第29話 熱くなれ!男達の戦い!
ちょっとGWのせいで更新遅れました。結構忙しかったです。五日更新目指すとか言った矢先にすみません!
これからはできる限り頑張るのでよろしくです!では3章張り切ってどうぞ!
ある日ある町のギルド内はとてつもない熱気と男達の猛々しい歓声に包まれていた。
一つのテーブルを何人もの人が囲っている。その中に2人の男が手を握りあっていた。一人の男は赤い服に身を包み、腰に赤い刀を携えている。180位の長身に細身ながらも腕には鍛えられた筋肉がある。もう1人の男は黒い服に剣を二本持っている。ガタイが良く、ゴリッゴリとした腕が見える。
「いくぜ、レディー」
この掛け声がかかった瞬間 シンッと辺りは静まり返り、中の男2人に緊張感が生まれる。
「ゴーーー!!」
ワーと大きな歓声が響く。2人の男は手に一気に力を入れ、互いに相手の手をテーブルにつけようとする。勝負はすぐに着いた。
ドンッと手がつく音がする。テーブルを見ると手がテーブルに付いていた。上にある手は細く鍛えられていた腕だった。そう、勝ったのは赤い服の男だ。
「シャァァァァアーー!!」
男が叫ぶと周りの男達も歓声を上げる。
それを遠くから座って見ていた女がいた。
「はぁ、何でこうなったんだっけ?」
ため息を付きながらつぶやく。
ーーー時は数時間前に遡る。
リュウトとノアはある街に辿り着いた。
「へーい、到着!なかなか長かったー」
「結構時間かかったね、やっとゆっくり出来るよ。」
リュウトとノアは魔法国家マジアから旅をし、ここに来たのだ。道中では特別ことは起きず、比較的安全に来れた。
「さて、まずどうします?」
「うーん、ボクはとりあえず宿に行きたいかな、ちょっと休憩したいし」
「りょーかい、宿探しといきますか。」
************************************
よし、宿もとれたし、これからどうすっかなー、街でも見回って見るか、何か面白いものでもあるかもだし、
「へい、ノアさん、俺は街を歩くけど、ノアさんはどうする?」
「ボクも一緒に行くよ。街の中は探索したいしね!」
「じゃ、行くか」
とノアと一緒に宿を出て街の中を見回る。
あれ?女子と二人っきりって、これってさいわゆる世間でいる所の「デート」って呼ばれてる奴じゃね?なんか意識すると恥ずかしくなってくんな、
「リュウ!ここの名産はメロンだって!ほら、見てみて!あんなにあるよ!」
ノアがはしゃいだ様子で俺に話しかけてくる。
ノアさんはあんまり意識してないみたいだな、まっ、それもそうだよな、なんか自分だけ意識してんのも恥ずかしいし、普段通りでいいかー
「おう、凄いな。メロンがいっぱいだ。」
「もう!反応が薄いよ!適当に返事してー」
ノアが頬を少し膨らませながら怒ってくる。
「あっ!そうだ冒険者ギルドに行こうよ!ボクとパーティを組もうよ!」
パーティか、そんなんもあったなー、結構1人で活動してたから忘れてたわー、でもあれ?ノアさんって冒険者ギルドに登録してたのか?
「なぁ、ノアってギルド登録してんのか?」
「うん、してるよ、なんとランクはSだよ!」
「えっ?まじで、Sなの?」
マジかよ、ノアさんSいってたのかよ、それってさ、武器になる前になったんだよな、俺がノアさんに出会ったのって、、、ノアさんSランクになったの俺より早い…だと!?
「まじまじ、ホントだよー、ほら、」
ノアはゴソゴソと冒険者カードを取り出した。そこにはちゃんとSという文字が刻まれていた。
うわぁ、マジだよ、
「そういえばなったとか言ってたな。忘れてたわ。」
「忘れるなんて酷いなーもう」
「いつ、どうやってなったかって聞いてもいい?」
「えっとね確か、この世界に飛ばされてから1週間くらい?だったかな。確かたまたま放った矢がなんか強い敵?に当たったらしくてさ、それで沢山の人が救われたらしいんだよねー、でその功績でSランクになったんだよ!」
なんだよ運か!たまたま放った矢って、俺の努力は?風を使いこなして頑張ってたあの努力の日々は?
「へっ、へー、そうなんだーそれは凄いな」
「ふふん、凄いでしょー、リュウに勝ったよ!で!これがその時の倒した敵の素材で作った装備だよ。」
ノアはクルッと周り自分の装備を見せた。その体には皮の手袋に矢筒に弓があり、それ以外は元から持っていたようなものを着ていた。
「これは確かえっと、なんだっけ?
