第30話 霧の中で
次回!更新遅れます!
朝日が照りつける気持ちのいい朝。リュウトはウーンと伸びをして起きた。
はぁー、眠い、あと腕が筋肉痛だわ、腕痛てー、とりあえず起きるかー
大きなため息を付きながらダラっとリュウトは起き上がり、準備をして、宿の1階に向かう。
「よぉー、おはよう、」
右手を少しあげ朝の挨拶をする。
「もーう、遅いよ!ボクが呼んでから30分もかかってるじゃないか!」
「さーせん、なんか奢るから許してけろ、」
「まぁ、別にいいんだけどさ。あっ!でも奢っては貰うからね!」
朝からたわいもない会話をしながら朝ごはんを食べる。
「で、今日は何するんだっけ?」
「今日はギルドでなんか適当に依頼を受けようと思うんだ。」
「そうか、じゃ、これ食ったら行くか」
簡単な朝ごはんを食べ終え、ギルドに向かった。
さてさてさてー、いい依頼はないかなーっと、
「見てみて、これなんかいいんじゃない?」
ノアは一つの依頼書を指さした。
▪▪▪▪▪
Aランク
フォレの森の魔物討伐
銀貨 20枚
▪▪▪▪▪
ほう、フォレの森の魔物討伐ねー、しかもなかなか報酬が美味しいじゃないか、依頼受けんのも久々だし、こんなもんでいっかー
「おし、じゃあこれで」
「OK、じゃあ、詳細を聞こうよ。」
この依頼書を受付嬢の元に持っていく。そしてそこで森の説明と討伐する魔物の詳細を聞いた。
討伐する魔物は『グランド・スパイダー』と言うAランク相当の魔物だ。名前の通り蜘蛛型の魔物でサイズは人よりも1回りデカイくらいの大きさだ。毒の霧を吐くのが厄介だそうでその毒を浴びると24時間以内に解毒しないと死ぬというまあまあ強い毒だ。
俺ら2人は解毒剤を何個か買い、探索に必要なもの諸々を準備した。
「じゃ、準備も出来たことだし、行きやすか」
「オー!」
俺の掛け声にノアが反応する。
俺らは街から少し歩いた所にあるフォレの森に着いた。
「ここか、普通だな。」
「まっ、森ってこんなもんでしょ、珍しい森の方が珍しいくらいだよ!」
そんなもんか、と思いながら森の中に入っていく。森の中は特に変わった様子もなく、至って普通の森だ。敵の強さもBランク相当の魔物が沢山でるようだ。Bランクくらいならばそう手こずらない。剣でバッシバッシと襲ってくる敵を倒しながら進む。
「今くらいなら余裕だな。」
「そだねー、でも油断は禁物だよ?」
「分かってるって」
結構森の奥に進んだが、まだ蜘蛛は出ないな、もっと奥にいるとか?
そんなことを考えていると前からガサッと音が聞こえてきた。
さて、お次はどんな魔物のご登場ですかー?
リュウトはかチャリと刀を構える。すると目の前な現れたのは猿型の魔物だった。
「なんだよー、蜘蛛かと思って期待したのによっと!」
バサりと猿の胴体を真っ二つにし、素材を剥ぎ取ろうとした時、
「リュウ!!危ない、後ろ!!」
ノアの声が聞こえた瞬間に後ろを振り返えろうとするとビチャリと俺の背中に何かが当たる音がする。
なんだ!?これは、糸?くっ、引っ張られる!
