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第一話 電波来襲

初投稿なんでつたない文章ですが、ぜひ読んでください。批判でもなんでもいいので、感想をくれたら御の字です

「・・・・・・おいおい」

オレこと、風見祐哉(かざみゆうや)は珍しく早起きした。明確な理由はない。ただ、いつもなら二度寝にふける時間帯に起きても、今日に限ってはやけに目が覚めていて寝れなかった。だから仕方なしに、朝飯の支度をしようと台所に行くことにしただけだった




のだが・・・・・・




「うまい。なかなかじゃん」

リビングにさしかかったところで、小学生程度の見知らぬ少女が、炊きたてであろう白米をかっこんでた

「・・・・・・ん?」

「・・・・・・」

「おっす」

「えっ?お、おっす・・・・・・」

「これにーちゃんが炊いたご飯?」

「あ、あぁ。一人暮らしだしな」

「すげぇー天才じゃん。めっちゃウマい」「お、おう。ありがとよ」

それだけ伝えたかったのか、少女はまた白飯をかっこみ始めた。しかし見事な食いっぷりである。これだけウマそうに食べてくれると、炊いた側としても気分がいい。炊くだけでこれほどなのだ。農家の人なら感極まって泣き出すかも・・・・・・

「・・・・・・っておい、誰だおまえ」

「ん?あたし?」

白飯のどこにつまる要素があったのか、少女はつまようじをくわえながらこっちを見た

「おめぇだよ白飯娘。他に誰がいる」

「へっ?」

きょとんとした表情をす白飯娘(今命名)。自分の頭の上辺りを見た後、一人納得したような顔をして、「あぁ、見えないんだっけ」とかほざく。あれか、なんちゃらには見えないものがあるのか

「あたしはぁ・・・・・・頼みごとがあってきた」

「頼みぃ?」

「うん!」

元気よく椅子の上に立ち上がる女の子。できれば降りてほしいのだが、言って聞く電波少女じゃないだろう

「ふふん」

椅子の上で、ない胸を張って得意そうな声を上げる。よくよく見れば、少女はかなりの美少女だった

茶色い頭のてっぺんで、俗にアホ毛と呼ばれるものを揺らしながら、元気いっぱいといった瞳で椅子の上からオレを見下ろす。なぜかブカブカのワイシャツしか着てないのはきっとおしゃれ・・・・・・ではないな。あのくたびれた袖はオレのだ。洗濯機の音がするが、服洗ってんのか?

