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懸賞当たってコミュ障が異世界召喚!?まずは基本のこんにちはから  作者: リルア=アルマーレ
異世界放浪編
55/62

第55話 風は荒ぶり天となる。

あけましておめでとうございます。

久しぶりの更新です。

また今年も見ていただけると光栄です!


ダークドラゴンの放った『黒竜玉』が、飛んでくる。


俺はそれを避けながらダークドラゴンへ近づこうとするが、なかなかそれができない。


くっ、玉のせいで近づけん。どうすればいい、このままじゃやられる。

なら、少し危険だが・・・やるしかないな。


俺は賭けに出る事にした。

玉を受けつつ近づくことにした。


集中力を高め、息を整える。そして目を見開き、最小限のダメージで相手に近づけるように玉の速さを見る。


ビュンビュンと玉はダークドラゴンの周りを回っている。

俺は足に風の力を集め、瞬発力を高め、一気に蹴り出す。


一直線にダークドラゴンへ向かう。

そして、4つの黒竜玉は俺に向かってい飛んでいく。

俺はそれを竜巻の発生と全力の風でガードをする。


軽い衝撃はあるがダメージは全然なく、黒竜玉は呆気なく砕け散った。


よし、このまま、いくぞ!


俺は黒竜玉が割れ、好機と思った。

だが、ふと、違和感が襲った。


・・・あれ、こんなに軽く壊れるものなのか?

それに俺が破壊できたのは4つだ。

黒竜玉は5つあった!しまった、油断した。


そう思い、警戒を強めようとしたが遅かった。


ごりっという鈍い音と共に肩に重いダメージが来る。


「ぐあっ!」


俺は横に吹っ飛ばされる。

ズキズキと肩が痛む。これは折れている、いや砕けてるな。


「フハハハハハハ、油断したな、人間よ。だが、黒竜玉をくらいよく生きていたな。褒めてやろう。」


褒められたって嬉しかねぇよ。さて、ここからどうするか。

あの黒竜玉をどうにかしないといけないが、速さ、強度共にやべぇからな。

しかも、俺は肩の怪我がヤバい。いつもの力の半分も出ない。

超ピンチ、ははっ、テンション上がってくんなー。


俺はこんな状況でもニヤニヤとにやけてしまう。気持ちが高ぶる。

やっぱり戦闘は楽しいな。勝てそうにない相手ほど燃える。その壁を超えて見せようとする。


俺はポーションを飲み、体に風を巡らせる。完全回復とはいかないが、痛みと疲れが飛ぶ。


「行け、黒竜玉よ、その人間を討ち滅ぼせ!!」


黒竜玉が真っ直ぐと俺に飛んでくる。

黒竜玉はダークドラゴンの意思によって操作可能。なら、避け続けるのは厳しい。

ならば受ける?いや、それだと肩の二の前になる。

どうする?受けれない、避けれない。なら、流せばいい!


俺は両腕に風を集中させ、螺旋を描く。キュルキュルと風が渦巻いていく。


「風神技・流」


真っ直ぐと俺に飛んできた黒竜玉を、無理矢理方向を変え、ダークドラゴンの方向へと持って行く。

俺の風を含んだ黒竜玉は螺旋を描き、銃弾の如くダークドラゴンへと向かう。

風を纏った黒竜玉はダークドラゴンの意思によっては変えることは出来ず、ダークドラゴンへと当たる。


「ぬぅ、我の黒竜玉を返すとは、驚いたぞ。さすがに痛かったぞ。」


黒竜玉が当たったところからは血が流れている。

まともなダメージがあいつの攻撃を跳ね返したものとは、情けないな・・・

あいつを倒すにはもっと力がいる。もっと体の奥から吹き出せ!


俺を纏っている風の量が上がった。体がビリビリと来ている。

制御できるかできないか、ギリギリってとこか。


「では、次の攻撃といくぞ、人間よ。」


再びダークドラゴンは両手を合わせ、黒竜玉を生み出した。

数は3、大きさは先程よりも小さい。


俺もぐっと体に力を入れ、身構える。

来い!