体が引っ張られる感覚がし、急いで風でその糸を切る。
「リュウ!大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ、いよいよお出ましだよ、お目当てさん。」
糸が出てきた方を見てみるとそこには大きな蜘蛛がいた。そう、『グランド・スパイダー』だ。
「うへぇ、結構気持ち悪いねー、」
「そうだな、さっさと倒すぞ。」
「りょーかい」
ノアは弓を構え、俺は刀を構える。2人は戦闘態勢をとる。
ノアは弓を引き、矢を放つ。まっすぐと飛んでいった矢は蜘蛛の体には当たらず、糸に止められた。
「うわー、あんなことも出来るんだねー流石はAランクってとこかな。」
とりあえず俺は刀で切りかかってみる。それを蜘蛛は素早い動きで避ける。
ふむ、まだ刀には慣れないな、なかなか使い方が難しい。
ノアが矢を放ち、逃げた先を俺が刀で攻撃。だんだんと相手の動きにも慣れ、攻撃が当たっていく。相手は素早い動きで森の奥へと逃げていく。
「逃がすかー!」
俺らはそれを追っていく。
俺が足を3本程切り落とし、蜘蛛の背中に矢がいくつか刺さったところで、蜘蛛は動きをかえた。
「きしゃゃゃやーーーー」
と叫び口に紫色の霧が立ち込める。
「リュウ!毒霧がくる、準備して!」
ノアの合図と共に俺は風を呼び起こす。
蜘蛛が毒霧を放つ。辺り一帯が毒に侵される。しかし、俺とノアは無事であった。風で毒霧を全て防いだのだ。
「じゃあ、止めといくぜ!」
毒霧を使い、疲弊している蜘蛛目掛けて刀を振るう。ザクりと蜘蛛は真っ二つになり、討伐が完了する。
「しゃー、終わったー」
俺はグーンと伸びをする。
「まぁまぁの敵だったね、」
「そだな、まっ、俺たちなら余裕だったな、」
「初めての割に、いい動きが出来たんじゃないかな?ボク達」
「まっ、今度は能力をフルで使った連携でもやるか」
「OK!じゃあ剥ぎ取ろうとろうよ!」
俺とノアは蜘蛛を解体する。
「いやー、気持ち悪いねー解体って、ボク苦手だなー」
「俺だって得意では無いぞ、でもやらないと報酬が減るし、しゃーなしだぞ」
解体した蜘蛛を袋に入れて、持ち帰ろうとした。その時だった。
「なぁ、ノアさん帰り道どっちだ?」
今いる場所がどこか分からなくなっていた。
「……ええと、……」
嫌な予感がしてくる。
「なぁ、まさかのさ、これってさ…」
「う、うん、そのまさかだよ、ボク達…」
「「迷子だ!」」
森に2人の大きな声が響く。
やばいぞ、どうすんだよ、これ?救助を待つ?いや、冒険者にそんなシステムはない。じゃあどうする?歩いて出口をさがす?いや、でも、、、
「ねぇ、リュウどうする?」
ノアが俺に尋ねてくる。しかし聞かれたところで何かいい案があるわけではない。こういうときってどうすればいいんだっけ?と悩んでいると一つの案を思いつく。
「俺が少し木の上に行って周りを見てくる。それで出口を、探そう。」
キュインと足に風を集める。ぐっと力を入れ、上にジャンプする。凄い勢いで飛び上がり、あっという間に空にでる。くるりと辺りを見渡し、街の方向を確認し、下に落ちていく。着地する瞬間に風を使い衝撃を抑え、地面へと降りる。
「どうだった?」
「おう、あっちの方向だ。」
さっき街が見えた方向を指さす。
「良かったー、リュウがいれば迷子にならないねー」
「今度からはちゃんと道を覚えておこうなー」
「はーい」
2人でゆっくりと歩き出す。
しばらく歩いたところで違和感があることに気づいた。
「なぁ、なんかおかしくねぇか?」
「うん、ボクも思ったよ。」
「さっきから一向に街につかないし、行きに沢山いた魔物が1匹も出ない。おかしすぎだろ」
「うん、それに何だかいや感じがするよ。」
何が起こっているか、分からなかった。
さて、どうするのがいいんだ?このまま歩き続けて街に着くとも思えない。しかし、立ち止まるのも安全とは言えない。
と考えているとだんだんと辺りが霧に包まれていく。
霧?なんだこれは?こんなものが出るなんて聞いてないぞ。
霧で辺りが白く染まり、視界が悪くなる。
「おい、ノア大丈夫か?」
安否確認をする。しかし返事はない。
「……ノア?おい!返事をしろよ?」
急いで後ろを振り返るとそこにはノアの姿は無かった。
はぐれた?…のか、いや、でもさっきまで一緒にいたぞ?しかもだんだんと霧が濃くなってきやがった。クソッ、どうすればいいんだ?
「おーい!ノア!返事をしてくれー、どこにいるー!」
霧の中、声をかけながら辺りを探索する。
霧が厄介だな、、、そうだ!風ではらえばいいんだ。よし、
いつもの通り体に力を込め、風を呼び起こす、、、、はずだった。
何でだ?風が起こらない?いや、そんなはずは、
何度も何度も風を起こそうとするが結果は同じ、全く風が起こらないのである。
やっぱり風が起こらない、こいつはやべぇな、厄介過ぎんだろこの状況、さて、どうすっかねー
リュウトとノアは『霧の森』に迷い込んでしまった。
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