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懸賞当たってコミュ障が異世界召喚!?まずは基本のこんにちはから  作者: リルア=アルマーレ
異世界放浪編
46/62

第46話 ギルド・ブレイブ


試合開始と共に俺らの作戦はスタートする。


*************************************



俺らは作戦会議をしている。


「で、どうするの?どうやって倒すの?」

「まずは目潰しからだ。ノア、頼めるか?」

「ボクが?どうやって?」

「光で何とか出来ないか?」

「うーん、分からないけどやって見る!」


流石はノアさんだ。頼りになるよ。


「で、その次に広範囲に魔法をぶっぱなす。」


俺はここでルルクさんとサツキの方を見る。


「あたしらの出番ってわけかい。」

「私も頑張ります!」


*************************************


「いくぜ!ノア、頼んだ!」

「ほいさ、この1週間で練習したんだよー!『大閃光フラッシュ)』!!」


ノアの手から光の玉が打ち出され、空高く上がり、辺りを光で包み込む。


「ぐわっ!」

「なんだ?」

「眩しい!」


何て声が聞こえてくる。さぁ、ここからだ。俺は叫ぶ。


「ルルクさん、サツキ!やれ!」


大閃光フラッシュ)』の時に詠唱をしていた2人の魔法が放たれる。


大洪水フロード!」

絶対零度アブソリュート・ゼロ!!」


フィールドを水で覆い尽くし、それを凍らせる。これで雑魚を一蹴する。


「よし、攻めるぞ!!」


俺は声を張り上げる。ここまでは作戦通り、このまま上手くいってくれ。俺はそう願う。


「「「了解!!」」」


ギルド、タロウ、ノアが返事をし、俺についてくる。ケコ、ルルクさん、サツキは、防御を担当する。



***************************************


「魔法をうったあとはどうすればいいんですか?」


サツキが質問してくる。


「防御に徹してくれるか、ルルクさんとケコも、頼む。」

「はい、分かりました。」

「城を守ればいいんだねぇ、分かったよ。」


ここでノアが手をあげる。


「じゃあさ、ボクは何をすればいいの?目くらましして終わり?」

「いや、まだ出番はある、てか、こっからが大変だ。」


俺の一言に皆は息をのむ。この場に少し緊張がはしる。


「相手のクランにはSSランクが四人いる。そいつらを倒さなければ勝てない。」

「うへぇ、四人もいるの〜、流石は巨大クランだね。」

「カイ・ラルト、シン・ソルナ、シオン・レン、そして、グンジョウ・ライガだ。」


ゴロウがSSランクの人物を全員あげる。


「そう、そいつらを各個撃破する。」

「でもさ、みんなで倒した方が楽なんじゃないの?」


ノアが質問をする。いい質問だと言えよう。俺もそれを考えた。だが、それだと負けに繋がる可能性が高い。少しでも勝率を上げるのだ。なんせ俺らは数が少ないからな。


「それだと一人倒そうとしている時に他の奴らに乱入され、不意打ちを受ける可能性がある。しかも直接城を狙われる可能性もあるんだよ。だから、そいつらを絶対に倒さなければならないんだよ。」

