第28話 風が吹くように
5日更新を目指してるんですがどうも最近忙しくて、更新日が後に、後にとなってしまいます。何かと至りませんがとりあえずどうぞ!
俺が目を開けるとそこには見慣れない天井があった。いや、ここ数ヶ月全然見慣れない天井なんだけども、まぁ細かいところは気にすんな。
「あっ!目を覚ましたんだ!」
俺の顔を覗き込むように知らない女の子の顔が覆う。
少し茶色かがった髪に大きめな目。肌は白く、間違いなく可愛い女の子だった。
えっと、誰だ?あれ、こんな人、勇者一行にいましたっけ?
「いや〜ホントに心配したよ〜、いきなり倒れるからさ。」
ヤバいっす、なんか聞いたことある声なのに、顔が全然見覚えないっす。どうしよ。
「体の方は大丈夫なの、リュウ?」
あっ!もしかして!ノアか!?ノアなのか?この可愛い女の子がノアなのか。
「あ、ああ、大丈夫、だ。お前の方こそ体に変な感じとかはないのか?」
「うん、大丈夫だよ。ほら、この通り。」
ノアはその場でくるりと一回転をした。
「そうか、良かったな。」
「うん!・・・ほんとに、・・・・・・ほんとに!ありがとう!ボクを助けてくれて!」
ノアは涙を流しながらお礼を言ってきた。
「気にするな。俺の命もかかってたんだ。さて、この姿で会うのは初めてだし、一応、改めて自己紹介でもしますか。
俺の名前は 風神 龍飛。齢は18。出身は日本、自称神にここに連れてこられた異世界人だ。」
「ボクの名前は 悠木 乃亜。齢は17。出身は君と同じ日本だよ。手紙を開けたらここに転移した異世界人さ。リュウ、ボクは君に出会えて本当に良かったよ!」
ノアは涙を指ですくいながら最高の笑顔で笑った。
「しかし、お前ってそんな感じだったんだな。」
「そうだよ。どう?驚いた?可愛い?」
「おう、可愛いぞー、驚いたよー」
「ん、もう!適当に答えて!」
「で、魔将はどうなったの?」
「あっ、それなら、あそこにいるよ。ほら、」
乃亜が指さすほうを見てみるとそこにはあぐらをかきながら酒を飲んでいる魔将と、それに付き合わされているギルドとゴロウの姿があった。
何あれ、何やってんの?
「おう、カザカミ リュウトよ、起きたか。貴様もこっちへ来て、飲め!」
いやもう、ホントに何やってんすか、勇者も何素直に飲んでんだよ。
「カザカミさん、おはようございます。体の調子はどうですか?」
うん、君も君でなに普通に話してんのかな?ホントによく分からないよ。
「あ、ああ、大丈夫だ。それより、お前の方こそ大丈夫な、のか?」
「あっ、これでしたら心配なさらずに、僕が飲んでいるのは水ですから。」
いや、その事心配してんじゃないからね!心配してんのは魔将の方だからね。
「ねぇ、何あれ、大丈夫なの、ホントに。魔将さんと一緒に酒とか飲んじゃってんだけどさ。いや、酒じゃなくて水だけど。安全なの?」
俺は小声でノアに聞いてみる。
「うん、多分……?大丈夫かな?さっき色んな話し合いを済ませておいたから、もう悪いことはしないと思うよ。」
「そうか、まぁ、不安だけどひとまずは安心ってとこかな。」
ノアの話によると俺が倒れていた時に勇者一行が魔将と話し合いをしたらしい。その内容とは『魔将がは今後一切の人の武器化を封じる。』『武器になっている人を全て元に戻す。』だそうだ。で、俺が起きるまで暇だからと、魔将は酒を持ってきてギルドとゴロウを誘い飲み出したそうだ。
「で、その武器になっていた人たちはどこにいるんだ?」
「今異常がないかサツキちゃんとルルクさんが観て回ってるよ。」
サツキちゃん?あれ、いつの間にそんなに仲良くなったの?
