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消えない想いの幻想  作者: マテリアル
19/19

THEN GO IN THE FUTURE OF OUR

少年はもう忘れない。その過去の真実は胸に残り続ける。

私はきっと知っている…だからもう、怒りは無い。

…此処からは、彼らの未来の物語。

(…賢人、これがお前の望んだ未来という事になるが…これで良かったのか?)

全てが終わり、陽子さんも祥子の記憶を受け入れた。そうだ、これは俺の望んだ結末だ…

けれど、幸楽さんのその問いかけは、何処と無く虚し気だった…

(そうだな…これで…良かったんだ、幸楽さん。)

俺がそう答えると、幸楽さんは言った。

「ならば、その涙は嬉し涙と見て良いのだな。お前は自分と向き合い過去と向き合い、

そしてこの未来を手にした。それは嬉しい事で有り、決して悲しい事では無い…」

誰も幸楽さんの方を向いては居なかった。それはつまり俺の方にも誰も意識を向けてないという事だ…

「なんだ…いきなり声を出すから何かと思ったよ…」

俺がそう言うと、幸楽さんは笑いながら答えた。

「はっはっはっは!今であれば少しは喋っても良かろう!と言うより、全て終わったのじゃから

いい加減儂の正体を現しても問題が無いはずじゃろう?」

そうだ…確かに全てが終わった。俺の過去もようやく償う事が出来た…けれど…

「にも関わらず、賢人。お前はまだ後悔の念を抱いておろう?」

俺ははぐらかそうとするが、幸楽さんのその目を見た俺は…はぐらかす事など出来なかった。

「…後悔か、でもそれは俺の罪だったんだ。だから…」

俺がそう言うと、幸楽さんは否定した。

「違うな、それはお前の本心では無かろう?

…お前は、この空間そのものであった(モノ)を殺した。

じゃがその反応を見るに、それには自我があった…お前はな賢人、その(モノ)に罪悪感を持っておる。」

その答えは、確かに真を付いていた…俺は二度、祥子を殺したが…二度目は祥子と言うにはとても無機質で…

そして…『感情的な小さな、普通の少女』だったのだ。

だから…俺は殺さなければならなかったとしても、

少女としての彼女に対して、とても酷い事をしたと…後悔している。

「…一つ、下らぬ独り言を言うてやろう。

空間の核が死んだというなら、この空間はとうに崩壊しておる。じゃがおかしいのぅ…この空間はまだ、

消えておらぬ。」

幸楽さんはにやりと笑ってそう言った。それがどういう意味なのかは分からないけれど、

俺は少し、期待した。少女はまだ生きているのではと…

「ふん、良い顔になったではないか…じゃが今のはあくまで独り言じゃ、

じゃからあまり下らぬ事は考えぬ事じゃ。」

すると、俺は少し気になっていた事がある事に気づいた。

「そういえば幸楽さん。幸楽さんから見て…この空間は祥子そのものだったと思う?」

さっき幸楽さんは、この空間そのものであった(モノ)と言った。

つまりあの少女の事も知っているのかもしれない…

「ふむ…この空間か…どうじゃろうなぁ、考え方によれば祥子の記憶を持っておったのじゃから祥子と言えるかもしれぬが…儂はそうは思わぬ。先程も言ったようにこの空間そのものには自我が芽生えた。

