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1.親友と思い人と涙とキスと

若いうちの苦労は買ってでもしろという言葉がある。


みなさんはどう思うだろうか?

俺も賛成だ!賛成だがちと大きすぎる苦労は御免こうむりたい。


原石は研磨によって宝石となる様に試練は人間を磨くという。

しかし原石を宝石ごと木端微塵にたたき壊すような奴はド阿呆だろう。


人間はさほど丈夫にはできていない、中でも僕はかなり壊れやすい。

正直に言っちゃうと木綿豆腐のように脆い原石だと言える。


例えば俺が高校生だとしよう。

人並みに好きな子がいて当然だ。そうだろ?

その子に好かれるためにきっかけを見つけては毎日話しかけちゃったりしてだんだん仲良くなっちゃって。


はじめは「香川君。」「瀬川さん。」と呼び合っていたのが今では「善蔵君。」「藤子さん。」

なんて呼び合うようになっちゃったりして!ぐふふ


そしてそろそろ告白でもしようかと考え始めたとする。

放課後、彼女が一人になるのを陰からうかがってみたりして、クラス委員の仕事で彼女がみんなが帰った後の教室に一人残っているという絶好のタイミングがやってきて、さて彼女にアタックだと意気込んだりするわけだ。


ところが声をかけようとしてでくわしたのは彼女が自分の親友とキスしている場面だったりしたらどう思う?

とてもつらいだろう俺だったらきっと泣いちゃう。

だからはこんな目にはあいたくない。

あいたくないったらあいたくない!

しかし世の中嫌だ嫌だと思っている事ほど身に降りかかる物だったりするわけで……。


「和也!テメエの血は何色だ?」

俺は目から滝のような涙を流しながら悲痛な叫びをあげていた。

「善蔵?おめえここで何してるんだ?」

なにしているんだだと?オレの思い人に手を出しといて!オレの瀬川藤子さんに!

俺が彼女を好きなのを知ってるくせに!

「ああ!お前の好きな子って彼女だったのか。そういやこいつの名前聞いてなかったな。」

怒り狂うオレにやつはしれっと言ってのけやがった。しかもすでにこいつよばわり?

「怒らないで善蔵くん。私が彼を誘ったの。」

ああ藤子さんあなたはこんな男をかばうなんてなんて優しい人なんだ。

あなた名前すら覚えてもらえてなかったのに……。

「いいかオレは彼女と少しずつ彼女と二人の時間を重ねてきたんだ。」

そうお前なんかより彼女のことを知ってるんだ。


「ごめんなさい。私実は藤堂君のことが好きだったの。彼に近きたくてそれで藤堂君の友達の善蔵君と仲良くなったの。」

ちょっと待ってそれは知らない。っていうかあなた結構腹黒いんですね。

「善蔵君も私のこと応援してくれると嬉しいなあ。」

しかも結構図太い神経を持っていらっしゃる。

「いやあオレ何も知らなくてさ。善蔵。ごめんごめん。ゴメリンコ。」

憎しみで人を殺せたらいいのに!

「なんだったら俺の女友達何人か紹介してやろうか?オレが頼めばエロいこともさせてくれそうなエロい子。」

こんな奴に!こんな奴に……!

俺は我慢しきれず、ついにその場で泣き崩れた。


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