ラスボスの罠
ある町の都市の奥には最高層およそ100階もある大きなダンジョンがある。
そこは肝試しの場とも言われ軽い気持ちで入れば、そこに待っているのは【死】のみ。
そんな100階もある大きなダンジョンに誰が最後まで挑むかよっ!なんて皆が言うもんだから力自慢の奴は皆が皆、我先にと100階を目指しいい所まで行けていたのだが……
『ぐはっ!』
『やっやめてくれ……殺さな……っ』
ほら、これだ。全て口だけ。こんな大きなダンジョン誰が攻略出来るかよ……、
そう思ってた。だから、これは多少の遊び半分だったんだ。
まさか、こんな状態になるとは思いもしなかった。
俺が……人間だった……冒険者(勇者)だった俺がモンスターになってしまうなんて……。
『誕生だ!ボスの誕生ダ!』
『祭りダ祭リっ!誕生祭ダァ!』
姿は人間のまま。
だけど、肌色が少し抜けていて白い雪の肌の様。それに髪の色も白変色してる。
目なんか赤くて、爪も伸びてるし……。
とにかく……これだけは言える。
『うん、これ……世に言う【吸血鬼】だよな……。』
鋭い牙に伸びた爪、薄い肌色がその証拠である。
それにしても、何故……人間だった俺がこんな姿になってしまったのかと言うと、
今から数時間ほど遡るあの出来事が理由と言えよう。
『これで最後だぁぁぁあ!』
あの時、俺は運良くダンジョンの100階まで辿り着き運良く100階のボスを倒した。
倒した後、ボスは消滅し、それに合わせて近くにいた雑魚モンスターも自然消滅。
そして、ボスを倒し宝箱を開けて待っていたのは……
『パンパカパーンっ』
急に大きく鳴り響いたクラッカーの盛大な音。
そして、俺の目の前に現れた先程のラスボス。
『100階到達クリアおめでとう〜勇者君。』
先程、俺が倒した筈の人型の形をしたドラゴンが何故か蘇っており、俺の前に立っていた。
『本当、おめでとうネ、勇者君。うん、君……凄いわっ1人でラスボス倒すなんて凄いよね〜関心関心。』
ダラダラと長ったるい話を続ける惚気けたドラゴンは何が言いたいのかと俺はこんなムシムシした暑苦しいダンジョンからいち早く出たいと心から願い急かしていた。
『何が言いたいんだよ……。』
ドラゴンはやや汗ばみながら俺に深刻そうな顔をした。
あの強いドラゴンが厳ついドラゴンが、
こんな困り果てた顔をしていいのかと言わんばかりな程に。
『ここのダンジョンってさ……つまり、誰もダンジョン完全攻略出来ない、させないってのが売りなんだよね~だけどさ……キミ、勇者君が攻略しちゃったからさ……このダンジョンこれから舐められちゃうでしょ?だから……コレ……無かったことにして欲しんだよね我々としては!』
ドラゴンの言うことは最もな話ではあった。
このダンジョンは最高層100階まであり、これは誰もが攻略なんて出来ないと思っていた。
なのに……俺は1人で攻略してしまったのだ。
勿論、そんな事をして俺がダンジョンから帰ると一気に噂は広まりこのダンジョンは1人で攻略出来る簡単弱小ダンジョンと思われても不思議ではないだろう。
だからと言って俺がダンジョンを攻略したことを無かったことにするとかとは話は別だが。
『だから、キミをこのダンジョンから出す事は出来ないんだよね――』
その甘ったれたドラゴン(ラスボス)の声に続きやっと復活した雑魚モンスター達(主に骸骨や幽霊)もその言葉に賛同し『『だよね〜』』と続ける。
しかし、ここから出るななんて言われて『はい、そうですか』『わかりました』だなんて素直に聞く馬鹿は早々いないだろう。
俺はそんなすんなり事を聞く馬鹿な優しい子では無いんだ。
『誰がこんな何もない死臭ばかりするダンジョンなんかに……』
俺は一瞬、奴らの目を伺った。流石に言い過ぎただろうか、謝った方が……、なんて思った。なんせ、皆が皆顔をした向けドヨ~ンとした空気を作り出していたものだから。
だけど、それはどうやら見間違い。
俺は奴らの罠にすんなりとハマってしまったらしい。
グサッ……とその時鈍い音がした。
そう、俺は一瞬の好きに刺されたのだ。この糞な奴らに。
『あぁ、死んだな……。意識が遠のいてく。』
そう思って次、目を覚ましたのが、何故か棺桶の中。無駄に心地よくて、力が漲ってくる、
だけど、その分……眠気と怠気が増してくるのが分かる。
それに無性にムカムカしてくる。
何故だろうか。
そして、俺は棺桶を開けて目のに映った自分の姿に驚きを隠せなかった。
目の前に用意された態とらしい鏡。
これに俺は直感した。奴だ。
これはあのクソなラスボス【ドラゴン】が仕組んだものだと。
そして、俺はどうやらボスキャラな様でダンジョンはお祭り騒ぎ。
『ダンジョンにヨウコソ!』
『ボスだ!ボスだ!』
騒ぎ出すモンスター達。
もう、取り返しつかないだろうから、どうでも良いけど、とにかくドラゴン……捕まえてもう1度『殺してやる』
そう思って俺は新たな備わった能力のお陰で
『おい、クソドラ……これはどういう事だァ?』
すんなり見つかったドラゴンは俺に何の事なんて惚けた顔するので見つけてすぐにボコボコに……
ってする予定だったんだが、一発気晴らしにドラゴンを殴った所で骸骨集団に止められてそれはあっさり断念した。
『ヨ……よぉ……コソ…………勇者クん……』
『どっドラゴンさぁん!』
ドラゴン【ラスボス】は糞な奴だと初日俺は実感し最悪な日々がここから、始まるのだった。
当たり前だった日時が非日常的になったのだ……。
ドラゴン『ごめんなひゃい……』
『(怒)!!』
『ダンジョン生活はじめました』を宜しくお願いします。