「おい、あんまりじろじろ見るな」

「あぁ、すまん」

顔を赤くして睨んできた。できればワイシャツの裾を引っ張らないで頂きたい。破れるから

「で、頼みってなんだ白飯娘」

「ゆかだ。由香」

床、ではないはず。だとすると名前か。さすがに白飯娘は嫌だったのだろう

「で、由香。頼みってなんだよ」

「あ、うん、そのことなんだけど・・・・・・」

椅子から降り、オレの前に歩み寄る。登った意味は?とか聞きたかったが、これ以上話を挫折するのも面倒なのでやめた

「耳貸して」

誰にも聞かれたくないのか、由香はもじもじしながら呟く。ちゃっちゃと用件だけ聞いて追い払う気のオレは、なんの警戒もせずにしゃがみこみ、由香の方に右耳を向けた

「あのさ・・・・・・い、イヤとか言わないでね?」

「へぇへぇ」

なにを心配なんだか。ガキのお願いなんて大したことじゃないだろうし、さっさと叶えてやって警察呼ぶか。今ごろ電波少女の迷子届でもでてるだろう

「しっ・・・・・・」

「し?」

「死んでくれない?」

「いやです」

前言撤回。大したお願いだった

「イヤって言わないって言ったじゃん!?」

「うるせえ!殺害宣言されてハイそうですかで片付けられる人間なんていねぇよ!」

「じゃあ安心だ!にーちゃんは人間じゃなくてクズだからな!!」

「勝手に人をチリとかゴミにすんな!」

「にーちゃんはゴミはゴミでもゴミクズだ!」

よもや小学生にゴミクズ呼ばわりされるとは、親が見たら大笑いしてるだろう

「あぁ待て。ちょっと状況把握するわ」

ピーピー叫ぶ由香の頭を抑えながら、とりあえず今朝の出来事を思い返す。朝早くに起きて、台所に向かって、白飯食ってる由香見つけて、死ねって言われて・・・・・・

「なるほど、全く意味分からん」

「まぁそうだろうね」

横で頷く由香がなんかむかつく。てかオレこいつに馴れすぎだろ

「とりあえず、分からないまま死んだほうが楽だと思うけど?」

「それだ。なんでオレが死ななきゃならねぇ」

でかい罪を犯したなんて過去はない。たしかに喧嘩っ早いとは言われるが、病院送りや致命傷を与えた覚えもない。はっきり言うが、殺される理由なんてないのだ

やっぱりただの電波少女なのか。そう片付けようとオレが頭を掻き乱したときだった

「分かった、教えればいいんだろ?」

ない胸を張ってふんぞり返る由香。いつもならパンツの色を思い浮かべるんだが、ガキには興味ないし、これ以上無駄な時間は過ごしたくない。とりあえず、イスに座って黙って聞くことにした。

「さて、なにから話そうか・・・・・・」

腕を組み、必死に考えるアホ毛少女。その目はやけに冷静で、今にもつらい事実を突きつけそうな気がする

気づいたら、オレの頬には汗が流れていた

「ねぇ、にーちゃん」

由香が呟く。その声は、今までの元気いっぱいといった感じではなく、幼さゆえの残酷さと、少しの狂気が見え隠れしている

もったいぶるように、ニヤリと笑みを浮かべながら冷たい瞳がを覗く。オレはその瞳に恐怖したのか、息を呑み、由香が次に口を開くのを黙って待つしかできなかった

そして、由香がゆっくりと、オレの恐怖を煽るように、続きを口にした

その瞬間、背筋が凍るような気がした。オーバーではない。本当に、背中が凍りついたと錯覚したのだ



まさか、こいつ・・・・・・




「死神って、知ってる?」




・・・・・・ただの、電波少女だ




「なんだその目は!人を疑ってるだろ!?」

「うんうん、そうだねぇ。死神さまなんだねぇ」

「死ねゴミクズ!来世で鼻かんだティッシュになれ!」

飛びかかってくる由香をひらりとかわし、ハハハとから笑いして誘う。キレたこの状況なら絶対乗ってくるはず。そしたらオレの勝ちだ。そのまま頭掴んで警察までつきだしてやる

「わぁ、死神様が怒ったぁ」

「う〜・・・・・・うがぁ!」

適当に茶化すと、犬歯を剥き出しにして襲いかかってきた。かなり怖い。が、作戦通りだ

「絶対殺してやる!」

「はーっはっはっは」

やつの神経を逆撫でするように笑いながら玄関に向かって猛ダッシュするオレ。ちらりと後ろを見れば、白目になって由香が追いかけてくる。なんだろう、一瞬寒気がしたんだが・・・・・・

「シーナ、転ばせて!」

玄関までの一本道。ふと、背後で由香がなにか叫んだ。と思ったら、突然右足をなにかにつかまれた

「いぃっ!?」

突然の出来事に対応できず、オレはゴン!という鈍い音を響かせ、不良の頭突きよろしく床に衝突した

「い゛、い゛でぇ・・・・・・」

「きゃー!ナイスヘッドバック!」

悶え転げ回るオレの耳に、知らない女の声が響く

ぐっ、まさか電波女がもう一人いるとは・・・・・・!こうなったら電話だ。住居侵入、殺害未遂で御送検させて頂きます!

「覚悟しろてめぇら!」

意気込みも充分に、勢いよく身を翻し立ち上がったオレ。もはや容赦はない。ガキと高校生様の実力を違いを見せてやる




ハズだった




「いやん。そんな見つめたら殺すわよ☆」

例えるならそう、電波の親玉。オレじゃどうやっても受信できないようなバカすげぇ電波が、俺には見えた

撫でるような金髪と、透き通るような白い肌。そしてオレの視線を釘付けにする巨乳をもった大人の女。それだけなら大歓迎、なにせオレ年上属性だし

だが、そこで終わってくれないのが電波の親玉。女はフワフワと宙に浮き、肩にゴツい大鎌を担いでる姿は、例えるならそう、死神(のコスプレ)

「いやん☆そんなに見つめられたら、きゅんきゅんしちゃうじゃない」

宙に浮きながらくねくねと身をよじる女。天井を見ても、ワイヤーで吊されてる様子はない。声も鮮明に聞こえるってことは、幻覚ってこともないだろう

そこで浮上する疑問がひとつ。じゃあこれなに?

