第16話 余裕は時に危機となる
リュウトたちは魔法国家の道のりの途中にある街に着いた。
「ハァ、ハァ、ハァ、やっと、やっと着いた。10日、かかるとか、聞いてねえよ、」
“いやー大変だったね〜、はじめの方なんか全然馬に乗れてなくて、驚いたよ、”
そう、俺は馬には乗れなかったのだ、だが、少し練習をし、乗れるようになったのだ、すごいだろー、
しかし、一番驚いたのは馬と話せたことだ。
まさかのまさか、『言語の加護』が動物にも有効だとは、おかげで早く乗れるようになったのだ。
「とりあえず早く街に入ろうぜ、食料を買い込んで早く出発しないと行けないし、」
とノアに告げ、俺は街の門に向かう。門には人が列を作り、並んでいる。
うわー、検問?みたいなことやってるよ、あれって金とかかかるんじゃなかったけ?どうなんだろう。
そう心配しながらその列に並ぶ。
「よし!次!」
俺の番か、意外と早く順番がきたな、
「この街に入りたくば、銀貨15枚払え、 」
15枚もいるのかよ、結構かかるなー、でも払わなければ街に入れないから払うんだけどね!
とか思いながら銀貨を門番に渡す。
「よし!通っていいぞ、次!」
と門番の声を聞きながら街の中に入る。
街の中は露店やら、店やらが多くあり、商人の街みたいな感じで、とても活気に溢れていた。
“うわー、凄いところだね!なんか楽しそうだよ、少し見てみようよ、ボク、あの店に行きたい!”
ノアが興奮した声で話しかけてくる。
ああ、そうだな、少しくらいは見る時間はあるか、あと80日くらいあるし大丈夫だろ、
あれ?コレってまたフラグ立った?間に合わないフラグ立った?うん、気のせいだな、
“やったー、リュウ、早く行こ!”
入った店は武器屋だった。
うおー、スゲェ、武器がいっぱいある。武器屋とか初めて入ったな、テンション上がるぜ
“あれ?でもラウガ君の店には来てたよね?初めてじゃないんじゃないの?”
あー、それな、でもラウガの店って一応道具店だから武器屋ではないんだよ、だから、ラウガの店はノーカン
しかしこの店にはいろんな武器があるなー、店には、剣に盾に斧、弓矢、杖、何かがある。どれも高ぇなおい、この豪華そうな剣なんか金貨3枚とか高すぎだろ、
だめだノア!ここは俺らが手を出していい店じゃない、帰るぞ!
“うん!そうだね、こんなの買えないね、よし帰ろう!”
とそそくさと店を出てる。と、その時、ドンッと誰かにぶつかってしまった。
「わっ、と、と、すみません、だ、大丈夫ですか?」
と相手の安否を確認する。
「いえ、こちらこそすみません。こちらは大丈夫であります。」
とハキハキと返してきた。なんか軍人みたいな人だなー
良かったこわい人とかじゃなくて、絡まれたら面倒だもんね、
「、、、おや?あなたはもしかして、、?」
「、、、、?」
あれ、この人とどっかであったけ、なんか知ってるふうだな、いやー会った記憶が無いぞ、気のせいとかじゃないのか?
「おお!その顔は正しく『一刀両断』のリュウト殿ではありませんか!ここで出会えて光栄であります!」
おいおいおい、ちょっと待て!なんだよ『一刀両断』ってのは!?なに、いつの間に変な二つ名が付いたの?しかも、俺って少し有名になってんの?顔割れしてるって、ヤバくね!俺はひっそりと暮らしたいんだよ
“おお!リュウって『一刀両断』って呼ばれてんだ、なんか凄いね!”
ちょっとノアさん!別に凄いとかじゃないからね!初めて聞いたんだよ、てか二つ名ってなんか恥ずかしいよ!
「大変恐縮なのでありますが、リュウト殿に頼みがあるのですが、聞いて頂けますか?」
うっわ、面倒くさそうなの来たよ、これ、絶対なんかヤバイやつだよ、どうにかして断らないといけないが、どうやったら穏便に済ませられるのだろうか?
と考えてるとその軍人みたいな人が勝手に話し始める。
「、、、実はですね、東の森にオーガの亜種が出現したのでありますが、この街にはそのオーガを、倒せるほどの実力を持ったものがいないのであります。なので代わりにオーガを倒して頂きたいと思ってるのですよ。あっ、その森から追い出すだけでもいいであります。もちろん報酬も沢山用意させていただきます。どうでしょう?受けて頂けるでありますか?」
普通のオーガってたしかAからSランクに分類される魔物だったよな、それの亜種となるとSランク後半、下手するとSSランクにまで達する魔物だ。そんな魔物を俺が倒せるのか?でもなー、困っているしなー、オーガの亜種とかめっちゃ見てみたいし、、、
よし!受けようとりあえず金も稼がなきゃ魔法国家につけないからな、
「では、受けさせていただきます。」
よし!すげースムーズに言えた。コレって成長なんじゃね?
