第38話 全力の戦い
更新遅れました、申し訳ない!
獣人国、その名の通りここは獣人の国である。犬から猫、鳥などはもちろんなんかよく分からない種族までいる。
全身獣みたいな獣人と人間に耳と尻尾を生やしただけの獣人といた。そう言えばブレイドさんも犬の獣人だったなー、元気にしてるかなー、
「いやー、本当にどこもかしこもケモミミだね!流石だよー!」
ノアは興奮が隠しきれていなかった。かく言う俺もかなりハイテンションなのだがな!
だが、獣人国はケモミミだけではない。獣人国は、なかなかいい場所だ。街の雰囲気も良いし、美味しい食べ物も多かった。特に肉だ。肉料理は半端なく美味しかった。日本でも食べたことが無いレベルのものだった。
「いやー、いいところだねー、獣人国は、俺、結構気に入ったぞ。」
「そう言っていただけると自分も嬉しいです。」
ふふ、とケコは微笑む。
「どこか行きたいところとかありますか?」
「そうだなー、ここになにがあるか知らんしなー、」
「ボクもよく分かんないや、」
そんな話をしていると、近くの男が突然、
「あー!今日はタイガーの試合日だったー!」
「なっ!そうなのかよ、早く言えよ!そうと決まれば早速見に行こうぜ!」
と凄い勢いで走って行ってしまった。
タイガー?試合?何それ?
よく分からないと俺は悩む?まぁ、人気なのだろう、だってさっきの男達の会話を聞いた人たちが全員走っていったのだから。
「ねぇ、ケコ、タイガーって誰のこと?」
「うーん、すみません分かりません。多分ここ最近になって話題になった人物のことでしょう。自分は村の調査でしばらく獣人国にはいなかったですからね。」
なんだ、ケコでも分からんのか、これは少し気になるな。
「時間もあるし、見に行って見ようぜ、人気みたいだしな、」
「そうだね、ボクも行ってみたいな!」
「では、行ってみましょう!」
俺らは闘技場に向かった。この闘技場で試合が行われているらしい。面白そうだ。
闘技場に入ってみるとそこはいろんな獣人や、人で埋め尽くされ、凄い熱気だった。
うっわ、すげ、人多くね?どんだけ人気なんだよ、そのタイガーってやつ。
試合場所を見てみる。そこには1人の猫のマスクを被り、白い尻尾が腰辺りから出ている女性と、でっかくごつい熊の獣人が戦っていた。
おい、どこだよ虎は、猫と熊じゃん、しかも、片方、獣人族じゃないだろ、
とか思っていると実況の人が、
「今回も始まりました!タイガーの試合!その俊敏な動きに加え、強い攻撃力をもつ彼女はもはや猫ではない!そして、そんな彼女に挑戦するのが、傭兵をやってはや20年、彼のお陰で生きている人は多くいる!熊の獣人
べアル!!」
わー!と歓声が聞こえる。
強そうだなー、くまの人、そしてやっぱり猫だったよ、勝てんのかねぇ、猫の人は、
「さぁ、行きましょう!戦闘開始です!」
カーンと鐘がなり、試合が始まる。
試合は一瞬で終わった。猫の人の圧勝で。
試合内容は簡単だ。くまの人が突っ込んでいき、殴りかかろうとした所を顎1発KO。だが決して熊の人が弱かった訳ではない。熊の人はその巨体からは想像も出来ないほど早い動きをしたのだ。だが、猫の方が強かった。その早さを上回るスピードで的確な1発、気づいたら熊の人は倒れていたと思える程だった。
俺は鳥肌が立った。
すげぇ、俺も戦ってみたい、どんだけ強いのか、これはテンションが上がる。しかし、どうやったら試合に出ることが出来るのだろうか?ふむ、特別な何かがいるとかか?
と俺が悩んでいると再び実況が喋り出した。
「いやー!素晴らしい試合でした。流石はタイガー!おっと、ここで嬉しい知らせだ!明日、ここでタイガーへの挑戦権をかけた闘技大会を開催します!挑戦したい方、集まってくれ!」
オオオ!と声が上がる。
これは!俺にツキが回ってきた!でるしかないな!
「よし、ノア、ケコ、俺は明日これに出るからよろしく。」
「えっ!リュウこれにでるの?タイガーって人と戦いたいの?」
「ああ、面白そうだ。」
「分かったよ、流石は戦闘狂だね、じゃあ、ボク、応援に行くよ!」
「自分も応援させていただきます!」
「おう、さんきゅー、頑張るわ」
ってことで俺は闘技大会に出ることを決めた。
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闘技大会当日、凄い人が集まっている。200人くらいいる。多いな!
ここで大会運営からの諸注意と簡単なルールの説明があった。
ルールはとりあえず人数を減らしたいらしく、バトルロイヤルルールで8人まで減らすらしい。めちゃくちゃ減らすな!
で、武器の使用は禁止、服装は大会が用意
したものを着用することだそうです。パーカーが着れないのは辛いが頑張るしかないな。ちなみに、加護の使用は自由です!
