2俺の親友はモテる
「畜生!お前何考えてやがる!」
俺は怒りが覚めず、目の前の元親友をにらみつける。
「たはは。いやあどうしてこうなったんだろうなあ。何も考えてないのに。」
「何も考えてないからだろうが!」
俺は床をバンとたたいた。
こいつはオレの思いびとを寝取っておいて全く反省の色がない。
しかもあろうことか俺の部屋に図々しく上がり込んでくつろいでやがる。
こいつはいつもいつもずうずうしい。
人が何を考えているかなんて一切考えず俺の周りに付きまとってくる。
そのくせこいつは異常にもてる。
確かにかなりのイケメンであることは認めよう。
街を歩けば道行く人はみんなが振り返る。
一目見ると女の子と見間違える人が後を絶たない。
性格は社交的で人見知りということをしたことがない、女の子と話すときは適度に笑いを交えつつ歯の浮くような誉め言葉を吐きつつ瞬く間に仲良くなっていく。
圧倒的コミュ力を発揮するのだ。
出会う女はみんなこいつのことが好きになってしまうらしい。
なんだったら男にも人気がある。
いわゆるクラスの1軍というやつだ。
こいつと一緒にいると女子から「和也君ってなんで善蔵君なんかとともだちなの?」と言われることも多々ある。俺とは雲泥の差だ。
嫉妬で狂ってしまいそうだ。
俺が奴の顔へ射殺すような強烈な視線を浴びせてやる。
「もう帰っていいか?今日これから女子大生と遊ぶ約束があるんだよ。」
とびっきりの人懐っこい笑顔だった。
「今日はお前の家に泊まらせてもらうことになってるからよろしくな。」
笑顔のままぬけぬけとぬかしやがった。
顔面に空手チョップを振り下ろした。
「いってえな!何すんだよ!」
この期に及んでそのセリフが出てくるとはな。
「黙らねえともう一発見舞うぞ。」
「なんだよ。あの女の事、根に持ってんのか?だから言ってんだろ、ほかの女を紹介するって。」
「どうせその女もオマエの女だろ。しかも尻軽の。」
「藤子とかいう女よりはいいだろ。俺あの女と話したこともねえんだぞ。そんな俺にいきなりキスさせるなんてとんでもねえ尻軽だ。」
「へえ実質初対面か。それでキスできるんだ。死ねばいいのに。」
「あの女はお前が好意を持ってたのを知ってた上でオレに近づいたんだぞ。確かに俺は顔はイケメンだし、スポーツは万能、成績だって学校でトップクラスであと他には……。」
自慢話をとうとうと語り出した和也を速攻で家から蹴り出してやった。