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懸賞当たってコミュ障が異世界召喚!?まずは基本のこんにちはから  作者: リルア=アルマーレ
異世界放浪編
58/62

第58話 乗り越えよ天災を



目の前に立ちはだかるは褐色の女。バサバサとマントをはためかせ、その体から血が滴り落ちていた。


「戦に愛されし者、それに今の獣王ときたか、なるほど面白い、確実に我を倒す気だな。」


ラースはクククと楽しそうに笑いをこぼす。


「いいだろう!相手になってやろう、さて、初めから全力でいかせてもらう。」


ラースは初めにルルに向かって攻撃を仕掛ける。

ルルはそれをバックステップで躱し、横からシーンが槍でラースを突く。

ラースはそれを避けるが避けた先には獣王の姿がある。獣王は右腕を振りかぶり、力強い鉄拳をくらわせる。


ラースの圧倒的不利。数もそうだが何よりもリュウトとの戦いによってついた傷が効いている。

しかし、ラースは『天災』である。そんな生物が本気を出している。

3対1や、腕の1本やら翼やら角なんかが無いところでラースが強者であることは変わりはない。


「フハハハハハハ!その程度では我は倒せんよ!」


ラースは獣王の拳を手で受け止めていた。そしてそのまま獣王をシーン目掛けて投げた。

さらにすかさず黒竜玉を3つ放つ。


しかし彼らもまた強いのだ。伊達に冒険者最強のパーティのリーダーや、戦に愛されし者なんて呼ばれていたり、獣人の王をやっている訳ではない。


獣王は投げられた瞬間に空中で体を回転させ、地面に着地。そして拳で黒竜玉を打ち砕く。

ルルは風により強化された剣で黒竜玉を切り裂く。

シーンは槍で黒竜玉を難なく貫いた。

そして反撃が始まる。ルルが風で攻撃。これは防がれる。続けて獣王が攻撃を仕掛ける。しかし避けられる。

避けた先にいたシーンが槍でラースを突く。ラースはこれを避けようとしたが、腰に槍を食らう。


「流石だねぇ、姫サマは。読んでいたとはいえよく当てられたもんだよ。」

「そう思うなら貴様も本気を出したらどうだ?」

「へいへい、分かりましたよ。じゃ、時間稼ぎよろしくです。」


ルルは片手を上げ、少し後ろへ下がる。


「自然の支配者よ、大いなる世界の精霊よ、我が呼び声に答え、我に力を貸したまへ。アルマの名の元に今ここに顕現せよ、来い!ハーダ」


ルルが詠唱をするとルルの周りには5つの影が現れる。


「どうもトルネガさん、アルマの名で呼ばれるとは・・・」

「会いたかったわ〜!トルネガ君。」


そこにはシルフとウンディーネの姿が。そして、


「いやー、私まで呼ぶとはね!びっくりだよ!」

「ええと、その、久しぶりです。」


そこには見知らぬ二人の女性が。1人は炎をイメージさせるような赤い髪を持っており、もう1人は大地のような茶色の髪を持っていた。