「なるほどー、ならその役目って誰なのかな?」

「そりゃ、カイって奴にはギルドお前がいってくれ。シンにはゴロウ。そして、シオンにはノア、いってくれ。」


ノアは驚き「へっ?」と気の抜けたような声をだす。


「ボク?ボクがやるの?」

「そうだよ、お前なら出来る。頑張ってくれ。」

「……ボクがか、自信ないなー、」

「そう気負うなって、大丈夫、お前は強い。ノアが俺の強さを知ってるように俺もノアの強さを知ってるぜ。だから、大丈夫だ。」

「リュウ・・・ありがとう、ボク、頑張るよ!」


ノアがいい笑顔で笑う。俺はこの笑顔が好きだなー、としみじみと思う。


「ボクがシオン、で、ほかの2人も決まってる。てことは、」

「そうだよ、俺がライガと戦う。あいつは俺が相手をする。」




***************************************


俺ら四人は相手陣地へと切り込む。そして、目標の撃破へと移行する。


四人でバラケながら誘導をする。相手の性格を利用する。ライガの性格上絶対に俺を狙ってくる。そんなやつだ。


そして、俺の作戦通りに四人のSSランクを別れされ、倒しにかかる。


「なんだ、俺の相手はお前か?リュウト。」

「始めから狙ってただろうに、まぁいい、俺が相手をしてやるよ、ライガ。」

「いいな、いいぜ!やってやるよ!」


「『雷帝』グンジョウ・ライガ」


戦い前に名乗るやつか、俺は、風の英雄?一刀両断?いや、この名じゃない。ここはこれでいくべきだ。絶対的な強さを、風を、俺に。


「『絶風』 カザカミ・リュウト」


「さぁ、やろうぜ!!」


さあ、ここからが正念場だ。みんな頑張れよ。


「私の相手はあなたですか、勇者さん。相手にとって不足はありませんね。」

「カザカミさんのためにもここは負けられません。」


「『火鷹』カイ・ラルト」

「『勇者』ギルド・ブレイブ」

「「いざ、尋常に勝負。」」



「なんだ、俺の相手はお前かぁー!楽しみだなぁー、お前はどれだけ持つのかなぁー、」

「さっさと始めるぞ、お前はここで倒す。」


「『破壊者』シン・ソルナ」

「『大地の怒り』ゴロウ」

「「勝負!」」


「あたしの相手は君かなー、お嬢ちゃん。お姉さんが倒したあげるぞ!」

「へぇー、お姉さんって年なのかな?おばさん?」

「誰がおばさんだって?殺す!お前だけは絶対に許すものか!」

「ボクだって負けられないよ、リュウのために頑張るんだ。」


「『美蝶』シオン・レン」

「ボクに二つ名があるかどうかは分からないんだけど、一応こう名乗っておくよ。『聖光』ユウキ・ノア」


「「勝負!」」


四つの地点で戦いが始まった。




***************************************


各地で大きな音を立て、土煙が上がる。

ここにも2人の戦いが繰り広げられていた。


「ふっ、流石は勇者、とでも言うべきですか。私を前にこれだけ長い時間立っているなんて、ライガさん以外に初めてですよ。」

「僕は勇者です。こんな所で負けるわけにはいきません。」


戦況は勇者が劣勢。なかなか厳しい状況である。


「ですが、諦めて倒れてください!」


カイが攻めてくる。カイは二つ名の通り火を使う。炎の鞭を使い遠距離から攻撃をするスタイルだ。変幻自在と動く鞭を凌ぐのは至難の技である。


ギルドはその技に翻弄され、大量のダメージを受けている。体にたくさんの火傷を作り、肩で息をしている。


「ぐわっ!」


ビシバシと鞭が当たる。剣で受けることも出来ない。なす術はない。


だが、ギルドは、勇者は決して倒れなかった。両の足で地面をしっかりと捉え、傷を増やしながらも、それでもなお立っていた。


「ふむ、いい加減倒れてくれませんかね?私も疲れるんですよ。あなたは私に勝てません。悪あがきはよして下さい。」

「断ります!ここで倒れたらカザカミさんに恩返しが出来ません!」


ギルドは悔やんでいた、自分の弱さを。嘆いていた自分の力のなさを。魔将にやられたその日から。


ギルド・ブレイブは勇者として生を受けた。勇者としての証、『英雄の加護』を持っていた。


ギルドは勇者として育てられた。みんなに期待されながら、鍛えられ、学んできた。


ギルド子供の時から強かった。天狗になっていた。同世代では負けることも無かったし、大人でも勝てるものはいなかった。僕は負けることは無いんだな、僕はいちばん強い、と思っていた。ここからだろう、あまり努力をしなくなったのは。