と俺が考えていると部屋の扉が開いた。
「あっ、カザカミさん、起きたんですね。お身体の方は大丈夫ですか?」
「ほう、もう起きたのかい?良かった良かった。死んだのかと思ったよ。」
なかなか失礼な人ですね、この人は。勝手に殺すなよ。
「サツキ様、ルルクさん、治療は済みましたか?」
「ああ、全員バッチリ観といたよ。ちゃんと異常なしさね。今はみんな眠ってるよ。」
それは良かった。ちゃんと戻って良かった、良かった。
「そうだ!カザカミ リュウトよ。少しいいか?」
ん?なんだ、こいつが前置きをして聞いてくるなんておかしいな。うわー、なんか怖くなってきたわー、
「とりあえず我について来てもらおうか。」
俺の返答は聞かないのかよ。前言撤回だよ。いつも通りだったよ。まっ、行ってみるけどね!
俺は魔将の後をついていく。部屋を出て、階段を上り、長い廊下を進むとそこには豪華な扉があった。
「うわー、豪華な扉だね!宝物庫かな?」
「多分な、てか、なんでついてきてんの?」
「いやー、何があるか気になりましてね。」
と勇者が答える。
いや、まじでなんでついてきてんの?ノアも勇者も、サツキさんも、ルルクさんとゴロウさんまでいるやん。あの部屋にいた奴ら全員いるじゃん。オールスターだよ。
「入るぞ。」
ギィィと扉を開け中に入るとそこには沢山の武器や防具が飾られていた。
すげぇな、こんなに沢山あると壮観だなー。
「どうだ、凄いだろ?ここは、我の自慢の武器たちを閉まっておる武器庫という訳だ。」
で、その武器庫に俺を呼び出した訳はなんですかねー?なに?自慢?確かに凄いが羨ましいわけではない!
「カザカミ リュウトよ、こっちだ。こっちに来い。」
俺らは魔将の後について行くとそこには一つの宝箱があった。
「……これは?」
「うむ、これは我の最高の武器が閉まってある。」
「最高の武器?それって、あのー、えっと、魔剣って奴じゃないのか?」
「確かにあれは我が使える最高の武器だ。だがなこの城にある武器の中でここにあるのが最高の武器だ。」
へ〜、よくわからんわ、とりあえずあ〜けよっと。
ガチャりと宝箱を開けてみるとそこには鎖でぐるぐる巻にされている布があった。
えーと、何これ?嫌がらせ?明らかにヤバイやつだよね、これって、封印されてる感じだよ。
「何なんですか?これは?武器、なのは間違いなさそう何ですが、どんな武器かがわかりません。」
「それは我にも分からんのだ。」
分からない?どして?どゆこと?
「それってどういうことなの?この宝箱って魔将さんのなんだよね?」
「それはな、我にはこの鎖が解けんかったのだ。この武器はな、我が森の奥地で見つけたのだ。強大な力を感じるので森に行ってみたが、奥地にこれがあったのだ。どうしても中身が見たくてなあらゆる手を尽くしたがダメだったのだ。」
へー、なんか凄いね、強大な力を感じるか、でも確かに凄い熱気?というか力みたいなのは感じるな、これ、
「でも、なんでこれをリュウに?」
「それはだな、カザカミ リュウトならばこの封印を解けるのではないかと思ったからだ。」
いや、なんでだよ!なんでそう思ったの!感ですか?
「とりあえず、手に取って見てくれ。」
なんか怖いなー、俺、死んだりしないよね?大丈夫だよね?
とか不安になりつつもその武器を手に取ってみる。すると全身を炎が駆け巡るように熱くなる。
「ーーー熱っ、!!」
パキンと鎖が弾け、布がとれ、その武器が顕になる。
「・・・これは、」
その武器は紅い刀だった。
「おお、素晴らしい武器だ、我はこれ程のものを見たことがないぞ!」
「これは刀ですね。僕も初めて見ました。」
「わー!凄いね!刀だよ。やっぱり刀はかっこいよね!」
分かる!その気持ちはホントに分かる。やっぱり日本人なら刀に憧れるよ。しかし、ホントに凄いなこれ、持ってるだけでその凄さが分かる。
「うむ、その武器の名は『神天 裁キノ力』、炎の力を操れる。」
なかなかカッコイイ名前じゃないか、ん?でもさ、なんでこいつ名前知ってんの?
