第22話 あっ、野生の盗賊が現れた!
やあ!みんな!今俺達はね、物騒な人達に囲まれてるんだ!
「命が惜しかったら持ち物全部置いてきな。」
このね、ニヤニヤしながら俺を恐喝しているのは盗賊の皆さんだよ!ざっと数えて20人はいるね!いやー、ピンチだよ、まじで、こんなこと考えてる場合じゃねえよ!馬もやられちゃったしさー、ヤバいよ!
“1人で解説し始めて、何1人で芝居してるのさ、とりあえず何とかしてよね、ボク、こんなヤツらに奪われるのはゴメンだからね、分かった?”
分かってるよ、出来るだけ穏便に逃げることだけ考えるよ、さて、どうするかねー、この状況、港町から馬で走ってきて、途中で野宿をしながら移動していたら、盗賊に襲われるなんて滅多にない経験だな、うん、逃げたい。
「なぁ、おい!さっさと出せよ、ゴラァ!痛い目にあいたくないだろ?」
うーん、なんかイメージと違う。なんか田舎にいるヤンキー見たい、弱そう、、、
「ほら、早くしろ俺達はあの、盗賊団『ナガラ』だぜ、この名を知らねぇとは言わせねぇぜ、」
うーむ、しらん!全く分からん、有名なのか?
“うーん、『ナガラ』?あれ、聞いたことがあるような、? ”
ん?お前何か知ってるのか?
“うん、たしかー、えーと、冒険者ギルドで聞いた気がする、たぶん、、”
なんか自身なさげだねー、、、、冒険者ギルド、、、あっ!そうだ、こいつら確か指名手配されてた盗賊団だ。結構悪いヤツらだった気がする。1人とかの冒険者ばかりを狙う奴らで、多対一で確実に金品を奪ってく非道な奴らだった気がする。
“リュウも自身なさげだねー、でも非道ね、まさくこの状況が、多対一だね、ピンチだよ!”
なんかテンション上がってませんかねーノアさん、何この状況を少し楽しんじゃってんのかなー
“えっ、やっ、やだなー、楽しんでなんかいないよー、ちょっと異世界感があるからってテンションなんて上がんないもん!”
はい、丁寧な説明ありがとうございますー、はぁ、もう何だか気が抜けた。サクッとやっちゃいますか、
「ほい、『纏風』っと」
毎度の如く、ごウッと風が俺にまとわりつく、そして身体能力が大幅に上昇するのだー!
「おい、何してんだテメェ、ああん、妙な動きをするんじゃねえよ、おいおめぇら、やっちまえ、」
周りにいた盗賊達が一斉に斬りかかってくる。俺はそれを避けながら盗賊たちを倒していく。
あー、あんまし強くねぇなー、てか、『纏風』強すぎだろ、攻撃が全然通らん。これがあればしばらくは安泰だな、うん、
“でも、これ使ってもオーガに負けかけてたじゃん、完全には安心できないんじゃないの?”
あれはノーカンだ。相手が強すぎたんだよ、ほら、スライム戦でも役立っただろ、これ、だから大丈夫という訳だ、OK?
“まぁ、そうだけど、油断だけはしないでよ、”
分かってるよ、油断はしないよ、安心しな
「ちくしょう、あの風のせいで攻撃が通らねぇ、ならこれならどうだ!」
と1人の盗賊が黒い玉を投げつけてくる。
ハッハッハー!その程度の玉は俺には効かんよ!
とか油断をしてたらその玉が割れ、中から黒い粉みたいのが出てくる。
「へっ?」
その粉は俺の纏風に吸い込まれ、俺の周りをグルグルと周り、俺の顔にかかる。
「へっクション、」
黒い粉を吸い込んだ俺はくしゃみをする。そう、この黒い粉は胡椒だった。
「おい、野郎ども、今だやれ!」
うぉぉぉぉぉと残った盗賊達が短剣を構え、攻撃してくる。右足に痛みが走る。
「くっ、やべぇ、」
纏風をしようにも、盗賊の何人かはあの胡椒玉を投げてきて、風が纏えないのだ。
あれ?これってかなりやばいんじゃね、
“もう、リュウ!だから油断しないでって言ったのに、とりあえず逃げることだけ考えて!”