それはつまり、祥子の記憶を第三者の視点で見て、自我を持った事になる…じゃがな」

幸楽さんは陽子さんや高山先生の居る方向を向いて続けた。

「それでもお前の事は、殺意こそ持ったとしても…何物にも変えがたい友であった事は変わらぬのだろう。」


「はぁ…とりあえずは何とかなって良かった…空間も今は比較的安定しているようだしな…」

福井のお父さんがホッとしながらそう言うと、石英さんが言う。

「それでも、この空間の核である祥子さんの記憶を陽子さんに戻したのなら、

この空間もどれだけ持つかは分かりません…とりあえずは脱出しましょう。」

福井のお父さんはそれを聞くとやれやれと言う様子で福井に何かを伝えに行く。

「翔太、この空間も後どれくらい持つかは分からない…だから先に大人以外は出るように伝えて先に戻れ」

福井は答える。

「分かった、じゃあ俺たちは先戻るからな。…それにしても奇麗だよなぁ、ここ。」

福井がそう言うと、福井のお父さんは辺りを確認する…

そこには、星が煌めく夜空が、大きく割れた夕焼けの空から見え、

地面には、ピンク色のガーベラと、白いカスミソウを始めとした奇麗な花々で溢れていた。

「…先程までは…ただの丘だったよな?石英…」

福井のお父さんは石英さんにそう尋ねた。

「そうですね…けれど今この丘は、誰かが夢見たような楽園になっています…

だから私は想いが好きなんです。想いは時として狂ったものにも恐ろしいものともなりますが…

こういった夢の様な、美しい楽園を見せてくれることもあるんです。」

石英さんは、優しげな表情でそう答えた。

「石英にしては、割と良い事を言うじゃないか…そろそろ戻りなさい。お前たちが居ると我々大人が戻れないだろう?」

福井のお父さんはそう言って陽子さんと高山先生の所へ向かった。

「では、私達も戻りましょうか…材架さん。ところで…」

石英さんは俺にそう言うと、俺の隣に居た幸楽さんの方を向いて言う。

「優秘ちゃん…という訳ではありませんね?貴方は」

(何!?この小娘気付いておったのか!?)

幸楽さんは驚いた表情で石英さんを見ていた。

「石英さん…何時頃気付いたんですか?」

俺がそう尋ねると、石英さんは答えた。

「そうですね…最初に陽子さんと戦った後のはぐらかし方が、優秘ちゃんにしては異様だなーって、

多分その時辺りからですね。

考えるに優秘ちゃんの現れた原因にも直結してると思ったので最後に聞こうと思っていました。」

嬉しそうにそう答えた石英さんに対し、幸楽さんは答えた。

「えぇい、バレたものは仕方あるまい!そうじゃ!儂こそが材架幸楽であり、

お前の先代たる石英家の長男であった賢浄者、石英郎前を材架郎前として夫にした材架幸楽じゃ!」

幸楽さんがそう答えると、石英さんは言う。

「…そうですか…貴方は当家の…えぇ分かりました…貴方ならそうですよね…貴方ならあり得ますね…」

石英さんの表情が、これまでに見た事の無いような怪しい表情になっていく…

「なぁ賢人、この小娘は何を怒っておるのじゃ?」

幸楽さんはきょとんとした顔でこちらを見てそう尋ねる…だが俺は知っている…確か、

『材架幸楽は、石英家にとっては勝手に賢浄者としての知恵を盗んだだけでは飽き足らず、

その長男まで掻っ攫って行った馬鹿だからだ。』

そりゃあその石英家の子孫である石英さんが怒らないはずが…

すると、石英さんは両手で幸楽さんの両肩を掴んで言う。

「貴方ならあり得ますとも!!当家から知恵と長男すら盗んでいく馬鹿なんですから!

しかも天然の賢浄者とか何なんですか!!一体貴方何がしたかったんですか!!

