書き途中
「通信があったときはビックリしましたよ。」
フォリスが紅茶(と本人達は言っている)を啜りながら言う。
「いや、面目ない。」
クリスも紅茶を啜りながら答えた。
「あれだけの推理を展開した挙句、計画的どころか突発的な事件だったとはな。手配が済んだ後だったらと思うとゾッとする。」
アストリムもまた、紅茶(くどいようだが、紅茶だとは思えない)を啜りながら言った。
「ところでこの飲み物はなんと言うんだ?」
「紅茶だけど。お気に召さないかな?」
「いや、そんなことはない。」
この紅茶、味も香りもいいのだが、如何せん紅茶と言うよりは生姜湯である。確かに色は紅茶と言って差し支えない。だが生姜湯だ。
「紅茶も飲んだことがないのか?」
アストリムが心持ちニヤッとしながら僕に尋ねる。
「飲んだことはあるかもしれない。僕は例の事件があった日の前日より前の記憶がないからな。」
さもないといった感じで僕は答える。
「へぇ、記憶喪失ですか。」
「ああ、そうなんだ。気付いたら森のはずれで倒れていたらしい。」
「そこで僕が彼を助けたってわけさ。」
「ほう?助手、この怪しげな魔術師に人体改造でも施されてるわけではあるまいな?」
「おいおい、人の善行を悪行みたいに言うんじゃないよ。」
と、アストリムが肩を竦めてみせる。クリスも割と皮肉屋だが、アストリムは単純に口が悪い。
「それで、だ。」
⦅書き途中⦆