試合本番、すごい数ということで、適当に二つのグループにわかれ、そこでバトルロイヤルすることに、ちなみに俺は第一グループでした。
てことで早速試合開始、みんな近くにいる人を殴り、場外へと出していく。場外にだす、戦闘不能にするの二つが勝利条件である。
俺も当然狙われる。人間だしな!参加者のほとんどが獣人である。殴りかかられたり、掴まれそうになったり、
まぁでもそこら辺の奴らには負ける気がしない、だって体の回りに風を軽く巡らせているだけで防御も出来るし、相手の攻撃を容易に避けることが出来る。楽勝ですね。俺はしっかりと勝ち上がった。
第二試合を見たが、まぁ特に面白いことは無かった。アイツ強そうだな〜って奴が勝ち上がって終わり、次はトーナメント戦となる。
トーナメント戦では苦戦する相手はいなかった。纏風で余裕で切り抜けることが出来た。でも獣人と戦えたのは良かったね。なかなか楽しかった。戦闘中に少しモフらせてもらった。
まあこんな事があって闘技大会は優勝、ってことでタイガーへの挑戦権を獲得しました。
「さぁ!優勝者が決まりました!圧倒的強さで勝ち上がったリュウト選手だ!そして、リュウト選手VSタイガーの試合だー!」
ワーと歓声が起こる。
あー、楽しみだ、タイガー、
と思っているとザッザッと猫の人、タイガーがゆっくりと歩いてくる。
「あなた、強いわね、私を楽しませてちょうだいね。」
なるほど、相手もなかなかの戦闘好きとみた、これは面白い試合になりそうだ。
俺はニヤリと笑い、ザッと戦闘の構えをとる。そして猫の人も準備が完了したようだ。
「さぁ!いくぜーー!試合開始!」
さて、とりあえず小手調べだ。俺は軽く風を纏い、猫の人に近づき、攻撃を仕掛ける。猫の人はそれを避け、こっちも攻撃をしてくる。相手のパンチを手でガードをして受ける。
重!なんつー重さだよ、風纏ってんのに、この強さか、いいね!少し、力をだそう!
「『纏風』!!」
相手と俺の攻防、猫の人は俺の纏風のスピードについてくる。それよりか、俺は押し負けている。攻撃力だけでなく、スピードも。
マジかよ、纏風でダメ、これは舐めてかかったらダメだな、
俺はすぅーと一息深呼吸をする。
「『纏嵐・韋駄天』!!」
ごうっと風は豪風となり、俺の力となる。猫の人はそれを見て少し驚き、笑った。
こいつも楽しんでんだなと俺は思った。ならば俺も、遠慮なしにやらせてもらおう!
観客の目にはなにが起こっているのかが分からなかった。ただ、闘技場に立っている2人とおそらく拳と拳がぶつかり合っているであろう轟音が響くだけだった。
「あなた、流石だわ!ここまで力を出して、私と互角だなんて!」
ははっ、それはこっちのセリフだよ、まさかの纏嵐にまでついてくるとはね、驚きだよ。
「いいわ!私の本気見せてあげる!」
と猫の人は言うと纏っている雰囲気が変わった。見た目に変化はない、だが、先程よりも強い感じが凄く伝わる。
なんだ?これは、少し、いや、かなりヤバいね、俺も出し惜しみをしてる暇はないってか、
「モード;建御雷!」
「轟け、『風神力解放』!」
俺は自分の中にある風神の力を呼び起こす。正直これは使う気は無かった、てか使わなくても余裕だと思ったら。流石に舐めていた。
相手の建御雷の力と風神の力がぶつかる。
流石は武神の力だ。基本的な戦闘能力では相手が上をいく、だが、こっちはいろんな技がある。相手の攻撃をギリギリで避けつつ、風を使い相手を攻撃、しかし、互角である。
強いな、流石は武神を使うだけある。もしかして持ってるのって『武神の加護』とかじゃね?神加護相手かー、キツイねー、
お互いに攻防を繰り返し、体力ももう少ない。もうすぐで勝負は終わる。おそらくあと一撃で決着が着く。
なんだか、よくアニメである奴じゃないか、ラスト1発に全てをかける的なあれ、
俺は右手に風の力を集中させた。強く、強くと念じながら、右手に風が集まっていく。
風は集まり、強風となる。強風は豪風へと変わり暴風へと成り代わる。やがてそれは嵐となる、
勝負!!
互いに今出せる最高の技をだす。
「あなたと戦えて楽しかったわ、でもこれで終わりよ!『トヨフツ』」
「俺は負けねぇよ『風神技・暴風撃』」
互いの拳がぶつかり合う、大きな音をたて、土煙が舞った。
勝ったのはどっちだ、と観客は固唾を飲み、見守る。時間がたち、土煙がだんだんと晴れてきた。そこには一つ影が立っていた。
「俺の、勝ちだ!」
勝ったのはリュウトだった。ボロボロになりながらも両の足で地面を踏んでいる。対するタイガーは闘技場で大の字になって寝ていた。
「あなた強いわね、私、負けちゃったじゃない。初めてよ勝負に敗れたのは。」
「あんたもすげぇよ、俺もここまで苦戦するとは思ってなかったわ」
「名前、聞いてもいい?」
「リュウト 風神 龍飛だ。」
「リュウト、そう、私は不知火 凛子よ。」
「そうか、やっぱりお前もか、」
「ええ、そういうあなたもなのね。」
「ああ、」
こうして俺は新しい異世界召喚者に出会った。




