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『笹岡啓子(肉食動物の少女)』 2

「肉食系女子」という言葉はいつ頃広まったんでしょうか?

 まあ、どうでもいいんですけど(^^;)

 新たなキャラの笹岡啓子さんって、どう考えてもmrtkには苦手なタイプです・・・

 草食動物の様なmrtkは狩られて喰われるだけです(食べても美味しく無いですけど ^^)

 田中綾乃は体育館の裏に居た。

 当然だが一人ではない。

 先週までと同じように啓子達のグループに呼び出されていた。優等生だった綾乃は一年前まではいじめられる事も、いじめる事も無かった。クラスの中でいじめをしている現場を見る事さえも無かった。

 そんな綾乃を啓子がいじめるようになったようになったきっかけは、一年前に発生した綾乃の母親の家出だった。小学校の時はまだ軽いいじめで、ハブ(無視)されたり悪口を言いふらされたりする程度だったが、中学校に入ってからはひどくなっていた。


「ほら、田中、早くその手を上にあげるんだよ!」


 啓子は携帯を構えながら、綾乃に向けて言った。

 綾乃はスカートの裾を持った手をゆっくりと上げていった。その速度が唯一、綾乃の示せる抵抗だった。


「パンチラ見て楽しいんかいな? 私には分からん趣味やな」


 いきなり聞こえた声は心底不思議がっている響きがあった。


「まあ、綾ちゃんくらい可愛かったら男の子が大喜び、ってくらいは私にも分かるで」


 啓子は声を聞いた瞬間に嫌な奴が来た事を知った。

 少なくとも味方になる事はない相手だった。


「綾ちゃん、手を降ろしいや。もうちょいでパンティーが見えそうやで」


 啓子は声がする方を向いた。

 その顔には余裕も理性もいつもの半分しか無かった。

 昨日から自分の生活に土足で入り込んで来て、彼女が作り上げた世界を勝手に崩し始めた三人の姿が目に入って来た。先頭にいる菜々に向かって答えた。


「なに言うねん。友達同士で写真撮って遊んでるだけや。あんたには関係ないわ。あっち行き」

「あっそう。遊びやったんや? ほな、綾ちゃん、あっちでうちらと一緒に遊ぼ」


 菜々はそう言いながら、綾乃の横まで歩いて来て右手を握った。


『温かい手だ』


 綾乃はその手の温もりに救いを感じた。


「なに勝手な事を言うんや? 田中はうちらと遊んでるって言うてるやろ」


 綾乃の手を引きながら、菜々は馬鹿にした声で答えた。


「遊びって、お互いが楽しむもんや。片方が嫌がってたら、それは遊びとちゃう。それはいじめって言うんや」


 あっさりと言われた事で、啓子の余裕と理性は更に無くなってしまった。

 心のどこかで自分を止めようとあがいている部分が有る事は分かっているが、この三人に冷静な対処が出来そうに無いと諦めの部分も有った。

 だから次に口から出た言葉は悲しいほどに無意味な言葉だった。


「あんたに田中を勝手に連れて行く権利は無いはずや。手を離しいや」


 まるで田中綾乃が自分の作り上げた世界の象徴のようになっていた。普段の彼女なら、一旦引いてから作戦を練り直すだろう。言った瞬間に自分の敗北を確信した。


 菜々の返答は冷静な声音だった。


「へー、あんたには他人が嫌がっている事をする権利が有るって訳?」


 もう、この時には傷口を拡げる言葉しか思い付かないほど追い詰められていた。


「友達同士の遊びやないか! 何、偉そうに説教してんのや、先生でもないくせに」 

「先生に言われんと分からんの? 子供の言い訳やな」 


 菜々は相変わらず冷静に答えた。むしろ冷静を越えて冷たいと言えそうな声だった。


「あ、あんたらなんか、また居なくなればええんや! 気味が悪いんよ! 同じ顔、三つも並べて! ババアはババアらしく家でおとなしゅうしときや! この化け物ども!」 