……そう!「ジャイアント・グロウ・デスグリフォン」?とか言う奴を仕留めたんだよ!遠くで弓の練習をしてたらなんか手が光ったから、あっ!これはいける!と思ってさなんか矢を放ってみたらこいつに当たってたって訳だよ!あと、他にも結構装備は作っておいたんだ!今はしまってるけどね。」
随分と物騒な名前の敵ですねー、絶対強いよ。だって名前にデスとか付いちゃってんだもん、アウトだよね!
とこんな感じの話をしていたら、いつの間にか冒険者ギルドに着いていた。
扉を開け、中に入るとそこはいつもの通り沢山の冒険者で賑わっていた。
「相変わらず凄く賑やかだねぇ〜、さっさと用事を済ませるか、」
ボソッと呟き、カウンターの方に向かう。とその時、突然、後ろから声が聞こえた。
「おい!そこの兄ちゃんよぅ」
よし、気のせいだな、ここにはたくさんの兄ちゃんがいる。俺のことではないだろう。
と気にせずに歩いていこうとすると肩をガシッと掴まれて、
「おいおい、無視するなんて酷いじゃねぇかよぅ、ああん!」
うわっ、もう、怖いわー、まじ怖いわー、何、俺がなにかしたの?何やらかしたの?まじで身に覚えが無いよ。
「アンタ、『風の英雄』様だろ?その赤い格好に珍しい白いガントレットをはめている。間違いないな。」
ちょっと待て!いや、何で?なんで知ってんの?俺の特徴と言い、その二つ名?と言い、俺が魔法国家出てからそんな日が経ってないよね?広まるまでそんなに時間たってませんよね!?マジで、なんでだよ!
と俺が独りでに悩んでいるとノアがそっと1枚の紙を差し出してきた。
「多分、これのせいじゃないかなってボクは思うよ。」
「どれどれ?」
差し出された紙を受け取り中身を見てみるとそれはなんと、題名に『魔法国家で風の英雄誕生!』と書かれた新聞だった。
ええと、何これ?何なの?
とりあえず読み進めてみる。
「つい先日、この世界の人々を苦しめてきた魔将グラウ・ザガールが一人の冒険者の手によって倒されました。その冒険者の名は「カザカミ リュウト」、ランクはSランクで、特徴としては赤い珍しい服に珍しい白いガントレットを身につけているんだとか!」この文に加え、大きな俺の写真まで掲載されていた。
何勝手に載せてんのさ!俺の名前だよ!俺の特徴だよ!それダメだよね。アウトだよね!
さらに読み進めてみると、
「カザカミ リュウト氏は風を操り、勇者一行でもかなわなかった魔将を圧倒したとか!これはSSランクに上がるのは近いかもですねー、それではまたお会いしましょう!
著者 クレイド・グリフォン」
よーし、このクレイドとか言う奴を見つけて懲らしめてやんぞ!絶対文句言ってやるわー、
「で、えっと、な、何かよっすかね、」
アウチ!ちょっとミスったな、キョドってしまったよ、
「まぁな、お前、本当に強いのか?本当に魔将を倒せるだけの力があったのか?勇者達の力に頼って、最後美味しいとこだけ持ってったんじゃないだろうな?」
わお、凄い言いがかり付けますね、これ俺が短気だったらさ、この人たちはボコられてるよね、良かったね、俺が小心者で!
とその場を無かったことにして、歩き出そうとした時、
「ちょっと!その言いがかりは酷いんじゃない?リュウはちゃんと魔将を倒したんだからね!」
おい!ノアさん、何言っちゃってくれてんの?この話を広げないで、この流れは決闘とかする流れだから、面倒くさから!
「信じらんねぇなぁー、よし、じゃあ、そこまで言うなら俺と勝負しな!」
ほらー、きたよ、予想通りだよ、もう、既にめんどくさいよー
「いいよ!勝負の内容は?」
ここでノアさんが代わりに答えちゃってんだよね、起こってくれんのは嬉しいんだけど、俺は面倒なことは嫌いだよ?てか、前も同じようなことあったよね、
「そうだな、ここはこの街の伝統に習って、『腕相撲』で勝負だ!」
……『腕相撲』ってあの腕相撲?
