表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/50

エピローグ

ついに『神隠しから生まれし少女』最終回です。

 

 


 菜々は半分呆れて、周りで行なわれている銃撃戦を見ていた。


 自分に向かって飛んで来た小銃弾が力場に阻まれて地面にポトポトと落ちている。

 菜々はたまたま自分の背後に居た為に無傷で済んでいるこの国の大統領に声を掛けた。


「大統領閣下、そろそろ私は次の国に行かなくてはいけません。実りの多い会談でした。また会える日を楽しみにしております」


 大統領は目をむき出しにして怒鳴った。


「私を見捨てる気か?」


 菜々はにこりと笑いながら首を傾けた。


「申し訳ございません、大統領閣下。私は中立です。国内事情には口も力も出せません。ですから、今から言う事は独り言です。いいですね?」


 大統領は穴が開くほど菜々を見詰めている。


「政府軍の増援部隊到着まで3分ほどかな? あのドアから廊下を右の方へ走って逃げたら、途中で合流できるし、発砲する人は居ないみたいだな」


 大統領はがくがくと頷いていた。菜々は腕時計をわざとらしく見て、独り言を続けた。


「今のドイツは午前10時57分か。あと2分だけここに居ようかな?」


 菜々はそう言って、ウィンクをした。大統領は彼女の一人芝居の意味を理解した。


「ありがとう。君は命の恩人だ。君の提案を考えておく」


 そう言うと、大統領は姿勢を低くしながらドアに向けて走って行った。



 菜々は声を出して数を数え始めた。


「いーち、にー、さーん、よーん、ごー・・・・・・」


 大統領の執務室に日本語が響く。

 菜々はこの後、ドイツへ2回目の公式訪問をする予定だった。

多分、前回よりは突っ込んだ話が出来るだろう。修好条約締結の即時支持はさすがに無理でも、締結に向けた話し合いの前進で合意する声明くらいは引き出せるはずだ。

 問題は首相との会談後に、大統領主催の昼食会が入っている点だった。

 菜々はその昼食会の後で、松下家での『はるな』と『菜々』の誕生日パーティーに参加する予定だった。松下家では今頃、夕食準備の最中だろう。『菜々ちゃんの為に料理を残しておくね』と、陽菜ネェがメールをくれていたので楽しみだった。

 でも、ドイツでの昼食会で満腹になってしまうと、『はるな』の手料理をあまり食べられない。公務優先の為とは言え、本当にもったいない話だった。


『おとつい食べた鶏の唐揚は旨かったなぁ。今日も出えへんかな?』


 周りの銃声に似つかわしくない事を考えながら、菜々は数を数えていた。


「・・・・・、ひゃくじゅうなな、ひゃくじゅうはち、ひゃくじゅうきゅう、ひゃくにじゅう! もう、いいかいー?」


 クーデター部隊のリーダーは東洋人の少女越しに、大統領側兵士に小銃を撃ち込みながら焦りを感じていた。少女は流れ弾に構わずに、呪文のような言葉を発していた。

 『宇宙人の代理人』の話は知っていたが、こうしてその力を見せ付けられると、クーデター計画を強行した事で取り返しのつかない事態を招いてしまう気がしてきた。独裁者の大統領を暗殺出来る滅多に無いチャンスと考えた事に後悔をし始めていた。

 声の調子がその呪文の完成が近い事を示している。ついに彼女が呪文を完成させて、こちらを見た。リーダーは覚悟を決めた。

 彼女は敵意の欠片も無い笑顔でリーダーに言った。


「逃げた方がいいよ。政府軍の増援がこの部屋に来るから。来た道を戻れば逃げ切れるよ」


 彼女はそう言うと光のポールを出した。

 リーダーは安堵しながら部下に撤退を命令した。すると彼女は呟いた。


「逃げ切ってね」


 最後に執務室を出ようとしたリーダーの耳に菜々の声が聞こえた。


「頑張りや。頑張れば、そのうちにええ事が有るで」


 日本語だったので意味は分からなかったが、声の調子で激励された事が分かった。彼は直立の姿勢をとると、彼女に向けて敬礼をした。この事で撃たれてしまう可能性が高くなる事は分かっているが、そうしないと気が済まなかった。少女は軽くうなずいてくれた。

 クーデター部隊のリーダーは、数ヵ月後に行った国連総会での演説の中で証言した。


『彼女は中立だった。おかげで我が国は救われた』と。


 菜々にとっては爆弾を仕掛けられたり、銃を向けられたりした3回目の出来事だった。

 『浩史さん』との約束が無ければ、人類は3回、滅んでいた。


 だが、人類を宇宙に引っ張り上げる為に14歳のまま2世紀も生きる事になる少女にとっては、今日の誕生日パーティーに比べて、本当にささいな出来事だった。




如何でしたでしょうか?

 終わっちゃいました(^^)

 本当なら、この後、巨大ダイヤモンドやら、異星人やら、武装した宇宙船を苦労して建造する話しやら、宇宙で軍隊を運用する苦難やらが続く予定ですが、残念ながら完成しているのはここまでです。


 最後までお読み頂き、本当にありがとうございました m(_ _)m




P.S. 1 : もしかしたら、本シリーズ『黒い空、青い星』の雰囲気を掴んで頂く為のイメージ短編を後日投稿するかもしれません(^^)

P.S. 2 : 新たな作品を投稿するかどうか悩んでいます。

      短編が1つ、長編シリーズが1つ残っていますが、長編の方は『黒い空、青い星』シリーズと同じで、1編分のみ出来てる状態です。

      内容はファンタジーの様な、SFの様な、地味な作品です(^^;)

      どうしよう・・・・・・

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