2つの黒竜玉が、俺を目掛けてやってくる。

俺はその2つの玉をさばき、避け、もう1つの玉を警戒しながらダークドラゴンに近づいていく。


そして、ダークドラゴンの前へとたどり着いた。

腕に風の刃を纏わせる。

俺は一気に勝負を決めようとする。地面をけりあげ、ダークドラゴンに向かい切りつけようよする。


ダークドラゴンはニヤリと笑い最後の黒竜玉を右手で殴った。

すると黒竜玉は砕け散り、波動砲が飛び出してきた。


「なっ!そんなのありかよ!」


俺は咄嗟にその波動砲を風の刃で切り裂いていく。

だが、衝撃が凄く、後ろへと飛ばされる。


「我の『黒竜砲』を上手く対処したようだな。なら、次はどうかな?」


ダークドラゴンは残りの玉の1つを再び殴る。


黒竜砲が来る!どうすればいい、真正面から対処する?いや、でも、・・・やるしかないか、


そして俺を黒竜砲が襲う。


「・・・ぐっ、くぅ、ガァッ!」


風で全力でバリアを貼り、風で迎え撃ち、耐えきってみせた。だが、


「ぐっ、はぁはぁはぁ、」


俺は片膝をついた。風が弱まる。

そろそろ限界が近いみたいだ。


「次が最後だぞ?耐えられるかな。」


ダークドラゴンは黒竜玉を砕く。


俺はここで死ぬ?いや、そんなのは嫌だ!まだ、やりたいことがいっぱいあるんだよ!

それに、ここで俺がやられたらこいつは皆を襲いに行くだろう。

そんなこと、させてたまるかよ!

なら、踏ん張れよ俺!頑張ることくらい出来るだろ?


俺はぐっと立ち上がる。限界に近い体を起こし、今までで1番強力な風を纏う。

1発だけだ。この技に全てをかけるしかない。


スっと、俺は居合の形をとる。そして一気にせめる!

黒竜ごと、ダークドラゴンを斬る!


「見せてやる。俺の最高の剣技を。『絶風剣・刹那』」


目にも止まらぬ速さで風の剣は走る。そして、あらゆるものを切り刻む。


「グォォォォォォォオオオ!」


ダークドラゴンが初めて叫び声をあげる。胸元には大きな切り傷とともに血が吹き出ている。


「どうだ!」

「グッ、グゥ、フフ、フハハハハハハ!やるな、やるな人間よ!たった一人で我にここまで大きな傷を付けたのは貴様が初めてだぞ!」


まだ、倒れないのかよ?なら、もう一度だ、もう一度『刹那』を使うしかない。

フラフラとしながら俺は居合の形をとる。

だめだ、上手くとれない、集中もできない。

力が、風が抜けていく。


「だが、貴様ももう限界のようだな。うむ、ならば冥土の土産といこうではないか。貴様の勇気と強さに敬意を示し、我の本当の姿を見せてやろう。」


そう言うとダークドラゴンはバサりと翼を体に巻き付けた。

ダークドラゴンの姿が変わっていく。巨大な竜の姿から人間の姿へと変わった。


「ふう、この姿を見せるとは思わなかったぞ。我は闇龍王ラースである。」


その姿は頭には角が生え、手には大きな爪が、背中からは翼が生え、尻尾も生えている。肌は褐色、髪は黒色、マントのようなものを羽織っている。

1番驚いたのはこいつの姿が女性の姿だったことだ。


「では、終わらせるとしようか。」


ラースが、手を上に掲げると巨大な闇の玉が出来上がる。

ラースはそれを俺めがけて放つ。


疲れと怪我、それに風の使いすぎにより、俺は動けなかった。


「ぐわぁぁぁぁぁあっ!」


まともにくらった。少量の風で体を守ったが、あまり意味は無かっただろう。

後に吹っ飛ばされたが、まだ、生きていた。

だが、立てない。動けない。血が流れる。

ああ、今度こそ、終わりか、


「ほう、まだ、息があるのか、貴様はなかなかに強いな。」


ラースが、そんなことを言ってくる。

俺が強い?何言ってんだか、俺は弱いさ、誰よりもな。


「1つ問おう、人間よ。なぜ貴様は我に立ち向かったんだ?貴様なら地力の差が分かっていただろう。」


「ああ、分かっていたね。今の俺達じゃ勝てない相手だってことは。お前は強い、だけどな、」


俺は弱い。誰よりも。嫌なことから逃げて引きこもって、嫌われるのが嫌で、ならいっそ1人でいようと思った。

だけど、この世界に来て、変わった。立派な成長ではないが、まだ、初対面の人とまともに話すこともできないが、それでも俺はノアに出会い成長出来たんだ。

あの明るさに救われたんだ!