彼女らは火の大精霊サラマンダーと土の大精霊ノームである。


そして、最後の1人白い髭を蓄えた気品溢れるご老体。


「いやー、すまんね。急に呼び出して。」

「構わんよ。じゃがわしまでも呼び出すとはどんな相手かと思ったが、そうかダークドラゴンじゃったか。」

「そうだよ、だから力を貸してくれ、精霊王。」

「うむ、了解した。では、いくぞ。」


すぅーとルルは息を吐く。そして6人は声をそろえる。


『アルマ』


その掛け声と共に5人の精霊はルルと重なった。ルルは白く輝き、凄まじい力を宿した。


「さて、行くか!」


ルルは地面を思いっきり蹴り、ラースへと飛び蹴りを食らわせ乱入する。

ラースは片腕でガードをしたが、後ろへと吹っ飛ばされる。


「・・・ぬぅ!クハハハハ!いいぞ、本気になりおったか、アルマよ!我の全てを使って打ち勝ってやろうぞ!」


ラースは黒竜玉を9つ展開させ、ルル目掛けて走っていく。

それぞれに黒竜玉を2つずつ投げつける。だが、それは全て瞬く間に壊されてしまうが、3人が黒竜玉を壊した瞬間にラースは黒竜玉を蹴り、『黒竜砲』を放つ。

その攻撃は避けることができなかった。迫り来る波動砲に3人の体は飲み込まれ、ダメージを受ける。


ラースは更に畳み掛ける。ルルを思いっきり殴り飛ばした。

ガード出来ずにモロにくらい吹っ飛ばされるルルだったが、すぐに体勢を立て直す。

その顔からは血が流れ落ちる。


だが、ルルもここから反撃を仕掛ける。炎、土、風、水の気弾を作り出しラース目掛けて飛ばす。

気弾はラースに当たり弾け飛び、ダメージにはならなかったが目くらましになった。


そしてその少しの隙を残りの二人が見逃すはずがない。

即座にシーンは槍を構え突く。獣王は拳に力を入れ殴る。


ズブリと槍は体に突き刺さり、獣王の一撃はラースの骨を砕いた。

ラースはぐらりとよろける。そこにシーンからの追撃がくる。

手に持っていた旗でラース上空へと打ち上げる。ラースは翼をはためかせ体勢を立て直そうとするが上空には既にルルの姿がある。


「・・・なっ!?」

「落ちろ!『霊撃』」


拳に精霊の力を宿した技でラースを殴り飛ばす。

ラースは地面へと落ち、土煙を上げる。


「ふぅ、・・・やったか?」


シーンが言ってはならない言葉を言う。

土煙が晴れていきそこにはラースが立っていた。


「はぁはぁはぁ、流石だな。素晴らしい力を持っている。だが、お前達はもう終わりだ。お前達の戦闘は全て見切った。」

「何を抜かすか、終わりなのはお前の方だ!」


シーンは槍をラースへと投げつける。ラースはそれを軽々と避けるが避けた先には獣王がいる。だが、獣王の攻撃も避け獣王を殴り飛ばす。そして後から飛んできた四属性の気弾を見向きもせずに尻尾で死角から槍を持ち襲いかかっているシーンへと弾き返した。


