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迷いの森

『漆黒の隼』の忍者達と別れた亮太達は休息を取った次の朝、再びブリジット王国を目指して旅を再開させた。


 バンパイヤに忍者と強い奴らが色々出てきたが、亮太達の士気は高い。

 再びユニコーンにまたがり、大陸西に広がる深い森を越えようと疾走させる。


 そういえば、昨日、ジャスティンは水晶を試してみたい様な事を言っていたが、また後で落ち着いたらという事で納得させたのだ。

 ちょっとブーたれていたが、それはいつもの事だ。気にしない、気にしない。

 そんな事を亮太は考えていた。


「ここの森を抜ければ、もうブリジット王国は目と鼻の先だけど、ここは、迷いの森と呼ばれている難所よ、気を付けてね」


「迷いの森?迷路みたいになっているのかい?」


 亮太は話題を振られて、興味本位にフィーネに聞いてみた。


「森自体はそんなに迷わすほど深くないと思うのだけど、ここには人を惑わす妖精が住むと言われているわ」


「へー、妖精!! 凄いな、一度会ってみたいな」


「リョウタ、妖精になんか興味持っていると痛い目みるぞ」


「ジャスは妖精に会った事あるのかい?」


「当たり前だ、わがままな連中だぞ」


「ふふ、あなたが言うぐらいだから、相当なのね?」


「どういう意味だ? フィーネ!!」


 さぁ、どういう意味かしらねと言ってフィーネは笑っている。


 亮太も同じく笑っていたが、ふと周りを見て気が付いた様に、


「あれ、あの木の枝??」


「いや、まさか……」


 そう言って口をつぐむ。


 フィーネもその木の枝を見て、


「あ、あれ?確かに……」


と考えがまとまらないのか口をつぐむ。


 みんな黙してしばらく森の中を疾走すること30分。


「いや、まさか」


とみんながみんな何かつぶやいている。


「やっぱり、またさっきの木の枝だ」


 亮太がきっぱりと言った。


「まいったな……、同じ所をグルグル回ってる気がするぞ」


 ジャスティンがつぶやく。


「やはりそうなのね……」


 フィーネもつぶやいた。


 そこで、ユニコーンを止めて降り、今の位置を確認しようとした。


「俺達まっすぐ走ってきたはずだよな? しかし、あの大きな大木はさっき通り過ぎたはずだ」


 亮太が大木を指差しながら最初に疑問に思った事を口にする。


「確かに見たな、俺様も覚えているから間違いない」


「私も見たわ、でも道は真っすぐだったはずよ」


「「「どういう事だ?」」」


 3人ともどうやら道に迷った事を共有した。


 その中でフィーネがジャスティンに思い当たる事を尋ねた。


「ジャス君、君、魔法の波動を何か感じなかったかな?」


「うーん、そういえばちょっと前に何かの結界に触れた気がしたかな? 微弱だったので、気のせいかとも思ったのだがな」


「そうなんだ、やっぱし」


「え、それってやっぱし」


 亮太の方を見てこくりと頷くフィーネ。


「妖精と接触したかもしれないわ」


「迷ったのは妖精の仕業という事?」


 ジャスティンはちょっと考えていたが、


「そうらしいな、しかし妖精の遊びに付き合っているのも面倒だ。引っ張り出すとしよう」


「ジャス、どうするつもりだ?」


「もちろん、この森を燃やす!!全焼させる」


 中指を突き立てて主張するジャスティン。


「「やめろーー!!」」


 フィーネは周りを見渡しながら、


「もっと穏便な方法はないのかしら? 確かにここは妖精の住処の様だからそこを攻めるのは手だと思うけど・・」


と考えを巡らす。


 焦れたジャスティンが何か思いついた様に詠唱する。

 火輪の火柱が天高く向けて燃えさかった。


「そこに隠れてる奴よ、出てこなければこの森を消し炭にするぞ!!」


 森を見渡しながら大声で叫んだ。

 返答はない。

 それを見たジャスティンは火輪で回りの森を焼き尽くそうとした瞬間、


『待てーーーーーーーー!!』


と脳に直接問いかける声が聞こえた。

 な、なんだ?テレパシーか?亮太もフィーネもびっくりした。


『おまえだ、おまえ、アホか、おまえはーーー!! びっくりしたわ!! 火で燃やすって野蛮人か、おまえは!!』


 どうやらジャスティンの事を言っているみたいだ。


 ジャスティンはニヤーと悪い笑顔を見せながら、


「お前が犯人の妖精か? 姿を見せろ」


 う、しかし・・。


「姿を見せないと森を燃やす!」


『わかった、わかった、ちょっとからかっただけだろー、お前本気で燃やそうとしただろ!!』


 そういうと、亮太達の側に妖精が姿を現せた。

 20センチぐらいの大きさで人と同じような姿をしているが、4枚の羽でパタパタとバタつかせている。

 性別があるとしたら女性なのだろうか、青い目をした栗色の髪の毛を後ろで結んだ可愛いらしい顔をしている妖精だった。


「本当に妖精だ、初めて見た!!、君が悪さをした妖精なのか?」


「悪さをしたとは何さ!! あんたたち、あのバンパイヤの仲間なのでしょ!」


「バンパイヤ? パルメザックの事か。奴は俺らの敵だよ?!」


「え?」


「え?」


 妖精と顔を見合わせる俺達。

 どうやら何か勘違いがありそうだ。


「君はパルメザックを知っているの?」


「私達の仲間が奴に沢山捕らわれているのよ。

 あなた達から少しパルメザックの匂いを感じ取ったので、

 森で迷わせてそれ以上いけない様にしようとしたのさ」


「俺達は昨日パルメザックと戦ったよ。その時パルメザックを切った時の匂いが残っていたのかも」


 その話を聞いたフィーネが、


「そういえば、『漆黒の隼』の忍者達が、パルメザックが妖精やエルフを捕えて観賞用の奴隷にしていると言っていたわ。 本当だったら私も許せないわ」


 フィーネはエルフであることもあって憤りを感じているみたいだ。

 俺もその気持ちは痛いほどわかる。


「え、あなた達、パルメザックと戦ったの? よく無事だったわね。もしかして、あなた達強いの?」


「もちろんだ、俺達は強いよ!」


 俺は胸をドンと叩いていった。

 ジャスティンはシレッと見ていたがちょっと苦笑しつつも何も言わなかった。


「そ、そうなんだ。あなた達がねぇ、へぇー」


 そう言って、パタパタと飛び周りながら、俺達の周りをしばらく飛んで見ていたが、意を決した様に、


「あなた達にちょっと頼みがあるの」


 妖精はそう切り出した。



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