第61話 脅威の後に
眠い、とても眠い。
毎回不定期更新していくので見ていただけたら光栄です。
では、本編どうぞ!
さて、後日談といこうか。
次の日、起きてすぐに師匠達と話をした。
まぁ、主に師匠達の話だな。
「よし、リュウトよく聞け!俺の名前はルルガ=ヴァルトルネガ=アルマだ!一応グレイス王国の貴族って事になっている。」
「へー、そうなんですか。で、ほんとうの事は?」
「おい!本当だよ。信じてねぇな。」
いやいやいや、だってあの師匠だぜ?
ありえねぇ。天地がひっくり返ってもないな。
「おい、その顔は信じてねぇな!」
「リュウト、ルルの言っていることは本当だぞ。」
「マジすか、ブレイドさん。えー、本当だったんだー。」
「ちょっと待てよ!なんでブレイドが言ったら信じるんだよ!」
「・・・信用の差ですかね。」
「おい!」
ここで笑いが起こる。『風車』のメンバーも納得だと言わんばかりに頷いている。
いやー、本当だったとは。驚いたな。
でもなー、やっぱ、信じらんねぇなー。
「まぁ、このことはいいんだよ。重要なのはここからだ。お前、なんで俺が姫サマにお前を護衛するように頼んだか分かってねぇだろ。」
「ええ、まぁ。」
あれだけのやり取りで把握するのは無理ってもんだ。
当然、分かるわけがない。
「よし、じゃあ説明してやるよ。まずは俺らのことについてだ。まずは俺ら『風車』は王都専属のパーティーだ。更に詳しくいえば俺らは姫サマの騎士なんだよ。」
騎士か、なんかもう、師匠のイメージとかけ離れてるから信じられねぇ。
「俺らは最強のパーティーって訳よ!どうだ?驚いたか?」
師匠がとてつもないドヤ顔で言ってくる。
やべぇ、超殴りてぇ。
カタエさんとかイオさんとか拳握っちゃってるし。
てゆうか正直驚かない。
「いえ、強いのは知っていましたし、王都最強も聞いてました。」
「お、そうか、なんか照れるなー。」
「そんなことはいいんで、本題にはいってください。」
「・・・そんなことって、」
おっと、予想以上に師匠にダメージが入ってるな。
かなりへこんでるぞ。顔だって少し元気が無くなってるし。
俺は慌てて慰める。
「えっと、『風車』は凄いなー。最強ですね。」
「おっ、そうか?そうだよな。分かればいいんだよ。」
良かった、立ち直ってくれた。棒読み気味になっちゃったけど成功だ。
てゆうか、めんどくさいな!
もしかして『風車』の皆さんはこれをほぼ毎日経験してるのか?大変すぎだろ。
「よし、じゃあ話を続けるぞ。えっとどこまで話したっけ?」
「王都最強ってとこまでです。」
「そうか、とりあえず俺ら『風車』についての簡単な説明は以上だな。お前が詳しく聞きたいって言うなら説明してやっても・・・」
「いえ、結構です。」
正直短いと思ったが、詳しく聞くとめちゃくちゃ長引きそうだ。
ならば断るべきだろう。
少し師匠がへこんでる気がするが気のせいだろう。気のせいということにしておこう。
「・・・そうか、なら次の話だ。護衛についてだ。ざっくり言うと姫サマがお前の力に目をつけた。」
お、おう、目をつけられちゃったか。
やばい感じしかしない。だって、師匠が若干遠い目をしてるんですものー!
ただ、その事についてはある程度予測は出来た。
ラース戦で活躍しすぎたことだろう。倒せこそしなかったもののかなり追い詰めたと言っていい。
確かラースは『天災』と呼ばれていた。
それを単騎で追い詰めた、となればこの国の脅威にもなるかもしれない、とか思われる可能性は充分にある。
まっ、今回の件はこんな感じではないのかと、昨日の時点で予測しておいた。
なんかそんなことを考えていたら体が少し強ばってきた。
あー、なんか緊張するー。
「まぁ、そんな身構えんなって、そんな重い話でもねぇよ。多分お前が思っているような事はねぇよ。」
「・・・?どういうことですか。」
「お前を気に入りはしたが、姫サマは無理やり仲間に引き入れるような事はしないってことだよ。」
あらら、気づいていらっしゃったか。
だが、心配が少し無くなったのはいいな。
ただ、それだとつぎの問題も出てくるわけだよ。すなわちそれは俺がしっかりと断ることが出来るかということだ。
師匠の言葉から推測するに多分姫サマは強制はしないが、仲間になるように言ってくるはず。
この誘いこそが真のラスボスというものだろう。
「お前を守れって言ったのはこの王都の中でも有数の実力者に万一があっちゃあいけねぇってことで俺を付けたんだよ。」
師匠から有数の実力者と言われると照れくさいものがある。
ただなぁ、守る必要はあるのかねー?