ギルドは勇者として旅に出た。各地で歓迎され、もてなされた。ギルドはやはり自分は凄いのだなと知った。


ギルドは魔法国家に魔将の討伐の依頼をされた。自分の力ならいけると思っていた。しかもそれに加え、伝説の賢者に自分ほどではないが強い仲間がいるらしく、これならば負けることもないと確信までしていた。


だが、結果はまるで歯が立たなかった。相手に本気を出させることなく負けてしまった。ああ、自分は死ぬのだなと、思った。

だが、その時急に扉が開かれ、この状況に合わないような服装の男が入ってきたのだ。


ギルドはダメだと叫んだ。こいつは強い、面白半分に戦おうとしていい相手ではないと。

ギルドは目の前の男がすぐに魔将にやられてしまうと思った。

だが、結果は違った。凄まじい戦いが繰り広げられていた。豪風が巻き上がりながら魔将と互角に、いや、それ以上に戦っていた。


頑張ってくれとギルドは心の中で叫ぶ。しかし、その期待は虚しく、その男が吹っ飛ばされた。この人でも勝てないのか、いや、魔将に勝てるのはこの人だけだ。この人しかいないと、ギルドは思った。


そして、力を振り絞り、立ち上がる。希望のために!ギルドは男が回復するまで粘った。自分の力を全力でだし、足止めだけに重点を置いて。


そして、男が立ち上がる。男の姿は変わっていた。エネルギーが溢れ、強大な力が伝わってくる。凄い、純粋にそう思った。その男は魔将と再び戦い始める。動きが早く、目で追うことは出来ない。勇者は思った。自分は何て弱いんだろうと。この弱さを恥じ、悔やんだ。そして男は魔将に勝った。


ギルドは自分を鍛え直そうと考えた。今までは自分の力を過信しすぎ、増長していた。自分は弱い、カザカミさんのように強くならねばと思った。


そして勇者とは何なのか、英雄とは何なのか考えた。英雄としての力を身につけようと各地を旅した。たくさんの人と触れ合い、たくさんの戦闘をこなし、毎日の努力を怠らなかった。ギルドは強くなった。勇者として成長をし、力を身につけた。かつて自分の目の前に現れた英雄のようになるために、


「僕は強くなりたい!勇者として、英雄になるために!そう願い僕は努力をした、かつての自分を変えるために。」


ギルドの周りに光が集まり、包み込む。


「今更何をするつもりかは知りませんが、なんかを纏っただけで私は倒せませんよ。」


カイは鞭を振るう。だが、その鞭は偶然にも外れる、そう、偶然にもだ。


「手元が狂いましたか、でも、ここで終わりです!」


再び鞭を振るうが、その鞭は一向にギルドには当たらない。


「何故だ!なぜ当たらない!?」


伝説の勇者とは、英雄とはご都合主義な存在である。どんなにやられていても最後には必ず勝ってしまう。どんなにピンチになったとしても新たな能力に目覚め解決をしてしまう。そんな存在である。


現在ギルド・ブレイブはそのご都合主義状態なのだ。相手の攻撃は偶然にも外れ、こっちの攻撃は必ず当たる。そして最後には勝つ、そんな状態である。


ギルドは自分の能力について調べ、鍛えてきた。そして使えるようになったのが準備に時間はかかるが、たった五分間だけの絶対無敵状態、『英雄伝説ザ・レジェンド』!!


「僕は真の勇者になるために、あなたを越えさせていただきます!」


ギルドの剣が光に包まれる。そしてその剣は聖剣と化す。英雄が持つ剣は、勇者が持つ剣は、全て聖剣となる。


「聖剣エクスカリバー!!」


ギルドの掛け声と共に光の剣がカイに当たる。この攻撃は絶対に避けられない、避けてはならないのだ。


「ぐわぁぁぁぁあ!!」


カイは吹っ飛びその場に倒れる。そして、


「はぁ、はぁ、はぁ、後は頼みましたよカザカミさん、頑張ってください。」


ギルドはぐらりと揺れ、その場に倒れた。


カイVSギルド

勝者ギルド、しかし負傷、能力の使用により気絶。


『カレッジ』残り6名。






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