4美形の親友は女になっても美少女だった
「もう一度初めから話してくれ。まず君はだれだ?なんで俺の名前を知っている?」
俺は混乱する頭を必死に落ち着けようとして同じ質問を繰り返した。
こめかみをぐりぐりと人差し指でもんだ。
「だから何度も言ってるだろ。俺は和也だよ!」
目の前の美少女は自分を親指で指して叫んだ。
辛抱強く話を聞いてもその甲斐なく、また同じことの繰り返しだ。
「頼むから信じてくれよ!オレ以外でこんな美形な人間がこの世に存在するわけがないだろ!」
ぬけぬけと自画自賛するその図々しさは確かに和也に通じるものがある。
「はい。近所迷惑だからもう少し静かにしてね。」
つい和也にするようなぞんざいな扱いになってしまう。
美少女は涙目になりながらうーっとうなっている。
そのかわいらしさに思わずきゅんとしてしまう。
これは反則だろ!本来ならこんな見ず知らずの不審者、家からたたき出すべきなのにそれができない。
頬を膨らましながら上目遣いでにらんでくる姿を見ると警戒心がほろほろと崩れていってしまう。
いかん!いかん!気持を強く持たなければ!
そう思って。相手をキッとにらみつける。
「次の質問だ。お前が俺の知っている和也ならなんで女になってんだよ。」
「だから!俺だってわからないって言ってるだろ!気づいたら突然女になってたんだよ!」
俺はため息をつく。さっきから同じだ何を聞いてもまともな答えが返ってこない。
「わかった!女になった時の状況を教えてくれ。」
「ああ。俺、女子大生のさやかと二人っきりになれるようにあいつん部屋にしけこんでたのさ。」
「へえ。」
くそむかつくのろけ話を始めやがった。
「いや実はさあ。あいつが俺に超高いプレゼントをくれてさあ。」
そう言って手を上げて腕につけているものを見せてきた。
しるばー?あくせ?とかいうものを腕につけている。
俺にはよくわからないがたぶんかなり高い物を貢がせたのだろう。
「俺がお礼は何がいい?って聞いたら私の部屋に来てって言うんだよ。まさか体で返すことになるとはなあ。」
その後この和樹を自称する女はくそむかつく自慢話を始めやがった。
説明の合間に自慢話が挟まってきて鬱陶しいことこの上ないが、話自体は普通の内容だった。
二人でウィンドウショッピングして、お茶して、カラオケして頭の悪いカップルならやりそうなことばかりで特別なことはない。
「それで彼女の部屋に上がらせてもらってさあ。彼女がシャワーを浴びに風呂に行ったんだよ。」
……少なくとも男が女になりそうなことは何もない。
女の子シャワーを浴びに行っているのを部屋で待っているなんて一切経験がない、俺だったら逆に男のオトコがギンギンに……げふんげふん。
俺は和也の話に無理やり耳を傾けた。