「こりゃぁ、ヤベェな。完全に読まれてらぁ。」

「・・・流石だな、生半可な攻撃じゃ当たらないだろうな。」

「うむ、ならばどうする?何か策はあるかお嬢?」

「私に時間を。一撃で決めます。」

「うむ、了解した。ルルガいけるな?」

「当然。やったりましょう。」


ルルと獣王は、ラースへと対峙した。


「相談は終わったか?ならば、こちらから行かせてもらおうか。」


ラースはニヤリと笑い獣王へと向かう。黒竜玉を展開し、自分の体に纏わせる。


「まずはお前からだ。獣王よ!」

「ふん、それはどうかな!」


ラースは黒竜玉を発射、獣王はそれを全て砕く。ラースは回し蹴りを高速で繰り出す。

目にも止まらぬ速さ。獣王にら見えているだが、避けられない。


「仙術・霧散」


獣王が、そう唱えると獣王は霧のように消え、ラースの回し蹴りは空を切った。

そしてラースの後に獣王は現れ、深く腰を落とし、正拳突きの構えをとる。


「仙術・爆」


そこから凄まじい威力の正拳突きがくり出される。ゴリッと、骨を砕く音と共にがハッとラースは血を吐く。

だが、獣王も技の反動を受ける。くらりと目眩がし、全身を脱力感が襲う。


獣王が使ったのは仙術。古来より伝わる自分の気を使い己の限界を超えた力を使うことの出来る技術。

習得は難しく才ある者が数十年の修行を経て使うことの出来るものである。

そして仙術は自身の限界を超える技である為必然的に反動が表れる。


そして今回使った仙術・霧散は自分の体を霧状にし、敵からの攻撃を避ける技。

仙術・爆は身体能力の一部を一瞬だけ爆発的に上げる技である。

今回獣王は自身の素早さと攻撃力を上げた。


「仙術をつかえるとはな、驚いたぞ。」

「なっ!?」


獣王は後から聞こえてきたラースの声に驚く。


「なかなかにいい威力ではあったが、我を超えられなかったか。」


そしてラースは拳を握り獣王に殴りかかる。だが、そこにルルが割って入り、それを止める。


「獣王殿、大丈夫ですか!」

「ああ、何とかな、感謝する。」

「今度は二人か、かかってこい!」


ルルはパチンと指を鳴らし、竜巻を生み出す。それをラースへと飛ばしていく。

だが、ラースはそれを翼でかき消す。


「小賢しいわ!その程度の風、我には効かん!我はもっと強い風を知っている!」


ルルは少し嬉しかった。もっと強い風というのは自分の弟子の風のことだろう。

改めて弟子の成長を実感し、喜ばしかったのだ。


「そうかい!なら、これならどうだよ!」


ルルは手に精霊の力を集中させる。そして凝縮、高密度のエネルギー塊を作り出す。

それを近距離からラースへとぶつけようとするが避けられそうになる。

だが、それを獣王が止める。


「仙術・圧」


ビクリとラースの体が震える。

仙術・圧、相手を萎縮させることが出来る技。相手の強さによって効果が変わる。弱い敵ならば完全に気絶させることが出来る。逆に強い的ならば一瞬だけ動きを止められるという使用である。


獣王はその場に崩れ落ちる。仙術を立て続けに使えばいくら武の才があろうとも耐えられるものではないだろう。

だが、獣王の決死の覚悟は一瞬だけの隙をうむ。


「くらいな、『霊王砲』!」


ピタリと手のひらをラースの腹に当てる。ゼロ距離からの必殺技。

当然ルルにもダメージがいく。腕に傷が出来、血が吹き出る。衝撃で腕が痺れる。


そしてラースにもルル以上にダメージが入る。

ゴポリと血が口から流れ出る。だが、その顔はニヤリと笑みが浮かんでいた。


「クハハ!精霊の一撃、効いたぞ!だが、我は超えられなかったようだな。」


ラースはルルの腕をがしりと掴む。そして腕を引っ張り頭突きをかます。

ルルは遠くへと吹っ飛ばされる。


倒れる二人、ボロボロで血を流す強者である二人。だが、それを上回る圧倒的強者のラース。天災には勝つことが出来なかった。

が、時は満ちた。シーンのチャージが完了した。


「・・・ぬ?なんだその武器は?」


シーンの持っている旗と槍が神々しく光り輝く。


「ルル、獣王殿、感謝する。おかげで我らの勝利が確定した。」

「・・・なに?」

「神器解放」


シーンの2本の武器が光を増していき。やがてそれが割れ、ひとつに融合していく。そして1本の大きな槍となる。


神器『神槍オーディン』、その力は魔を払い、厄災を跳ね返す。

その神槍は『戦神アレス』の名を持つものにのみ扱うことが出来る。


そう、彼女は『神』の名を持つ5人の内の1人。『戦神』シーン、彼女が上げた功績は数しれず。

だが、これだけは言えよう。彼女はルルや獣王よりも遥かに強い。


「さぁ、貴様ももうここで終わりだ。永遠の眠りにつけ。」


シーンは槍を構える。槍が光に包まれる。


「我が槍は全てを破壊する。『一槍神撃グングニル』」


そして投げた。槍は一直線にラースへと向かっていく。その速度は音速を超える。

ラースは特に何をする訳でもなく突っ立っている。

ラースは知っていた。その神器は避けられないことを。

「神器オーディン」は必中の槍。投げたら必ず獲物を確実に捉える。

まさに神の武器。


そして槍はラースを貫いた。ラースには巨大な穴が空き、キラキラと光の粒子となり消えていく。

散り際にラースはこう言い残していった。


「・・・見事なり。人は天災を乗り越えた。我が怒りを乗り越えた。感謝を。深い感謝を・・・」


ラースVSルル&獣王そしてシーンの戦いは幕を閉じた。






























面白かったらブクマ、感想お願いします

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