「シーナ、そこで呆けてるゴミクズ殺れ」

オレがすっころんだことで怒りが静まったか、獲物を追い詰めたような目をした由香が、勝ち誇った顔をしながら、宙に浮く女の横に並んだ

「いいの?せっかく会いにきたのに」

「こんなクズだったとは思わなかったの!」

「ちょい待て。さりげにクズ呼ばわりするな」

「うーん・・・・・・。たしかに頭足りてなさそうな顔してる」

「やかましいわ!てか人の顔まじまじ見て頭足りてない言うな!」

まったく失敬な。言っておくが成績は中の中だ。満ちてはないが、決して足りてないわけでもない。そんなオレの頭は、知識を総動員させ、この状況からどう逃げ出すか思案していた。今のところの名案は『二人ともシバいてとんずら大作戦』しかない。うん。頭足りてないな

「一番苦しい死に方で殺して」

「おい、人の意見なしで殺すとか言うな」

「もう、仕方ないわねぇ」

「おめぇも無視すんなよ」

由香の命令で、女が大鎌を担ぎ直しフワフワと近づいてくる。一番苦しい死に方とか言ってたが、鎌って普通一発じゃねぇ?

「苦痛と快楽は紙一重。キミはどっちが表なのかな?」

妖艶な笑みを浮かべる女。いつもなら心の底で万歳してるところだが、残念ながらこの状況じゃ冷や汗しかでてこない。だから一発で終わる凶器ですよそれ。苦痛とか快楽とかの話じゃないから

「ちょっ、マジでシャレにならねぇって」

後ずさろうとするオレ。しかし、右足を引こうとしたところで、自分の身体の異変に気付いた


身体が、動かねぇ!?


「死神が狙った魂は、ただ刈られる瞬間を待つだけ。なす術なく、その命を差し出す」

「嘘、だろ・・・・・・!?」

女の整った顔がオレの眼前に広がる。未だ鎌を振り上げようとはせず、焦らすような笑みを浮かべていた

嘘だろ?オレここで死んじまうのかよ。あんなクソガキの都合で、こんな訳も分からない状況で殺されんのか。ふざけんな。ふざけんなよ!!? こんなところで死ぬ気はさらさらねぇんだ!やりたいことだって山ほどあるんだよ!

「あぁ、その絶望に染まる瞳。キミの魂はいい鎌になりそう」

妖艶に舌をなめずる女。その姿は、今のオレにとって恐怖以外のなんでもない


そして


「えい☆」

「うぶっ!?」

女は、オレの頭を抱き寄せ、自分の豊かな胸に強く押しつけた

「なんで窒息死を選んだの!?」

「由香は分かってないなぁ。男にとっておっぱいは崇拝の対象なんだよ?それに包まれて死ぬなんて、苦痛と快楽を同時に味あうまさに一番苦しい死に方じゃない」

「一番嬉しいやつだからそれ!」

遠くで由香が吠えている気がする。しかし、オレにそれを確かめる余裕はない

くっ、なんて恐ろしいんだ!おっぱいに顔を埋めているこの瞬間はまさに至福の時間。しかし、このまま息ができずに死ぬのはごめんだ。まさに最高最悪の殺し方と言えよう。あぁダメだ。意識がどんどん薄れ・・・て・・・・・・



「あ、崩れた」

「ちょっ、シーナ!? ほんとにこんな殺し方でいいの!?」

「えー、だって由香が言ったんじゃん」

「うるさい!いいから蘇生して!」

「死神に蘇生させるなんて、由香は鬼ねぇ」

薄れゆく意識の中、電波少女の慌てた声と、自称死神女の呆れた声が耳に響いた







続く

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