「まぁ、今回の話はこんな感じだな。風が使えるようになったら教えてくれ。俺も姫サマに報告しなきゃいかんしな。」
「了解です。」
「よし、さてと話も終わったことだし、飯だ飯。奢ってやるからこい。この王都で1番上手いところに連れてってやるよ。それとちゃんと仲間のことを紹介してくれ。」
「・・・はい!」
俺らは飯屋に移動をし話をした。
「えっと、では、彼女はユウキノアです。昨日話した通り魔将に武器に変えられた女の子です。」
「どうも、改めまして、ユウキノアです。リュウに助けてもらいました!」
「おお、元気がいいな!俺はルル。リュウトの師匠をしている。で、こいつらが『風車』のメンバー達だ。」
ノアは右手をビシッと挙げて挨拶をした。
『風車』のメンバー達も次々と挨拶をしていく。
「続いてこっちがケコ、貧しい土地を豊かにするために一緒に旅をしています。」
「こんにちは、自分神の称号が1人。『豊穣神』のケコリアと申します。」
ケコはビシッとと敬礼をした。
「おう、よろしく。前は凄かったな。」
「そう言っていただけると恐縮です。」
前は凄かった、というのはあとから聞いた話だが、ケコは俺たちとラースの戦いで破壊された土地を元の状態近くに戻したらしい。
さすがは神の名を持つものだろう。
「リュウト君にこんな可愛い女の子の仲間が出来るなんてね♪驚きだ♪」
「いや、リュウトならやりかねんかったぞ。」
いや、何を根拠に言ってんだよ!
イズさんが言った驚きってのは分かる。
だが、ドゴランさんのやりかねんかったってのがよくわからん。
俺がそんなにチャラ男に見えますかね!?
「ふっ、そうだな。なんせルルの弟子だからな。」
「なるほど、それは納得せざるを得ませんね。」
おい、コラ。ブレイドさんとカタエさんまで何を言ってるんですか。
しかも理由がルルの弟子だからって。
やべぇ、この人と出会ったのが間違いだったか。
「おい、リュウト、何わかりやすくへこんだ振りをしてるんだよ!」
「しょうがないですよ。だってねぇ・・・」
「何がしょうがないだ、カミロウ!」
「「「「「「だってルル(師匠)の弟子だから。」」」」」」
「なんではもるんだよ!しかもリュウトまで!」
俺らはハハッと笑いあった。
すると俺の服がクイクイっと引っ張られる感覚が。
振り返って見てみるとそこにはノアがいた。
「ねぇ、リュウ。面白い人達だね。」
「ああ、師匠達に出会えたこと俺は誇りに思ってるよ。」
「そっか!」
ノアはとてもいい笑顔で笑った。
あいもかわらずいい笑顔だ。
まぁ、あれだ。守りたいこの笑顔ってやつだな。
てな感じで今回の師匠との話し合いは終わり。終わったら暇になったことだしと、女性陣は買い物にでも出かけていった。
俺はと言うと師匠達にノアとケコについて追求されていた。
「でー、どっちが本命だ?俺はノアちゃんと見た。」
「ワシもそうじゃな。」
この追求がしばらく続いた。俺は答えをはぐらかし、この追求を逃れた。
マジで疲れた。
こんな感じで俺の加護が戻るまでの間師匠達が遊びに来たり、体が鈍らないように少し運動をしたりした。
久々にカタエさんの修行を受けたりした。
「もっとだ。もっと早く刃を走らせろ。」
「ぐっ、らぁ!」
「甘い、まだ甘い。滑らかにしろ!」
「はい!」
久しぶりに修行を受けたが、たくさんの事を学べた。
しかし、ここで俺の欠点を知る。
どうやら俺は剣の才能はあれど、気を扱う才能は皆無らしい。
気を纏うことが全く出来ないのだ。
これはかなりショックだった。なんせカタエさんが使っていた古流を使うことができないのである。
古流だけではない。普通の剣の技を最大限威力を発揮できないそうだ。
『大器晩成』にしても本来の威力よりも少し劣ったものになっているそうだ。
なぜ今になってそれを教えられたかというと、今まで気を扱えない人はほとんど存在しなかったからだ。
当然、子供なんかは使えないが、ある程度戦闘をしている人ならば必ずつかえる。やり方さえ教われば少量でも纏えるらしい。
俺には剣を扱う才能はある、だが、気は纏えない。
カタエさんもそんなことはありえないと思って様子を見ていたそうだが、今、再び修行をして全くできないことが分かった。
付け加えておくとノアは平均くらい扱うことが出来た。
転移者が全く使えないって事はないらしい。
「驚いた。全く使えないとは。もったいないな。・・・しょうがない。技術だけを君に託す。全てを教えられないのは残念だが、全力でやるぞ。」
「はい!」
こうして俺の件の修行が始まり、終わりを告げる頃には俺は風を扱うことに成功していた。
「おっ、戻ったな。なら、少し準備をしておけ。俺は姫サマに報告してくる。」
師匠はヒラヒラと手をふり、城の方へと向かっていった。
さてさて、これから何が起こるのやら、怖いと思う反面、ワクワクしている自分がいた。
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