『松下一樹(事件)』 4
こんにちは mrtkです。
『神隠しから生まれし少女』本編第4弾です。
平成19年、初夏の日本で衆人環視の中で発生した事件が公式に認定された最初の『神隠し』だった。
夕方の買い物客で賑わうショッピングセンターで発生した事件は、六時台のニュース番組の現場中継中に帰還現象が発生した為に、一気に世界に発信された。
繰り返し放送された、そのショッキングな映像は世界に衝撃を与えた。
現場保全の為に封鎖された中、青白く発光する直径2メートル強、高さ2メートル弱の円柱体。気圧の変化を示す風音。女子アナの悲鳴じみた実況。柱がいきなり消滅した後で、倒れている4人の男女。服装や外見はそのままだったが、その後の事情聴取で判明した事は更にショッキングだった。
彼らは中身が入れ替わっていた。性別は関係無かった。精神的なショックを受けた『元女子高生の現男性老人』は今も入院していた。
その後、『神隠し』現象は世界に拡がって行った。
いや、正確には元々発生していたのだ。
世界初の『神隠し』は、その年の5月下旬に東南アジアで発生していた。本当に巻き込まれていたのに、周囲に信じてもらえずに自暴自棄になって薬物に走った男性が第一号だった。
彼が周囲にしていた証言は日本で発生した『神隠し』と合致していた。信心深い彼は光る大きな円柱に引き込まれて、その中で『悪魔』に会ったと言っていた。その『悪魔』は、恐怖の余りにひたすら神に祈る彼を、何も言わずに見詰めていただけだった。彼は円柱の中の光景を覚えていなかったが、明るかったと証言していた。
だが、日本での『神隠し』発生後に噂を聞きつけたテレビ局が覚えている事をイラストに描かせようとしたところ、身体が震えてそのまま気絶してしまった。目が覚めた後は『神隠し』に関する記憶が全て無くなっていた。彼以外の被害者全員が『神隠し』に遭遇している間の記憶が無かった為に、彼が残していた証言だけが解明の手掛かりだった。
各国の調査結果を集計すると、昨日までの約1年間で17件の『神隠し』が発生していた。
『変化』のパターンは『性別転換』『年齢変動』『性格変動』『記憶喪失』『多重人格化』が主な結果だった。日本で発生した事案は多人数と言うことで一番変化が大きかった。
民俗学者、物理学者、その他様々な人々(いんちき臭い人物も含めて)が、様々な分野で、諸説を繰り広げた。
だが、日本や世界に伝わる『神隠し』とは微妙に違う事と、消滅現象と帰還現象の規則性が高い事から人為的過ぎるとの指摘が多く、宇宙人の仕業では無いかという空気が人々の意識の中で多数派になっていた。
原因も目的も何も分からないまま1年近く経過して、一部の組織を除いて、人々は『神隠し』という超常現象を受け入れつつあった。
そして、世界で最初に映像が残った日本で多く使われた『神隠し KAMIKAKUSHI』という日本語だけが世界に定着した。
今回は単独で巻き込まれたので入れ替わりは無いだろうが、どの様な結果になるかは『神のみぞ知る』だった。
如何でしたでしょうか?
はい、思いっきり物語背景の説明回でした(^^;)
書かれた時期が古いので、平成20年の日本が舞台です。




