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『笹岡啓子(肉食動物の少女)』 4

いじめっ子啓子編の第4幕です。

 彼女はどうなってしまうのでしょうか?

 そして、葉瑠奈たちはどうするのでしょうか?

登場人物 (第一部「神隠しから生まれし少女」当時)


松下 浩史  松下家父親。影の主役。

松下 榛菜  松下家母親。怪現象に巻き込まれる。

松下 一樹  松下家長男。高校二年生(西暦2008年時)。ある種の天才。

松下 陽菜  松下家長女。中学三年生。腐女子。可愛いので、男子からは人気がある。

松下 葉菜・瑠菜・菜々  本編の主人公達。内、一人はシリーズを通しての主人公。

早川 翔太  一樹の親友。高校二年生。後に松下家と更に深い仲になる。

早川 優衣  翔太の妹。中学三年生。陽菜の幼馴染。

盛田 雄一  もう一人の主人公。中学一年生。気が付けば運命を捻じ曲げられてしまった子。運動バカ。

盛田 健二  雄一の弟。小学三年生。ある事がきっかけで人見知りが激しい。

田中 綾乃  雄一の同級生。中学一年生。引っ込み思案な優等生。

笹岡 啓子  雄一の同級生。中学一年生。ナイーブないじめっ子。

井植 拓海・田所清志  雄一の同級生。中学一年生。

松田 貴志・杉浦 美紀  浩史の部下。婚約中。    

特別出演   堺市堺区の皆様



 次の日、笹岡啓子が昼休みから登校するとクラスの雰囲気は全く変わっていた。

 別に無視をされる訳ではないが、取り巻きを含めてクラスの皆の接し方が冷たくなったようだった。彼女に対する挨拶の声の質から直ぐに分かってしまった。

 それまでの挨拶には彼女に対する遠慮というか恐怖といったものが含まれていた。入学式の当日には、彼女の敵と思われたらいじめの対象になる事が、彼女と同じ小学校出身の女子から広まっていたくらいだった。啓子の天下は続くはずだった。

 だが、たった3日間で啓子が作り上げた世界は崩壊していた。

 その張本人の三人組は平和な学園生活をいつもの場所で繰り広げていた。


「おー、これは可愛いで。あかん、これは食えんわ、可愛すぎるで」


 拓海が思わず大声を上げた。綾乃がタコさんウィンナーと共に作ってきた、ウズラ卵を使ったひよこちゃんは箸をつける事さえ勿体ないほど可愛かった。


「田中、お前はええ奥さんになれるで。俺が保証する。いや、むしろ今すぐ俺の家で一緒に住まへんか?」

「拓、変なゲームのし過ぎや。綾が固まっとるで」


 次に発言したのは菜々だった。


「なあ、君。そのセリフは葉菜が作ってきた特製おにぎりを見てからにした方がええで。よう分からんけど、昨日の晩に浩史さんに教えてもらったキャラに似せて葉菜が作ったんやで」


 葉菜が取り出した弁当箱の中にあるおにぎりを見た拓海は絶句した。

 そこには見事な軍曹が居た。カエルを基にしたアニメのキャラクターだった。しばらくしてから、思わず拓海が言った言葉が彼の心情を表していた。


「幸せ過ぎるで・・・ 俺の人生、後は落ちるだけやな」

 

 騒がしい6人組みに対して、啓子は無言でサンドイッチを食べていた。取り巻きも無言だった。登校途中のコンビニで買って来た好物のサンドイッチは、今日は全く美味しくなかった。原因はサンドイッチでは無く、自分の精神に有る事は分かっている。

 そして美味しく感じないサンドイッチを、時間を掛けて最後まで食べ切った時に彼女はポツリと言った。


「あんたらも、明日から私と一緒に食べる必要無いで。好きにしいや」


 言われた二人は怪訝そうな表情をしたが、無言だった。

 本当に自分の居場所が無くなったと感じた啓子は一人で体育館の裏に向かった。

 空は今の彼女にとって嫌になる位に晴れ上がっていた。塀にもたれるように座って、空を見上げている啓子の横に誰かが座る気配がした。

 瑠菜が同じように空を見上げながら言った。


「偉いね。泣きたくない時に上を向くのはいい方法だ」

「どこまで私を馬鹿にする気?」

「馬鹿にする気は無いわ。被害者の救済に来ただけ」

「被害者? まるで自分達が加害者だと認めてる言い方ね」

「そうよ。私達は加害者以外の何者でもないわ。あなたは私達に手も足も出ずに、一方的に負けたのよ。あなたから被害も受けてないし・・・」


 瑠菜の声は勝利宣言じみた言葉と裏腹に、暗く沈んでいた。


「だから、こう言ったら、あなたのいじめに遭った子達から文句が出るかも知れないけど、あなたは私達の被害者そのものね」

「責任でも取ってくれんの?」

「まさか。あなたと違って、私達の行動は全て生きるか死ぬかの問題なのよ。自分達が生きていけるように周囲を変えてしまう事は生き残る為に必要な事。あなたは食事の度にお米や小麦や牛さんや豚さんたちに謝っているの?」

「くくく、私は米並みの価値しか無いって?」

「お米並みって、結構評価しているけどねえ。みんなと違って、あなたは私達の存在に危険な匂いを感じたのでしょう? 自分の縄張りに侵入した敵という位の認識だったでしょうけどね。それだけでも評価に値するわ」

「敵ねえ・・・ 確かに敵やったわ。もっとも、あんたらにとっては私なんか敵やなかったみたいやけどね」

「仕方ないわよ。私達には手を抜ける程、余裕が無いもの。想像してみたら分かるわ。20年以上未来の世界に放り込まれて、味方になってくれそうな人間はみんな死んでいて、周り中が敵に思える状況で手を抜けると思う?」

「想像したくも無いわね。でも同情はせえへんよ。私には関係あらへんし」

「私達も同情は要らない。私達がする事の邪魔をしなければ十分よ」

「世界征服でもすんの?」

「まさか。私達はひっそりと生きて行ければいいの」


 その声に込められた感情は、普通の中学生に出せるものを遥かに超えていた。

如何でしたでしょうか?

 瑠菜さん、ハンサムっす(^^)

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