当時最高と言われた石英郎前様を貴方は何であんなに簡単に掻っ攫ってるんですか!!」

「ああああああ!!やめよ!!目が回る!!そう揺さる振るな馬鹿者があああああああ!!!」

石英さんは幸楽さんを強く揺さ振りながら怒りながらそう言った。

「賢人ぉ!!助けよ!!折角蘇った儂が死んでしまうううう!!」

おぉ…哀れな幸楽さんだ…とは言え他の件ならまだしも、

この件に関しては流石にこの言葉を送らざるを得ない…

「自業自得です。幸楽様。」

俺は笑顔でそう言った。


その後分かった事だけれど、どうやら俺と石英さんと幸楽さんの帰還用の水晶だけが壊れていたので、

3人だけ大人達には黙って徒歩で帰る事にした。

とは言え出口までほぼ一方通行なので、問題なく帰れそうだ。

…街はまだ、街のまま残っていたが…地面は花畑になっていた。

「大体分かりました…要するに幸楽様は材架さんの守護霊にも関わらず、

勝手に蘇ろうとして、勝手に記憶を失っていただけなんですね。」

石英さんは少し顔を引きつらせながらも笑顔でそう答えた。

「まぁ…そんな感じですね。」

俺がそう相槌を打つと、幸楽さんは苦笑いで言う。

「じゃ、じゃが今回は儂の功績もなかなかのものじゃったと思うぞ!!」

石英さんは笑顔で答える。

「はい、大変お世話になりましたね、幸楽様。」

…目が笑ってない。

「ほれ、もうすぐ出口じゃ。さっさと行くがよい。」

幸楽さんは突然立ち止まってそう言った。

「…?幸楽さんは行かないんですか?」

俺がそう聞くと幸楽さんは真面目な顔で答えた。

「…賢人、麗美。悪いが儂は、そちらの世界には行けぬ…行けぬというより行けば、

儂の儂としての記憶は失われる。」

すると、石英さんは言う。

「…如何なる方法を使っても、死人が本当の意味で復活することは出来ません。

そのような事…貴方なら分かっていたでしょうに…」

それを聞いた俺は幸楽さんに質問しようとした。

「!?幸楽さんはその事を…」

けれど、幸楽さんは直ぐに俺の聞きたい事を察して答えた。

「無論知っておった。というより、この空間で記憶を取り戻した時に悟ったのじゃ。

儂は、この空間から出れば消える儚い残滓だとな。

じゃが安心せい!この材架幸楽は、材架優秘に戻るだけじゃ!心配せずとも死にはせぬわ!」

俺は…また…

知らないうちに、俺は両目から先程まで堪えていた涙を流し続けていた。

「材架…さん…」

石英さんはそれ以上何も言わず、ただ黙っていた。

「…えぇい!世話の焼ける子孫め!!」

幸楽さんはそう言うと、俺と石英さんを、力一杯押して、自分から出口へ突っ込んだ。

「幸楽さん!!」

俺がそう言うがもう遅い…既に出口に触れた為、三人とも帰還を始めていた…

その時、ふと温かい感覚が俺を包んだ。

その暖かな感覚は、幸楽さんが俺を優しく抱きしめていたからだった…

「賢人、儂は今回も楽しんでおったのじゃ…じゃからお前が嘆くのは筋違いじゃ…

もし、それでも嘆くというなら少し頼みがある…石英麗美も聞くが良い…」

石英さんは、帰還するその一瞬ではあれど、真剣な表情で聞く。

「お前達!人生を楽しめ!!そして未来を掴み、更に楽しめ!!

それが儂の…材架幸楽の唯一の頼みじゃ!!!」

そう言いながら幸楽さんはこれまでにないような笑顔を浮かべ、楽しそうに俺を突き放した…



…チュンチュン

雀の鳴き声が聞こえる何時もと変わらない朝7時。

俺はゆっくりと体を起こす。

「ふわぁぁあ…さて…優秘の朝飯を作らないとな…」

そう言いながら、俺は部屋のカレンダーを捲る。

今日は8月21日だ。


あれから大分色々と変わった。

高山先生と祥…いや、陽子さんは正式に婚約し、明日結婚式を近くの海辺の教会で行う予定だ。

福井のお父さんは今回の経験を活かし、新たにとあるグループと科学研究の契約に成功。

どうもそのグループの社長さんも似たような事件を経験した事があるらしく、そこから意気投合した様子。

母さんと父さんはあの時のスリルのせいか家に帰った後とても色々あったらしく…母さんは、

俺に続く第二子を授かったようだ…何があったかは考えないでおこう…

委員長は…

…ピンポーン!