「おお!本当でありますか?感謝するであります!おっと、そういえば名乗り遅れてしまいましたね、自分、この街、《ラシューダット》の冒険者ギルドの支部長をしてる「エジル」と言うであります!以後お見知りおきを」
な、なんだと?この人こんなに偉いのか、まさかのギルドの支部長だとは、スゲェ驚いた。
“うわー、スゴイ偉い人だねー、でもよかったの?以来受けて、急がなきゃなんでしょ?”
まぁそうなんだけどね、でも、断る方がきついってゆうか、もう、いっその事オーガさん倒した方がいい的な感じだよ。
“そっかー、じゃ、とりあえずレッツラゴー!”
戦わない方は気楽ですなー
じゃっ、行きますかー
“おー!”
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「ええと、ここが東の森ですかね、」
“なんか普通の森だね!ホントにここにいるの、オーガ?”
軍人さんの言うことだ嘘はないと思うのだが、とりあえず中に入って様子見だな。
森の中は獣系統の魔物が多く、初めにいた街の近くの森だよりも高レベルの魔物ばかりだった。
「ハァー、疲れたーちょっと休憩。てか、オーガいねぇー」
“えーリュウってばまだ30分も経ってないのに休憩?早くオーガ探そうよー”
ちょっ、無理、疲れたんだよ、結構体力使うんだぜ、森の中ってさ
“そうかなー、ボクが冒険してた時はそんな感じはしなかったけどなー、”
さいですか、体力の有無は人それぞれだからな、俺には体力がないってことで
“もう、それじゃあ呪いは解けないよ、ちゃんとしなきゃ! ”
へいへい、じゃ、探索再開しますかー
とオーガを探すため森の中を歩き出す。するといきなりひらけた場所にでた。しかもここはさっきまで歩いていた森の中の雰囲気とは違い、何かすごい力みたいなのを感じる。
“見て!リュウ!あそこ、あそこにいるのってオーガじゃない?”
と前を見てみるとそこには白い髪を持ち、腰には刀をたずさえ、和服を着、頭に二本の白く細い角をもつオーガが立っていた。
「、、、アレが、オーガの亜種。」
と観察していると
「何奴だ、ここが我の聖域だとも知らずにやってきたのか?」
、、、しゃ、しゃ、喋ったー、マジかよ!スゲェ、こいつ喋れるよ、、、いやいやいや、喋ったら困るよ、おもに俺が!会話とか出来ねえよ初対面の人とか、何?魔物と何の話をすればいいの?今日の天気は良いですね、とか?
“うわー、喋る魔物とかボク、初めて見たよ、凄いね!”
アレだね!お前は俺の悩みなんか関係ないもんね、ちくしょう、
「ふむ、人間か、我に何のようだ?」
うわぁーこいつ聞いてきたよ、質問してきちゃったよ、なんて答えよう、ええと、
「ええと、あのですね、実はですね、、、」
「ハッキリ喋らんかい!」
「ハイ!実は街の依頼であなたを倒しに来ました、ハイ!」
怒られたよ、魔物さんに怒られたよ、怖い、このオーガスゲェ怖い、帰りたい、
「、、そうか、我を倒しに来たとな、ふっ、面白い、人間如きが我を倒せるかその実力見せつけてみよ」
とオーガが刀を抜き、襲いかかってくる。俺はそれをノアで受ける。ここから一進一退の攻防が始まる。
オーガが素早い動きで刀で切りつけくる。俺はそれを何とか剣で受ける。ギンッ、ギンッと剣と刀がぶつかる音が聞こえてくる。
「ふむ、少しは出来るようだな人間よ、ならばこれはどうかな。」
オーガがそう言うと刀を振る速度を上げてくる。
「くっ、」
速度が上がった刀を俺は受けきれなず、体に切り傷が増えてくる。
“リュウ!大丈夫?”
ああ、何とかな、少し痛いくらいだ。このままじゃヤバイな、
「『纏風』!」
風を纏い自分の身体能力を、上げる。だか、オーガの攻撃を受けるのがやっとである。どんだけ強いんだよコイツ、
「ほう、これに追いつくか、なかなか面白い相手だな。」
とオーガは笑いながら刀を振るう。
ちくしょう、まだまだ余裕があるってか、こっちはいっぱい、いっぱいなのに、『風神化』は詠唱が長くて使えない、くっ、打つ手なしか、
「フハハハハハハ、いいぞ、いいぞ、人間!ではこれはどうかな?」
オーガの角が青白い光に包まれる。
「な、なんだ?」
「フハハハ、これは『神鬼化』、人間ついてこれるかな?」
と更に刀のスピードが上がる。
「ぐはァッ、くっ、ハァハァハァハァ、これはちょっとヤベェな」
全身の切り傷がだんだん増え、服が血に染まってく、体も動かなくなっていく、
「人間よ、これで終わりだ」
オーガが刀を振りかざし、俺を切りつけようとする。
、、、くそ、ここまでか、
“やめろーーーーーーーー!”
とノアが叫ぶ。するとオーガの刀は折れ、代わりに俺の剣が、ノアが聖光に包まれる。
“リュウはボクが殺させやしない!”
ノアの『聖光の加護』が発動したのだ。
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