「訳分からんわ。もしかして自分で何言っているか分からんようになってんのか?」 

「あんたが馬鹿やから、分からんのよ! 学校から出て行け!」 

「もう、ほとんど幼稚園児ね。気に入らないと、駄々をこねる子がサクラ組に居たわね、葉菜?」 

「あんまりいじめちゃ、だめ」 

「そうやね。悪かったわ、からかって」


 啓子は三人を睨んでいた。

 取り巻きはおろおろとしていた。

 彼女は一分間ほど無言で睨んだ後で、今度は綾乃を睨みつけながら四人の横を通って校舎に向かった。彼女は勝ち目が無い事に絶望していた。睨みつけたのは、この時点では他に何も出来ないからだったし、最後の無意味な抵抗だった。

 取り巻きの二人は啓子の後を追い掛けて行った。啓子との違いは四人と目を合わせない事だった。

 菜々は冷静な声で瑠菜に話しかけた。 


「あの程度で泣くなら、最初から突っかからなきゃええのに」 

「菜々も大人げがないわね。敵を増やしてどうするの?」 

「そうね。私も子供やな。そう思わない、綾ちゃん?」 

「う、ううん、そんな事無い。助けてくれてありがとう、菜々さん」 

「うーん、助けたというより余計な事をしちゃったかも。でも、今度からいやならいやって言うた方がええで」 

「うん」


 一部始終を見ていたクラスメート達はばれないように帰って行ったが、一人だけ離れた場所で隠れてデジカメを構えながら毒づいている男子生徒が居た。


「くそ、どうなってるんや」


 彼は昨日からシャッターチャンスをことごとく外していた。例外はホームルームの時間に携帯で撮影した最初の数枚だけだった。

 それ以降はみんなが撮影しなくなった為に隠し撮りを試していたが、後で確認したら失敗だらけだった。

 その為に、今日は教師に見つかったら即没収の危険を冒して、愛用の一眼レフ式デジカメを持ち込んでいた。高度な映像処理エンジンを複数搭載して高速度処理と高画質を両立させたタイプで、今までにほぼ失敗せずに撮影してきた愛機だった。

 だが、さっきから撮影していて成功した感触は全く無かった。

 まず、オートフォーカスが上手く作動しなかった為に、マニュアルでピントを調整するはめになっていた。

 だが、それでもピントが合わない。仕方無しに近くに居る田中や笹岡たちにピントを合わせたが、三人の姿はぼんやりとしていた。しかも色温度等の補正がおかしいのか、ファインダー内の表示がころころと変化する。

 結局、左目で直接見ながら勘で固定して連写モードで数の勝負を賭けたが、いやな予感がしていた。四人が教室に戻って行く間も狙ったが、結果は同じだった。画像は全てピンボケしていた。

 彼が撮影した画像全てを確認した後で、新たに毒づいている頃、1年3組の教室と女子トイレでは対照的な光景が繰り広げられていた。

 教室の後ろの方では、校庭で遊び終えた雄一と拓海を加えた六人組みが自分達の会話ゾーンとして確保した場所で楽しそうに話していた。もっとも葉瑠菜三人はサンドイッチを食べながらだったので、三人を代表して菜々が主にしゃべっていた。後の二人は行儀が良くて、口に物が入った状態ではしゃべらなかったからだ。


 女子トイレでは、啓子が取り巻きの二人に向かって、延々と三人の悪口を言っていた。


 こうして、1年3組の流れを決めるキーパーソンの交代が行なわれた。


 だが、葉瑠菜がこれで手を緩める事は無かった。

 事件の第二幕は人知れず行なわれた。

如何でしたでしょうか?

 感じとしては、百獣の王ライオンが食物連鎖のトップに君臨していた草原にT-REXが現れたという感じでしょうか?

 

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