「どんな武器か知らなかったんでしょ?なんで名前が分かったの?」
ノアさんナイス!俺が聞きたいことを聞いてくるなんて流石っす!
「それはだな、我の目はな武器の情報が分かる魔眼なのだ。」
魔眼?何それカッコイイじゃん、でも、武器の情報が分かるだけの魔眼ってさ、あんまり欲しくないな。
「だがな、この刀は我の目でもわからん情報がある。何かさらに凄い力が隠されてるようだ。」
へー、凄い力かー、なんか楽しみだな。いいものを貰っちゃったぜ!
俺は喜々としながらその部屋を後にした。
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「そろそろマジアに戻りましょうか。」
「そうだね、早く戻ろうか。」
そうっすね早く帰った方が良いよね、やることやったし、しかしこれから長時間移動か、疲れるよ。
「では皆さん、外に出ましょうか。」
とサツキの呼びかけでみんな城の外にでる。眠っていた人たちも起こし、全員が、外に出た。
「おお!外だ!久しぶりの外の空気だ!」
「良かった、良かった、ホントに良かったよ。」
今まで武器になっていた人たちが感激で涙を流した。
いやー、皆さん喜んでいなすな、それは良かったよ。しかし外くらいなー、夜か、ならまだ出発は出来んなー、またここに1泊すんのかねー、
と考えているとサツキが皆に呼びかける。
「みなさ〜ん、準備が出来ました!こっちへ来てください!」
と地面に大きな円を描いている場所へと誘導した。
「ねぇねぇ、サツキちゃん、これは何?」
「これはね、私のオリジナル魔術の『空間移動』だよ。ここから一気にマジアまで移動出来るんだよ!」
すげぇ!魔術すげぇ!移動できるとか神じゃん、うわぁ、俺も欲しいわー。
「でもさ、なんで行きはこの魔術を使わなかったの?」
「それはね、この魔術は行ったことある場所しか移動できないんだよ。私はね、この城に来たことが無かったから使えなかったんだ。」
「へー、そうなんだ。」
ふむ、ゲームみたいだな。1度行った場所じゃないと行けないってなかなか大変だよねー
「さて、皆さん乗りましたか?」
みんなが円の中に入り、移動を待っていると魔将が話しかけてきた。
「カザカミ リュウトよ、さらばだ。我は貴様と戦えて良かったぞ。」
「あ、ああ、俺もだ、もう悪さすんなよ。」
「ふっ、無論だ。我は約束は破らん主義だ。」
「じゃあな、いつかまた会えたらよろしくな。」
「うむ、」
魔将が頷き、円がひかり、ふんわりとした変な感覚が体を襲う。気がつくと先ほどの魔将の城とは別の草原にいた。その近くには魔法国家があった。
「すげぇな、ホントに移動したよ。」
「さて、とりあえず報告に行きましょうか!」
と勇者が言い、ゾロゾロと魔法国家の中に入っていく。中に入るとワァォァァァァアと歓声とパチパチパチと拍手が聞こえてくる。
えっ!?何これ?嫌がらせ?うわぁ、皆に見られてるよ、怖いよ、よし、フード被ろ。
とフードに手をかけたその時、ガシッと腕を掴まれた。
「……えっ?」
と腕の方を見ると超笑顔のノアがいた。
「えっと・・・ノアさん?この手は何かな?」
「いやー、だってね、リュウが『陰』を発動させて、人目から離れようとしてるんじゃないかと思ってね。まさか、そんなことはないよね?」
「い、いやぁー、まさかね、ハハ、」
怖い、怖いよノアさん。正しくその通りになんだけどさ!