そうだよな、なら、簡単なことだよな、勝てない相手に立ち向かうってのは。


「人間が勝てない相手に立ち向かう理由は単純なんだよ、それは大切なものを守るためだよ。」


俺はふらふらと立ち上がる。頭がくらくらし、体が重くだるい。今にも倒れそうだ。


「俺は英雄なんかじゃない。英雄になんてなれなくてもいい。たった数人のためだけを救えればいい。だから、俺はお前を超えなきゃならねぇよ。たおさなきゃならねぇ。」


俺は心の底から吠える。

こんなところで倒れている場合じゃない。

今の俺にはこいつを倒す力はない。

ならば・・・


「今ここで、限界を超えろ!魂よ奮い立て!己に打ち克て!命を燃やせ!!」

《貴殿の願い聞き届けた。ならば振るうがいい我が力を》


頭の中に声がひびく。そしてカチャリと己のリミッターが外れる音がした。


胸の奥から力が溢れてくる。

体から流れ出た血が巻上がり、俺の体を赤い風が纏う。


《モード;赤神風カミカゼ


己の限界を越えた力が今ここに!


「なんなんだ、その姿は。まだ、強くなれたというのか?面白い!我を楽しませろ!」


ダークドラゴンが字面を蹴りこちらへと向かって来る。

拳を握り、殴り掛かる。俺はそれを受け止める。


「なっ・・・!」


次はこっちの番だ。俺はダークドラゴンを殴り返し、吹き飛ばす。


「ぐっ、がはっ!」


地面を転がり後ろへと吹き飛ばす。


「フハハハハハハ!強い、強いぞ!貴様は本当に人間なのか!」

「当たり前だろ、俺はただの冒険者だよ。」


ここから攻防の始まりである。

ラースと俺は普通の人間では目で追えないような速度で戦闘をする。

殴り、蹴り、防御し、フェイントを入れたり、純粋な戦闘。


現在のつよさで言えば《赤神風》を使った俺の方が圧倒的に強かった。

だが、制限時間があった。もうすぐ風が止むという感覚が体に走る。

今のままでは風が止む前にラースを倒すことは不可能だった。


こっちが有利。ダメージも与えている。だが、相手は倒れない。

技能もあり、能力もある。

流石の強さと言っていいだろう。


ならばどうすればいいのか。答えは簡単だ。己の全ての力を相手にぶつける。一撃で仕留める、それしかない。


「・・・ぬっ?動けん。」


俺はまずラースの動きを竜巻で縛った。手足を拘束し身動きが取れなくした、確実に技を当てる為に。


俺は集中する。そして、風を集める。

ありとあらゆる場所から風を集める。そしてそれを収縮。


手を前に出し、それを組む。

今にでも暴走しそうな力が溢れてくる。

それを力で押し止める。


そして、世界中の風がピタリと止んだ。

嵐の前の静けさ、そして嵐以上のものがラースを襲う。


「《天》」


まさに天災。天にまで高く昇る風の柱がラースを襲った。

凄まじい轟音が鳴り響く。

この中で生きていられる生物などいないだろう。


そして俺はどさりと、その場に倒れた。全ての力を使い果たした。

流石にラースは倒せだろうとそっちの方を見てみるとそこには1つの影があった。


「・・・なっ!まさか・・・?」


そこには両角は折れ、両爪は砕け、右腕がなく、翼も1枚だけになっていて、全身ボロボロで血を流しているラースの姿があった。


「・・・はぁ、はぁ、はぁ、うむ、ギリギリだったぞ。よもや龍脈を使うことになるとはな。」


ラースは生きていた。あの天災を生き延びた。

龍脈と呼ばれる力により、ラースは守られた。


龍脈とは竜の最後の切り札である。竜の能力を飛躍的に上げることが出来るが一定時間経つとそれは切れ、しばらくの間は、防御が低下し、攻撃力が落ち、技も使うことが出来なくなり、更には翼も使えなくなるデメリットがある。

だからこそあまり使えるものではないのだ。


「だが、我の勝ちだろう。貴様はもう動けん。一思いにやってやろう。だが、最後に名を聞こうか。」

「・・・リュウト、カザカミ リュウトだ。」

「そうか、さらばだリュウトよ。貴様との戦い楽しかったぞ。」


ラースは黒竜玉をだし、俺に放ってきた。


ああ、終わりか、全力を出して、出して、出し尽くして勝てなかったんだ、しょうがねぇな。すまねぇなノア、皆んな・・・


迫ってくる黒竜玉、もう避けられない死を俺は受け入れた。


するとフワリと優しい風が吹いた。なんだか懐かしい感じがした。


そして、黒竜玉が弾け飛んだ。


「いやー、さっきはすげぇ風が荒ぶってたな、めちゃくちゃ面白いねー、お前はよ。」


懐かしい声が聞こえてきた。俺はゆっくりと顔をあげる。


「1人でよく頑張ったな、あとは俺らに任せとけ。」

「師匠!!」


そこにはトルネガ=ルルの姿があった。














面白かったらブクマ、評価お願いします!

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