「あぁ…優秘、ちょっと出て貰えるか?」

俺は突然のインターホンの相手を優秘に頼んだ。

「うん、分かった!でも早くご飯作ってよね賢人!」

優秘の毒舌はあれから少し悪化したように思える…

「賢人!!清深来たから上がってもらうね!」

優秘がそう言いながら委員長を連れて戻ってくる。

「賢人くんおはよー、今日予定通り暇かな?」

そういえば今日、石英さんと委員長と明日の服を探しに行く約束をしていたな…

「分かりました。後ちょっとで丁度朝食も出来るしついでに食べてってください。」

俺はそう言いながら朝食の準備を三人前に増やして行った。


あの後委員長は、なんだかんだで良く俺の部屋を訪問したり、関わり合う事が多くなった。

時折俺を見て何か考え事をしている時もあるが…随分と楽しそうな顔をするようになった。

楽しそうと言えば…石英さんも最近はよく笑うようになった。

委員長とも俺繋がりでの事が多いがよく笑い話をするようにもなり、依頼の際には最近は笑顔で

楽しそうに受けていると福井からも話が合った。

「おう材架、明日の服選びか?」

デパートで、福井を見つけた。向こうもこちらに気づいたようだ。

「まぁそんな感じだ。何ならお前も一緒に選ぶか?流石にこの男女比だと俺だけ浮いてて困ってたんだ。」

俺がそう言うと勿論という表情で福井は答えた。

「いいよ、それじゃ早速さ、結構材架に似合いそうな服があったからちょっと来てくれ!」

福井は、今までと変わらないような感じではあるが、あれだけディスってた福井のお父さんの会社である

『エニシング』を継ぐ為に勉強熱心になっている。

この数週間かで既に3つも資格を取っているというぐらいの熱心さだ。


こんな感じに皆それぞれ…自分達の未来へ向かって進み始めた。

そんな中俺はと言うと…こうして日記をつける事が日課となった。

それだけで無く、夢も出来た。

色々な人たちに触れて、それぞれの立場やそれぞれの特徴を理解して、

その上で新たな発見をする外交官になる事だ。

だからこそ記録を忘れずこうして自分の足跡を書き続ける。

「今日は、このくらいでいいか…」

俺は、今日起こった事を日記に書くと国家公務員採用総合職試験の勉強を少し齧り始めた。

そんな俺の顔は、少しばかり笑顔だった。


そして…翌日の式は、雲一つない青空の元行われた。

「…では貴方は、陽子さんを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、…死が二人を分かつまで、

愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約の元に、誓いますか?」

神父の服を着た福井のお父さんが新郎の高山先生にそう尋ねる。

「はい、勿論です。…例えこの身が滅んだとしても、私は彼女を…愛し抜きます。」

それを聞いた陽子さんは、少し笑って言った。

「くす…そんな滅んでまでなんて…ふふ、でもありがとう。こんなにも待ってくれて。」

高山先生は優しい声で答える。

「当然だろう?だって俺はずっとお前の事が好きだったんだからな。」

二人は、幸せそうに笑う…

「…オホン!えー…一応式ですから続けますよ?」

福井のお父さんがそう言うと、二人は真剣であれど何処か優しそうな表情で、お互いを見つめ直す。

「…では、陽子さん。貴方は真也さんを夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、そして死が二人を分かつまで、

愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約の元に、誓いますか?」

陽子さんは少し笑って答える。

「はい…真也さんと同じく、この身が滅んでも…愛し抜きます。」

そうして、二人は互いの指輪を交換する。

そして…最後の儀式が執り行われる…

「では新婦よ、ベールをお上げください。今此処に、誓いのキスを…」

二人は互いを見つめ、そして同時にキスをした…そしてそれと同時に参列者が拍手をする。

…勿論この俺もだ。

(全く、幸せそうじゃの。あ奴等め…はっはっはっは!!)