「そうですよ、カザカミさんこの人たちはあなたを見に集まったんですよ。隠れたら可哀想じゃないですか。」
いや、そうは言ってもねギルド君!俺は人目が苦手なんだよ、てか、そんなことある訳ないじゃないか、俺のために集まる?はっ、冗談も休み休み言えよ。
すると集まった人たちから
「カザカミ様ー!」
「ありがとうございます!」
とか歓声が聞こえてくる。
マジかよ、何これ?新手のイジメ?俺を殺しにきてるよね、絶対。様付けとか、恥ずすぎて死ねる。
「あなた様のおかげで、平和が訪れました!」
「流石は『風の英雄』様だ!」
おおう!『風の英雄』ってなんか恥ずかしカッコイイな、少し気に入ったよ!まぁでも自分では名乗らないけどね!だって恥ずいもん。
「さて、皆さん城の中にに入りましょうか。」
門番に通して貰い、王の間に入る。
凄いなーこれが王の力って奴かー、シャンデリア?とかめっさ光っとるやん、なんか全体的にキラキラしてるしさ、ほんと、場違い感半端ねぇ。
「ご苦労さまでした、勇者様、サツキ様、そのお仲間の皆さん、そして、カザカミ リュウト様、魔将を倒して頂き、本当にありがとうございます。」
うっわ、腰引く!何この人?ホントに王様なの?王様ってもっと偉そうな感じじゃないの?えっ、これで政治とか成立するもんなの?
「ホントにこの国を救って下さり、ありがとうございました。さて、武器になっていた皆さんですが・・・・・・」
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さて、後日談といこうか。王様との謁見が終わり、褒美もきちんと受け取って、俺らは城に1泊した。久々のベットでの睡眠はとても心地よくかなりいい眠りが出来たと思う。
そして次の日にはカエデさんに馬を返し、冒険の話をしてそこを後にした。まぁ、話はボチボチ上手に出来たと思う、多分。
で、その後は魔法国家内をノアと勇者一行と一緒に探索した。色んな魔法具があり、とても面白かった。
そして旅立つ時がやって来た。
「さて、そろそろ、旅立ちますか。」
「もう行かれるんですね。」
とサツキが声をかけてくる。
「まぁな、色んな所を見て見たくなったから少し、この世界を旅するよ。」
「そうなんだ、それは面白そうだね!」
とノアが反応する。
「お前はどうすんだ?」
「んー、ボク?ボクはもちろんリュウに付いてくよ、ここしばらく一緒に旅してたしね、それに面白そうだし!」
「そうか、ギルド達はどうすんだ?ここに残るのか?」
と勇者に聞いてみる。
「僕達は少し1から鍛えなおそうかと思います。いくら『英雄の加護』があるからと言って倒せない敵があるのを知れましたんで。」
こいつ、『英雄の加護』なんかを持ってたのかよ、ずるいよ、カッコイイじゃん、英雄とか、
「そうか、お前らもついてくのか?」
「ああ、そうさね、アタシの魔術もさらに強化して見せるよ、アンタに負けないくらいにね。」
「俺もまだまだだったからな、SSランクになって調子に乗ってたのかも知れん。」
「私ももう少し、自分の力を鍛えたいです!魔術もいっぱい作って、頑張りたいと思います。」
「そうか、頑張れよ。じゃあな」
ガシッとギルドと握手をし、別れを告げる。
「じゃあね!ノアちゃん、また会おうね!」
「うん、サツキちゃんも元気でね!」
こちらも握手をし、別れを告げる。
ゆっくりと馬を走らせながら2人は話す。
「よし、じゃあ、どこ行こうかねー」
「うーん、とりあえず気の向くまま、風のゆくままにって感じでいいんじゃない?」
「そうだな、呪いもないし、焦らずゆっくりって感じで、それじゃあ、」
「レッツゴー!!」
2章完結ですよー、次は3章ですね!頑張ります!