了解、
俺は敵の攻撃を剣とガントレットで受けつつ逃げ場を作る。盗賊の数はあと10人くらいってとこだ。
風なしで、10人相手とかキツすぎだろ、さて、どーすっかなー、
一応相手の攻撃は受けきれている。これもカタエさんの訓練のおかげである。しかし、攻めきれない。相手を殺したり傷つけたりするのは抵抗があるのもあるが、単純に多対一はきついのだ。相手は連携も取れているし、1人1人は、冒険者ランクで言うところのBくらいはあるように思える。
「オラオラ、どうしたびびっちまったのか、」
わかりやすい挑発をしてくる。そんな挑発にかかる俺ではない、うん、よし、とりあえずムカついたから思いっきり殴ろうか、
“はぁ、思いっきり挑発に乗っちゃってるじゃないか、”
相手の攻撃を剣で防御し、腹パンをしてとりあえずいく。ぐぇっとうめき声を出しながら盗賊たちは腹を抑え、その場に倒れ、吐いていく。
なっ、びびってないだろ?ちゃんと攻撃が出来る。俺はやれば出来る子なんだよ、スロースターターなんだよ、
盗賊達を全滅させた。もちろん1人も殺しちゃいない。さて、とりあえず魔法国家に向かうか、馬は死んじゃったし、歩くしか無いのかー、ヤバイ、道分かるかな、心配だな、真っ直ぐ行けば着くかな?
“どうだろうね、なんかそれだと迷いそうだよ、盗賊の皆さんに聞いてみたら?”
それは無理な相談だな、理由は2つ、まず一つこの盗賊達は皆原因不明の腹痛で倒れているので、聞にくい。で、二つ目、俺が話せると思ったのか?
“もう、何から突っ込んでいいか、分からないよ、”
さて、どうするかなー、割と時間ないし、人でも通らないかなー、、、
と考えてるとどこからかドドドドドッと音が聞こえてくる。
ん?なんだ?
音がする方を見てみるとそこには高級そうな馬車に乗るひとと、それを追いかけるように馬に乗った盗賊らしき人達がいた。
うわー、すげえなイベント発生だよ、なに、これをクリアしたら魔法国家につく的なあれかな、これ、どう思う?
“どうだろうね、ボクには分かんないよ、でも助けようよ、道くらい聞けるかもよ?”
それもそうかー、あんまし、気乗りしないが困っている人を見捨てるのは罪悪感があるしな。
風で馬の動きを封じる。
「うわっ、なんだ!」
「進まないぞ!何でだ!」
おお、戸惑ってらっしゃる。なんか気持ちがいいな、
「うおっ、何でなんだ。急に進まなくなったぞ、早くしないと盗賊に追いつかれる!」
あっちゃー、馬車の方も止めちゃったかー、まっ、しょうがない!気にしないことにしようか!さてさて盗賊狩りの始まりだ、とりあえず風でぶっ飛ばしましょう。イメージは大砲で。
ドゴンと風の大きな塊を波動砲みたいに打ち出す。その風の塊は盗賊たちを全て蹴散らした。
おお!爽快爽快、始めからこうすれば良かったな、さてさて馬車の方はどうかね、よし、無事だ。何が起こったのか分からないような顔でこっちを見てるが大丈夫だろ、多分。
“ほら、リュウ「大丈夫でしたか?」って聞かないと、頑張って”
くっ、ラスボスはここにいたか、だが、それを聞かないと始まらない、
「えっ、えっとあの、大丈夫ですしたか?」
ふぅ、なんでこんなに人と話すのは緊張するのかねー、ほんと不思議だわー、
「はい、ありがとうございました。急に馬車が進まなくなった時はもうダメかと思いましたよ。貴方様がいてくれて本当に助かりました。」
よし、動かなくなったのは俺のせいだとは言わないでおこう。
“ほら、次だよ、道を聞いて、ほら早く。”
第二関門か、俺はここまでかもしれない。ええい、死ぬ気でいってやる!
