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03

会議は順調に進み、鈴峰の私有地で山と海が近い場所があり、その場所に別荘があるらしく、そこに泊まることになった。

今、何をやっているかというと、休憩中だ……別に会議が難航したってわけではない、ただたんに休憩をしているだけ。

会議用の長机には、一杯のストレートティーと何やら高そうな缶に入ったクッキーが置いてある。

「それにしても、風華が紅茶入れるのが得意だったなんて知らなかったなあ……」

「べ、別に言ってないんだもん、知らなくて当然でしょ?」

まあその通りなのだが……一応こいつお金持ちの娘だよな? なんで、自分でお茶入れてんだろうな?

それにしても、この紅茶うまいな……今まで味を気にしてなかったけど、なんか格別って感じがする。

「なあ? なんで風華が淹れてんだ? お前みたいな金持ちのお嬢様は使用人とかいるんじゃないのか?」

まるで呆れたような顔をしていた。

「ここは、学校だし使用人なんて連れてこれるわけないでしょ……それに、私がお茶を入れてたらおかしいの?」

「いや、紅茶がおいしいから……なんとなく疑問に思っただけなんだけどな……」

「私が淹れた紅茶は美華姉さまのお墨付きですぅうう! おいしいくなかったら、どれだけ舌が肥えてるのって話だよ!」

どうやら、怒らしたらしい……一体何がそんなに不満なんだ?

「なんか、おいしそーな匂いがする! ってわー! ボクを差し置いて、お茶会なんてズルいじゃんか!」

突然現れたのは、俺の幼なじみの友梨香……てか、お前は別に生徒会役員でもないだろうが……。

まあ、俺も雑用なんだけど、せめて役職名は欲しいところだ。

「友梨香ちゃん、何で今日は遅れてきたの? 簡潔に丁寧に佐藤君でもわかるように説明してくるかしら?」

か、会長が笑いながら怒ってらっしゃる……って、会長! 俺にもわかるようにってなんですか! まるで、俺がバカみたいな言いかたじゃないですか!

と、心の中だけで叫ぶ……口に出して言ったら、今の会長なら俺一人を焼き殺すことぐらいやってしまいそうで怖い……。

「えーっとですね……ボク、授業日数が足りなくて……補習受けてます……てへっ!」

「……てへっ……じゃねーよ! いつもバカみたいに元気なのになんで授業日数が足りないんだよ!」

「まぁまぁ、佐藤君も落ち着いて……一応、学校側の理由だから仕方ないのだけれど……一言連絡を入れてほしいものね?」

会長お得意のニコニコした威圧感……もう嫌だ、これだけは勘弁してほしい。

別に俺が受けるわけではないのだけど、見るのも嫌なんだ……。

ほら、怜も、風華も明後日の方向いてるし!。

「はーい! 以後気を付けます!」

か、軽い! 返事が軽い! そんなに焼け死にたいのかお前は!

「じゃ、次から気を付けてね」

あれ? あっさりと終わったな、意外だ。

――ん? ああ、なるほどな、会長にも苦手な人がいるわけで、それがたまたま、友梨香だった、てことか。

「それじゃあ、明日から旅行行くから準備しておいてね、それと友梨香ちゃんの補習だけど先生に何とか頼んでおくから心配しないでね」

「へ? 旅行? 何の話ですか? ちょ、あき何の話!? 怜ちゃん風華ちゃん!?」

それから、友梨香を含めて会議は再開し、あっさりと終わった。


「お疲れ様でしたー」

と、怜の声で会議は終了。

雑用係の俺は残って掃除をして、みんなは帰って行った。

俺が掃除して、数分経ってからのこと。

「ねえ? 手伝ってあげようか?」

気づかない間に扉から怜が顔を出していた。

「いや、明日の準備で友梨香と買い物行くんだろ? あいつさ、自分は平気で遅れてくるのに、こっちが遅れると怒るんだよ」

くすっと怜は笑う。

「な? 変な奴だろ? それにこれくらいなら俺1人でもそんなに時間かからないから大丈夫だよ」

「――私じゃ、いや?」

「へ? い、一体どうしたんだ?」

「え、あ……なんでもない! じ、じゃあ、後よろしくね!」

正気に戻ったかのように、慌てて帰る怜。

「あいつもあいつで変な奴だな」


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