけあるか!
異世界ですよ!転生ですよ!そんなのはラノベの中だけの話でしょ!それに俺、神様に会ってないし!だからチート能力ももらってないんだぞ!それにさっきまで家でネット小説読んでいたはずだし!
ハァ、ハァ、ハァ~。
ヒッヒフー、ヒッヒフー。
すいません、あまりのことに取り乱してしまいました。
ネット小説で思い出したけど、死の属性魔法を使うお話や日本にダンジョンでできた話とか色々続きが気になる小説があるんだよなぁ。
まぁ、こんな状況になったからには諦めるしかないんだけどな。
手軽に読めて面白いかったのにハァ残念だ。
話がそれてすいません。謝るからそんなに怒らないでください。
結論を言うと気が付いたら俺は五才児のテッド・ロック君になっていたんです。
なんで自分の年が分かるのかというと不思議と前世の日本の記憶と現世のと言っても全てでは無いがどちらもキチンとあるんですよ。
人格は恐らく前世の俺がメインだと思う。確信があるわけではないけどね~。
んで何でここが地球ではなく異世界と思うかと言うとこの世界いやもしかしたら地球外の惑星かもしれないけど、魔法があるんですよ。魔法!
何でそんなに冷静なんですか!
魔法ですよ、魔法!
魔の法ですよ!
全世界の人が憧れてやまないあの魔法ですよ!
え?そっちでは普通にあるんだからそんな憧れはないだろうって?
・・・確かに!
ってそうじゃなくてそれは前世の全世界の人ってことで・・・・・・。
ああ~、どうしてこの気持ちが伝わらないのか!自分のコミュニケーション力の低さが恨めしい。
この素晴らしい出来事を三日三晩コンコンと説明したいですがそれはお互いのためにならないので止めておきます。
そんなこと良りも今は魔法を習得するのが何よりも大切なことだ。
不思議なことに何となく魔力?を感じることができるんだ。すごいだろ!
「よし!めさせウィザードマスター!!」
すでに天才的な才能により魔力を感じてることは出来ている。
ウィザードマスターの片鱗を三歳児にしてみせているとはやるなテッド。
さて俺の知識チート(ラノベ知識)によると魔力を感じられたら次は魔力の操作だ。
・・・どうやって動かすんだ?
「う、う~ん、ぬぐ、くそ、どりゃ。ハァハァ。ダメだ。」
確かこういうのはイメージが大事だってのが通説だよな。
ってことはまずはイメージ力を鍛えないとダメなのか?
(コンコン、ガチャ)
「テッド、さっきから変な声を出しているけど大丈夫?」
開いたドアの隙間から女性が顔を覗かせる。
「か、母様。大丈夫です。」
あの独り言を聞かれたのか!俺、顔赤くなってないよな。大丈夫だよな。
しかし、自分の母であると分かってはいるがこんな美人がこの世に存在するとは・・・。
それともこれがこの世界の標準なのか?いやさすがにそれはないか。でも希望は持って良いはずだ。
「そう?それならいったい何をしていたの?」
これはチャンスだ!
俺が魔法のことを知ったのも母さんが光の玉を出したのを見たからなんだ。
つまり魔法が使える母さんに聞けば魔力操作のことが分かるはずだ。
「う~んとね。母様みたいに光の玉を出そうと思ったの。」
昨日光の玉をみて俺は興奮していた記憶がある。
その流れでいけば俺が魔法に興味を持つのもごく自然なことだ。
ましてや俺が前世の記憶を思い出したなんて分かるわけがない。
「フフフ、そうなのね。でもまだテッドには無理かな。」
な、なぜじゃ?
年齢制限的なものか?
魔法は危ないから一定年齢にならないと教えられないとか?
「どうして、ねぇどうして僕は魔法が使えないの?」
くっ、記憶が戻った弊害で五歳児の言葉使いがハズい。
しかし、ここでいきなり子供らしくない話し方をしたら不気味だろう。
「そうね、ちゃんと説明しないとダメよね。ところでテッド魔法を使うにはなにが必要か分かる?」
「魔力!」
子供らしく元気いっぱいに答えた。
「そうね、魔力も必要ね。他には?」
う~ん、何だろ?
魔力感知や魔力操作は必要なものって言うよりも技術に近いよな。
呪文は知識の分類だよな。
分からん。
「あ、分かった!魔方陣だ!」
「魔法陣って言うのが何か分からないけど違うわ。正解は魔法系のスキルよ。」
シマッタ!
魔法陣は無いのか。
ここで変に反応してもおかしいからこのままスルーしよう。
失敗があったけど有用な情報も聞けたぞ。
この世界にはスキルもあるらしい。
縮地、先読み、未来視、鑑定、言語翻訳、アイテムボックスetc
身に着けたい有名スキルはたくさんある。
「僕もスキルがほしい!」
とにかく一歩ずつだ。
人生は甘くないようで転生特典は得られなかったが今ここから頑張れば十分挽回できるはずだ。
この世界の誰よりも早くスタートラインを切れば・・・、いやこれ以上は傲慢だな。
とにかく魔法を覚えよう。これは決定事項だ。
「そう、テッドがスキルを覚えて魔法を使いたいのは良く分かったわ。でも今はまだスキルを覚えられないのよ。」
「どうして?」
「スキルはね。十歳の学園入学時にステータス魔法を教えてもうとスキルを授かるの。だから今はまだ無理なのよ。」
なんと後7年も待たないといけないのか。
しかし、スキルとは十才までホントに手に入らないのだろうか?
そしたら俺が魔力のようなものを感じているのはスキルの効果でないということか?
分からない。
もっと情報がほしい。
このままの流れで母様からもっといろんな話を聞こう。