「少し聞いてもいいでしゅか?」
はい、噛むね、もう確定だよ、これはしょうがない。もう恐れるものは何も無いな、
「はい、何でもお聞きください。」
「では、魔法国家ってどう行ったらいいですか?」
凄いね、スラスラと言えたよ、これは奇跡だよ!4年に1度位の奇跡だよ!目は合わせてないけどね、
「魔法国家ですか、私達も向かってる途中なのです。少々お待ちください。お嬢様少しよろしいですか?」
と馬車の中にいた人に声をかける。
「な、何ですか?と、盗賊は盗賊はどうなったのですか、まさか、もう捕えられてしまって、ああ、ワタクシはもうダメなのですね、」
「お嬢様、もう大丈夫ですよ。冒険者の方に助けていただきました。なのでもう安全ですよ。」
「そ、そうなのですか?ホントに、ホントですか、もう大丈夫なのですか?」
「はい、大丈夫です。安心して良いですよ。」
「分かりました。」
すると馬車の扉が開いて中から、長髪に金髪、緑色の瞳をもち、整った顔立ちにスラッとした美少女が出てきた。
うわー、すげぇめっちゃ綺麗じゃん、緊張しちゃうじゃん、やべぇ今すぐここから逃げたい。
“なんで逃げたくなるのさ、可愛い人はずっと見ておきたいって言うのが男の子何じゃないの?”
いや、そうなんだけどさ、ほら、なんか怖いじゃん、綺麗な人って、俺なんかと話していいのかなーって、思えてくるからさ、
「あの、ワタクシ達を助けてくれた方ですか?」
「はっ、ひゃい!」
急に話しかけてくるなよ、驚いちゃったじゃないか、
「そうですか、この度は誠にありがとうございました。貴方様がいらっしゃらなかったらワタクシはどうなっていたことか、そうだ!何かお礼をしたいのですが、、、ワタクシに、出来ることならば、言っていただければと思いますけど、、、」
「そうです、お嬢様、この方は魔法国家に行きたいようなのですが、迷ってしまわれたようなのです。」
「まぁ、それは大変です。そうだ、ワタクシも魔法国家に向かっている途中なんですよ、なのでご一緒しませんか?カルトさんこの方も馬車に乗せてあげてください。」
おお、なんか話がトントン拍子で進んでいく。俺が話さなくても俺の望んでいるものが手に入る、すげぇ、
「お嬢様がおっしゃるのでしたら、」
「そうだ、まだ貴方様のお名前をお聞きしていませんでしたね、よろしければ教えていただけないでしょうか?」
「俺の名前は、カザカミ リュウトです。」
“あれ?リュウ珍しく噛んだり、詰まったりしてないじゃん、成長した?”
ふっ、自己紹介ならお手のもんよ、これはかなり練習したからな、3回に1回綺麗なものが出せるんだぜ、凄いだろ、
“うん、成功隔離が低いことは分かったよ、もっと成功確率高めなよ、自己紹介は必要だよー”
善処します。
「カザカミ様ですね。ワタクシはカエデです。ではこちらへ、どうぞ、」
へー、カエデさんと言うのかー、よし、これで魔法国家に着けるぞ、やっと呪いが解ける。手の数字ももう30にまで減ったからな、あと1ヶ月しか無いぜ、あれ、ちょっとまてよ、もし魔法国家まで1ヶ月以上かかったらおれ、そこで終わりじゃん、やべ、死んだかも、いや、ここはポジティブに考えよう、美少女に看取られて死ぬんだ、そう、これは本望というやつだ、よし、最後の人生謳歌しよう。
“ポジティブの方向がおかしい気がするよ、なんで死ぬことしか考えてないんだよ、間に合うって考えなよ、もう、ボクも元の姿に戻れるかかかってるんだからね、死んじゃやだよ!”
分かったよ、とりあえず間に合うことをドキドキしながら待ってるわ、もし死んだらごめんな、
“その時はその時だね、とりあえず祈ろうよ、絶対大丈夫だってさ!”
「よろしければ冒険のお話とか聞かせていただけないでしょうか?ワタクシ、聞いてみたくて、」
ノアさん、俺はここまでみたいだ、ラスボスはこの人だった、これは間に合っても、俺の精神が削られて終わりかな!
“早いし、ラスボスはこの人じゃないよ、多分、なんなら断ればいいじゃないか、”
おいおい何を言ってるんだノアは、俺が断れるわけないだろ?断ったらどんな不幸が俺に訪れるか分かったもんじゃないぜ、
“ホントにダメだなー、リュウは、じゃ、ファイトだよ!”
くそ、裏切り者め、俺が死んだらお前は恨んでやるからなー!
そして10日後、俺は遂に目的地の魔法国家に着いたのだった。えっ?お嬢様とのお話はどうなったかって?そんなん決まってんだろ、俺の黒歴史がノート1冊位の増えたぜ!
呪い発動まであと20日。
評価、ブクマよろしくです!