いやいやいや、そんな訳ないじゃないか!いやだってね、冒険者同士の争い事が腕相撲ってね、なんかしょぼくね?いや、めんどくさいんだよ、めんどくさいんだけどさ、なんかね、嫌じゃん、ショボイとなんかテンション下がるじゃん。
「おら、さっさとやるぞ!」
怖い感じのお兄さんがドカンとテーブルの前に座り腕を立てる。
やる気満々だよ、この人、ええー、腕相撲でさなんで俺の強さが分かんのさ、まじ疑問だよ。とりあえず、さっさと終わらせてお帰り願おうか。
俺は反対側の椅子に座り、腕を立てる。ぐっと相手の手を掴み準備をする。
「さぁ、行くぜ、おい、そこのお前、レフリー頼むは、」
強面男はそこら辺の男に声をかけてレフリーを頼む。
「じゃあ、いくぜ、レディーゴー!!」
スタートの合図がかかると互いに手に力を入れる。グッグッと均衡した様子が伺えるが、少し強面男の方が優勢に思える。だんだんゆっくりと手が傾いていく。
クソッこのままじゃ、負ける!こいつ、なかなか強い。このまま負けてたまるかぁ!
キュインと腕だけに風を纏わせる。風の力を使い自分の力を上げる。
もう、こうなったら出し惜しみはなしだ!そう、勝てばよかろうなのだぁぁあ!!
ダンと思いっきり相手の手をテーブルに叩きつけた。
「はい、俺の勝ちだ!」
とりあえず勝ち誇っておく。
「くそ、新聞のことは本当だったんだな、まだ手が痺れてやがる。」
ふ、フハハハハ、よ、良かったバレてないわ、
と風を使ったことがバレなかった事が良かったと安心していると周りから歓声が聞こえてきた。
「凄い戦いだったな!」
「燃えたぜ!」
「なぁ、次、次は俺とやろうぜ。」
おう、いつの間にか人が集まってきてんじゃん、ヤベェ視線が痛い、帰りたい。
「いや、俺とやろう!」
「俺だ!俺の方がこいつより強いぜ。」
おう、集まる、集まる、いや、困るんだけどね、もうこれさ相手しないと帰らないんじゃね?もうしょうがない!やってやるかー
「よっしゃー、全員そこ並べや!順番に相手してやんよ!」
俺は叫び、皆に呼びかけるとワーと歓声が飛び、並び始める。
シャッと、俺が準備をし始めたらノアが
「ねぇ、リュウ、これ全部相手すんの?時間かかっちゃうよ、ボク、結構暇になるよ?」
「まぁ、とりあえず相手しないと帰りそうに無いしさ、ちょっと待っててくれよ。」
俺がそう言うとノアはしぶしぶ少し離れた席に着いた。
「じゃあ、どんどん行くぜぇ!レディーゴー」
レフリーの掛け声と共に腕相撲が始まり、再びダンと音を立て、リュウトが勝利した。
「しゃあ!二連勝!どんどん来い!」
*************************************
で、話は冒頭に戻ると言うわけだ。
現在リュウトは絶賛28連勝中だ。
「つ、強えぇー、おい、誰かこいつを倒せー」
「はっ、じゃあ、俺の出番かな!」
「いや、お前は1回負けてるだろ。」
辺りの賑わいはあんまり収まらなかった。
ヤベェ、腕が痛くなってきたよ、こいつらどんだけやるんだよ、もう、疲れたよ。
ここからしばらく腕相撲は続いた。
俺とノアは宿に向かって歩き出していた。
「はぁー、腕痛てー、湿布持ってない?」
「ここにはそんなものありません。もう、調子に乗って相手するから、そんなんになるんだよ?」
「いや、元はと言えばお前がアイツの挑発に乗るから腕相撲するハメになったんだよ?」
「あ、あれー?そうだったかなー?覚えてないなー?」
ノアはわざとらしく分からないふりをする。
「でもさ、ボクは今日、リュウを長い間待ったからそれでチャラってことで、」
「う、うーん?まっいっか」
なんか上手くまとめられてしまった気もするが多分気のせいだろう。
「フフフッ、」
ノアは嬉しそうに冒険者カードを見ながら笑った。
「どうしたんだそんなに嬉しそうにして、」
「だってさ、ほら!ボク達、一緒のパーティだよ、嬉しくもなるよ!」
ノアはズイっと冒険者カードを俺の前に出した。そこには、パーティ『ハコブネ』と書かれていた。
「そういうもんか、」
「うん、そういうもんだよ!リュウ!」
ノアは俺の方をむきこう言った。
「これからもよろしくね!」
「ああ、」
2人は夕焼けの街を歩いていった。
面白かったらブクマ、評価お願いします!




