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R童話-銀色で広がる物語-神の流れ-情景童話

一の子と一の。

作者: RYUITI

風も吹かない白く大きな部屋の中で、

一つ、眼を閉じながら寝息を立てる白髪の女性の姿がある。

寝返りを打つたびに柔らかく緩やかに揺れる白髪は長く、近づけば甘い香りがするだろう。

そんな規則的な寝息をたてて眠る女性を起こさない様に、

ゆっくりと部屋に入ってくる一つの影があった。

その影は自動でゆっくりと開く扉から眠っている女性の方を覗き見て、

白髪の女性が疲れていることを考えた後、中には入らず、また別の部屋へと移動してしまった。


どれくらいの流れがあったのかは定かではないが、

次に白髪の女性の眠る部屋へ顔を出した一つの影は、

手に何かを持っていて、恐る恐るゆっくりと女性の元へ近づくと、

柔らかい布のようなものをそっとかけて、来たときと同じように、

恐る恐るゆっくりと部屋を出ていったのだった。

そんな一つの影が部屋を出ていく間際、

影のモノである銀色の髪がすっと淡い部屋の明かりに照らされていたのを、

眠りからゆっくりと覚めた白髪の女性がおぼろげに観ていたのを影の彼は知らないままなのだった。

これは、多くの意思が交差する、ずっとずっと前の話である。

二人の空間、間の長い空間。

ポツリと。

「なあ、大神。何故、君の後継がオレなんだ? 」

銀短髪の少年が言う。

「まだ、決まった事では無いのよ、軸になる私が何らかの理由で機能しなくなった時、

今と同じように力の弱い私の代わりが貴方になるかも、というだけだから。」

そうはならない様にするから心配しないでと白長髪、銀の眼を持つ彼女が言い返す。

「こんな状態ではオレも大神もまともに力は使えないというのに――。」

少年がナニかにため息をついて首を下げる。

「彼らは気まぐれなのよ。」と銀色と灰色の眼を持つ彼女が笑う。


この場所を含めた多くの【世界】

それは、ある種によって発現、創り上げられている。

のだが、その世界よりも尚の事細かく、大きいモノ。

それが【軸】だ。

現状、軸の存在を知っているのはオレと、

会話をしている大神だけ。

この軸の存在をある程度不用意に口にしてしまうような事があれば、

何が起こるのか恐怖でしかない。

其れほどまでにオレ達が生きている場所は、形は、揺らめきは細く消えやすいんだ。

と、大神が言っていたのを思い浮かべる。


「ほら、怖い顔しないの。 」

そういって大神がオレの頭に手を置いた。

ハッとして大神の方に意識をやると、大神は呆れた様な笑みを浮かべて。

「考え事をするのは良いけど、考えすぎて重くなりすぎる事はいけないことなのよ? 」

そういってまた小さく笑みを浮かべる大神にオレはどんな顔をしていいのかわからず、

無言のまま眼を逸らしてしまう。ムッとしたわけでもしたい訳でもないのに――。

オレは――――どうにも、何もできないやつだ。


そんなことを考えていると、額にコツンと何かが当たる感触がして。

気が付くと大神が額をくっつけていて、

「クラウンは気持ちを柔らかくする事と言葉遣いを綺麗にすることを覚えるようにしなくちゃね。 」

とても優しい声でそう言葉にしていたので、すごく恥ずかしかったけど不思議と嫌じゃなくて、

むしろ嬉しかった。温かかったんだ。大神の言葉も、大神の優しさも。

「なあ――これからどうする? 」

短く口にしたオレの言葉を大神はうーんと唸った後、

「まだまだ時間はあるんだしのんびりしてから考えていきましょう、? 」

伸びをしながらゆるーくそう答える大神に、

内心とても呆れながら、確かにそうだなと考えて。

「のんびーりした後は、まず大きい家を作らなきゃね。 」

そう呟く大神の横顔をなんだか穏やかな顔で眺めてしまう。

オレの生きる新しい場所。

どうなっていくのかとても楽しみだ!!


願わくば安らかに穏やかに過ごせますように。





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