ふと、幸楽さんの声が聞こえた気がする…俺は優秘の方を向いてみる。

「…?どうしたの賢人?」

どうやら俺の気のせいのようだ…

「いや、何でもない…」

俺はそう言って優秘から目を逸らした。


その後、昼食会が行われたが、俺は一人で外に出て、空を見ていた。

「…祥子は、どう思っているんだろうな。」

ふと、そう呟いた。

――すると。

「私は十分幸せだよ。心から好きになった人と一緒に慣れて、そして…

あの時の唯一の友達に心から祝福されて。」

なんと、ウエディングドレスに身を包んだ陽子さんが出てきた。

「え!?何してるんですか!?主役は早く戻らないとまずいんじゃ…」

俺がとっさにそう言うと、陽子さんは答える。

「いいじゃない、昔馴染みの友達と話をするくらい…それに、トイレに行ってくるって言ってるから

少しくらいは大丈夫。」

本当に大丈夫なのか…?とは思ったが、それより俺は聞きたいことがあった。

「あの…陽子さんは…その、祥子の記憶を持ってるん…ですよね?」

もしそうなら、俺の事をこの人はどう思っているかを知りたかった。

「そうだね、最近は…というより今になってみて、ようやく自分の記憶だと言うように

認識出来て来ては居るね。だから少し、真也さんにもお前らしくないなって笑われる事もあるよ。」

それは…高山先生にとってはどうなのだろう…俺は尋ねようとするが…

「だからね、そう言う敬語も使わないで。友達だったでしょ?賢。」

俺は、そう言われると少し懐かしさと同時にホッとした。

「うん、分かったよ。でもそれって、高山先生はどう思ってるの?…一応別人みたいになるでしょ?」

俺がそう尋ねると、陽子は嬉しそうに答えた。

「ううん、全然違うよ。あの人はそれも私だと認めてくれてる。私が変化すると、その変化を喜んで

更に私を愛してくれる…私もそんなあの人を愛してる…何時かね、大学で言われた事があるの。

『変化しない人間なんていないんだ』って、あの人はそれを理解した上で何年も待っててくれた…」

あぁ…そうだった…周りも皆も、あれからどんどん変わっていった…俺ですら、

更なる夢を追いかけ始めた。

「…そうか、人は変わっていくんだ…その際にそれぞれの想いが生まれ、それぞれの物語が生まれる…

それは悪いものかもしれないし、良いものかもしれない…それでも人は変わっていく…」

(じゃから、それが楽しいのじゃ。)

俺がそう呟くと、陽子さんは言った。

「きっとこの先、賢も色々と変わっていくと思う…私達だって変わっていく…けどね、

それぞれが生み出す感情やその想いは、きっと必要な物なんだよ。

…だから、あの日言った羨ましかったって言うのはこういう事。その必要な物を多く生み出せる賢とね…

同じように多く生み出したかったんだ。でも今は叶っちゃった、あはは」

陽子さんはそう言うと、海を見つめていた。

「そっか…叶ったなら良かった…ありがとう祥子。」

俺がそう言うと陽子さんは笑っていた。

「くすくす…ありがとうって、そんなこと言われるような事は私はしてないよ。

…そろそろ戻らなきゃ、じゃあまたね賢。」

そう言うと、陽子さんは戻っていった。

「俺も、そろそろ戻ろう…みんなも待ってるだろうしな…」

俺はそう言って、その場を後にした…


少女の願いも叶い、あの空間もどこかへ消えた。

これからは…僕等の未来の物語だ。

消えない想いの幻想、如何だったでしょうか?

長かったような短かったような4月から8月までの4ヵ月に渡る連載も、これにて終幕です。

私は今回、人の想いという目には見えないものをコンセプトとしてこの作品を書きました。

私が思う、想いというのはとても優しいものです。作品を見て貰えれば分かる通り、全ての想いは

誰かが誰かを想うからこそ生まれているものだと分かると思います。

例えば、陽子が祥子を切り離そうとしたのも真也を想っての事、

例えば、陽子が麗美を始めとした一部のメンバーに警告を出したのも私に関わらないでと想っての事。

だから、この作品のテーマは想い…つまり人が人を思いやるという『想いやり』です。


作品の流れとしては今回は王道的展開を取らせてもらいました。

というのもそれ以外に『想い』をテーマとした場合のこの作品にマッチする流れ方が、

私にはそれしか思い浮かばなかったからです。

だって、想いをテーマにしてるのにバッドエンドとかありえませんしw

はたまたギャグもなんか違いますし…


最後になりましたが私は今回、この作品を完成させられて本当に良かったです。

ここまでご愛読くださった読者の皆様も、本当にありがとうございました。

いつかまた何処かで会う事がありましたら、その時は宜しくお願いします。

それでは、皆さまの未来の物語に、良い変化と楽しみが有らん事を…

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