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第27話 VS魔将 後編

魔将編の後半です。張り切ってどうぞ!


「す、凄い。」


勇者は思わず声がもれた。勇者達の目には凄まじい光景が映る。自分たちとはまるでレベルの違う戦いが目の前で繰り広げられていたからだ。


魔将と戦っているのは1人の男だ。真っ赤な服に身を包み、腕には白いガントレットをつけ、1本の美しい剣を振り、風をまとっている。彼が動くたびに豪風が巻き起こる。


「フハハハハ、やるな冒険者よ!我とここまで戦えるものはこれまでにいなかったぞ!」

「そりゃ、どーも、っと!」


リュウトは剣を振るう。それを魔将は避け、反撃に転じる。それをリュウトはガントレットで受ける。一進一退の攻防の繰り返しだ。


「しかし冒険者、カザカミ リュウトとかいったな?貴様はなかなかいい武器を持ってるな。そのガントレットとその赤い服、ヘルダ殿の作品だな。しかも文字付きだ。」


おおう、すげぇなこいつ。この短時間に武器の作者と文字付きってことがバレだぞ。武器マニアなだけあるな。


「そしてその剣。我の呪いによって人間が剣になったものだな。」


これは流石にバレるか、

“うーん、なんかバレると気分が悪い感じがするなー。”

おいおいそれだと俺とあった時も気分が悪かったってことですかね?

“いや、なんかリュウの時は違ったんだよ。この人だーって思ったらさ声が通じてて、で、やっと見つけてくれた?って感じだったんだよ。”

そうか、運命の出会いってやつだな。

“うーん、運命の出会い?まっ、そんなとこだね。”


「流石は強者を武器にしただけあるな。美しい剣だ。それに強さも感じるぞ。そしてやはり、強者は強い武器に惹かれるものだな!」


ノアさんなんかめちゃくちゃ褒められてますよ?

“うーん、ボクは強い感じってよく分かんないからなー、実感が湧かないよ。”


「ふっ、我も武器を使うとするか。こい!『雷霆』!!」


バチりと電気が流れ、魔将の手に1本の剣が現れる。


「では、参る!」


ふっ、と地面を蹴りこちらに近づいてくる。剣と剣がぶつかり合い大きな衝撃が生まれる。ここから再び互角の攻防が始まった。キンキンと音を立てながら2人は剣を打ちあう。


「ほう、我に武器を使わせるだけでなく、その力に対応してくるか。素晴らしい力を持っている。」


魔将がリュウトの力を褒める。しかし、魔将の余裕の表情とは裏腹に、リュウトの顔は少し曇っていた。


こっちはぎりぎりだっつーのに、アイツはまだ余力を残してやがる。やばいな、『切り札』を使いたいが、発動まで時間がかかる。どうすれば、


「フハハハハ!カザカミ リュウト!貴様に敬意を払い、冥土の土産に我の本気を見せてやろう!このままじゃ、埒が明かんからな。そして、我の最高の武器となれ!」


と魔将が叫び、両手を合わせる。すると魔将の足元に巨大な魔法陣が浮かび上がった。そして次の瞬間、魔法陣が眩いひかりを放ち、魔将のカラダを包み込んだ。光の中から巨大な大剣をもち、漆黒の鎧を身につけた魔将グラウ・ザガールが現れたのだ。


うわぉ、なんだよあれ、さっきまでとは段違いに強そうなものを身につけていらっしゃる。なに、勝てんの、これ?


「これが我の本気だ。最高の武器を身につけた我は誰にも負けん。ゆくぞ!カザカミ リュウトよ!」


ドゴン!と地面を蹴る音が聞こえ、気づいたら目の前に魔将がいた。次の瞬間、魔将は大剣で切りかかってきた。俺はそれをとっさに剣で受け止める。


“アアアアアアアア!”


突然ノアの叫び声が聞こえる。


おい!ノア!どうしーーー!?


「余所見とは余裕だな。」


この魔将の声を聞きながら俺は吹っ飛ばされ、壁に激突した。


「ーーーかハッ!」


俺は血を吐き、その場に倒れる。


ぐっ、強すぎだろ、本気モード。手も足も出ない。しかも、右ガントレットが壊された。あとノア?大丈夫か?



“ーーうっ、な、何とかね、まだ少しクラクラするよ。なんかあの剣を受けた瞬間に腕をおられたような衝撃がきたんだよ。”


「どうだ。カザカミ リュウトよ。これが我の本気だ。そしてこの剣は我の最高の力を持つ武器でな、その名は『魔剣 ティラノ』その効果は『武器破壊』の能力を持っておる。あまり使いたくなかったがな、貴様を武器にし、武器を壊した武器を直せば問題はあるまい。」


そうか、『武器破壊』か、そいつはやっかいだな。しかし、やばいな、起き上がれん。どうしよ。

と知恵を絞っていると声が聞こえた。


「大丈夫ですか!カザカミさん!」


賢者サツキが俺の元へとやって来たのだ。


「ど、どうして?」

「そりゃ助けに来たに決まってます!あなたは私たちの希望ですから。」


希望とか、恥ずかしいだろ、こんなに吹っ飛ばされたのに。


「魔将は?」

「今、勇者さんたちが命懸けで時間を稼いでます。」


顔を上げてみるとそこには魔将と対峙する3人の姿があった。


「カザカミさんが回復するまで全力で時間を稼ぐぞ!こいつを倒せるのはあの人だけだ!」


勇者がボロボロになりながら声を上げ、魔将と戦っている。


ありがてぇ、俺のために、自分の命をかけてまで、これは全力を出すしかないな。


「回復、完了しました!」

「サンキュー、あっ、これ、預かっといてくれ。」


ポイッとサツキにノアを渡す。


“えっ!?ちょっと、リュウ!?”


お前はしばらくそこで休んどけ、アイツは俺に任せとけ、


俺はゆっくりと立ち上がり、あの詠唱を唱える。


「天をすべし風の神よ、我、汝の力を借りんとするものなり、我の願いを聞き届け、強大なる敵を討ち滅ぼす力を授けよ、今ここに風の神たる由縁を示したまえ、君臨せよ、『風神 ディオス・ディオ・ビィエント』!!」


俺が詠唱を唱え終わるとディオスが現れる。


「よう、久しぶりだな。また、力を貸してくれ。」

「ああ、我は貴殿と共にある。」


「『風神力解放』!!」


己の全身を包むように風が巻き起こる。轟々と風が吹く。

そして自分に力が漲るのを感じる。


「さて、反撃の時間だ。」


俺は勇者たちの元へと向かう。


「ふん、小賢しい。守っているだけではつまらんぞ!戦え!」

「ここは、何としてでも守り抜くんだ!」

「ギルド!『絶対防御』の魔法がきれる!もう、耐えれないよ!」

「なら、この命を持って、こいつを止めてみせる!」


おう、流石は勇者様、カッコいいことを言ってくれるねー。


「ありがとよ、勇者さんよ、あとは俺に任せとけ。」


勇者は、はっ!と俺の方を向く。


「カザカミさん!もう大丈夫なんですか?それに、その姿は?」


「ほう!まだこんな力を隠し持っておったか!面白い、面白いぞ、カザカミ リュウトよ!我を、我をもっと楽しませろ!」


「はっ!お望み通り、楽しませてやるよ!お前達は下がってな。」


と勇者たちは下がり、サツキの元へと向かった。


さて、さっさと決めないとタイムリミットが迫ってるからな、やるか


魔将が剣を振るう。それをリュウトは風で受け止め、反撃をする。その動きは先ほどの動きとほとんど変わらないが、しかしながら速さが違った。


「凄い、速すぎて見えない。」


勇者は驚き声をもらす。そう、彼らの動きは先ほどとは違い、速すぎるのだ。剣で切る。受ける。殴り返す。蹴り返す。このような攻防が続く。その戦況はリュウトの方が1枚上手だった。


「はぁぁぁぁぁあああ!!」

「ふん!ぬぉぉぉぉおお!」


くぅ、やっぱり強いなコイツ。結構ダメージ入ってると思うんだけど、まだ倒れないのかよ。あの鎧のせいか?流石は魔将。いいものを持っている。


「いいぞ!いいぞ!カザカミ リュウトよ!我をここまで追い詰めるとはな!こんな人間初めてだ!最後まで楽しもうぞ!」


「ああ、付き合ってやんよ!お前を倒して、呪いを解く!」


俺は魔将返事を心から返す。この厳しい状況で、命をかけたこの状況で、俺は楽しんでいた。


やっぱり、強いやつと戦うのは面白い!ああ!楽しい!血が滾るぜ!


この時間が続いて欲しい、強者と全力でぶつかる時間が終わらないで欲しい。そう思った。だが、いつまででも続いて欲しいと思う時間ほど早く終わりがきてしまう。その終わりももうすぐやって来るのだ。


くっ、あと1分程で風神の力がきれる。もう、勝負をつけるしかない。


俺は手に風の力を集中させる。ごウッと小さな竜巻が起こり、圧縮。片手剣サイズの風の剣が出来上がる。俺はそれで魔将を攻撃する。


「いくぞ!『風神技・嵐剣』!!」


目にも留まらぬ速さで繰り出された風の刃は魔将、目掛けて飛んでいく。しかし、その刃は魔将には届かず剣に止められた。だが、魔剣を空中にぶっ飛ばした。そう、リュウトは初めからこれを 狙っていたのだ。


「なに!?武器をーー!」


ギュインと風が一気にリュウトの元へ集まる。


「これで終わりだ!魔将 グラウ・ザガール!!」


高密度の風が巻き起こり、リュウトを包み込む。


「俺の、俺の最高の剣技を、今ここに!

『絶風剣・刹那』!!」


高速の連撃の剣が魔将に突き刺さる。


「グォォおおおお!」


バキッと鎧が砕け、魔将が血を流し、後方に飛んでいく。


「俺の、俺の勝ちだ!」


フラリとよろけながら、魔将に向かって、剣を突き立てる。

大の字になって倒れている魔将の口が動く。


「・・・そうか、我は負けたのか。」


ボソリと呟くように魔将は言い、笑い出した。


「ハハハハハハハハハハハハ!!この我を負かすとはな、流石だ!カザカミ リュウトよ。」

「あの攻撃受けて、まだ生きてるとか、やっぱりバケモンかよテメェ、」

「うむ、これはしばらく動けそうにないな。フハハハハ!お望み通り、呪いを解いてやろう。」


また、魔将は高らかに笑う。そして


「ふむ、『呪いよ解放せよ』」


パァァと右手に浮かんでいた紋章が消えていく。


「おお、解けた。ってことは?」


と賢者がいる方向へ体を向ける。そこには眩い光を放つ剣があった。


「おお、これは解けるぜん・・・」


俺はバタりと倒れた。タイムリミットだ。朦朧とする意識の中で頭の中に響いていた声を耳で聞いた。


遂に!遂に倒しましたね!自分で書いていて興奮しちゃいました。

面白かったらブクマ、感想、評価、お願いします。

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