壁尻コネクト最強チート無双! ~壁尻ヒロインを肩車するのは究極の合体~
かべしり! がったい! むそう!
あなたは円形テーブルしかない謎の空間にいた。
広々としたこの空間には、美少女にしか見えない女神もいた。
「ようこそ、勇者様。私は正義の女神です。これから勇者様を異世界に転移するのですが、その際に連れて行く従者を、こちらの写真から一名、お選び下さい」
女神の説明を聞いてから、あなたはテーブル上にある大量の写真を見定めた。
近くにいる女神に劣らないぐらいの美少女が多かったが、それらの写真の中に、不可解なものがあった。
壁尻だ。
ライトグレーの壁から、紺色のミニスカートと黒い靴下、茶色い革靴を身に着けた、女子高生と思われる下半身が出ている。
しかも短いスカートの中の、白と薄い緑の横縞下着が大胆に見えてしまっていた。
この姿に、あなたは興奮を覚えた。それに、見えない上半身がどうなっているのかも気になった。
だから、壁尻の写真を選ばざるを得なかった。恥を捨てたあなたは、正義の女神にその写真を渡す。彼女は嫌な顔ひとつせず丁重に受け取った。
「承りました。では、楽しい異世界生活をお送り下さいませ」
女神の力で、男子高校生だったあなたは異世界転移した。
転移した先は、城内の広間のようだった。男があなた以外にも二人いた。その二人の従者らしき美少女も二人いた。
あなたはさっそく、自身の従者を見た。
「……何これ?」
あなたが、『これ』と言ってしまうほどだった。
確かに写真通り、壁に埋まった下半身がある。しかし、回り込んで確認した厚さ五センチの壁の反対側には、上半身がなかった。
ライトグレーの壁の中央に、美少女らしい緑の大きな瞳が二個と、壁と同じ色の低い鼻と、それに薄いピンクの唇があるだけだった。
「私をお選び下さり、ありがとうございました、ご主人様。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いいたします」
表情も澄んだ声もかわいかっただけに――、あなたはガッカリ感が半端なかった。
「ひゃはははっ! バケモンじゃんか!」
近くにいた男Aにバカにされた。
「なんか……かわいそうっすね……」
そう言いながらも、男Bは笑いを隠せない。
あなたの怒りは頂点に達した。
「うさ耳つけてるビキニアーマーと巨乳の金髪エルフ選んだお前らに言われたくねーよッ!」
あなたは大声で怒鳴り、あなたの異世界生活は幕を開けた。
あなたの相棒の、壁尻。彼女の壁部分は高さが百八十センチ、幅は九十センチぐらいの縦長だ。ちょうど畳一畳分に近い。
最初は重くて運べないかと思っていたが、彼女の下半身の太ももに挟まれ、縞パンを後頭部に当てられることによって、難なく運べることが判明した。つまり、壁尻を肩車することで、物凄く強大な力を得ることが出来るのであった。
それから数日後。
あなたは壁尻の下半身を肩車するのが日常になっていた。
彼女との合体によって、あなたの腕力が大幅に上昇する。重い壁尻を肩車していても、重量をほとんど感じない。かつて背負っていた学生カバンより軽いかもしれない。
あなたのジャンプ力も、同様に上がっている。三十メートルはあるレッドドラゴンを見下ろせるぐらいに跳躍出来る。
そう。今は、あなたはそのレッドドラゴンと、荒地で交戦中だ。
指揮官はあなたで、あなたの戦力は相棒の壁尻。敵対勢力は巨大なレッドドラゴン一体のみだ。
「ギャオーッ!」
レッドドラゴンが炎の球を吐いて来た。あなたは壁尻の右足を軽く引っ張って、空中で右側に移動し、攻撃を避けた。
レッドドラゴンが連続で火球を放ったが、正面にバリアをいくつも展開させて、無傷で済んだ。恐らく、壁尻を盾にしても対処出来るだろうが、あなたは相棒を盾として使いたくはなかった。
地面に着いたら再び跳躍し、ドラゴンの背中に向かう。上手く乗れた。その場で思い切り蹴りつけると、ドラゴンが一気に吹っ飛んだ。
「ギャオオオーン!」
ドラゴンが倒れると、地響きがすごかった。
「ギャオオオォーン!」
ドラゴンは起き上がると、二足歩行で一目散に退散していった。
「うおおおおおおおおおッ! 素晴らしいです! さすがは真の勇者様だッ!」
廃墟の裏で隠れていた村長のおっさん五十歳ぐらいが出て来る。あなた同様に三十メートル以上飛び跳ねそうなほど興奮した様子だった。
壁尻を肩車しながら無言で振り向いたあなたは、彼への反感を持っていた。
「しかしどうして追撃してドラゴンを討伐しなかったんです? あれだけの力があれば、余裕で出来たでしょうに。とりあえず撃退はしてもらえたので、依頼料の三分の一は支払いますが……」
「――討伐しなかったのは、村長さん、あなたの最初の態度が気に入らなかったからですよ。……俺の相棒を不審な顔で見てて、先に失敗していた勇者の二人よりもダメそうって思ってましたよね?」
あなたの静かな怒りに対し、村長は目を泳がせた。
「……それについては失礼ながらも言わせてもらいますが、そんなモンスターみたいな――じゃなくて、壁にしか見えないお方を前にして、本気でドラゴンを倒せるなんて、誰も思いませんよっ! 少なくとも、どんな場所の村長でも、絶対に私と同じ反応をしたはずですッ!」
これがこの世界の常識なんだろうなと、あなたは思った。いや、元の世界だったとしても、壁尻を肩車していたら、驚かれるのは間違いない。
あなたは村長から報酬を受け取り、その場を後にした。
肩車する彼女の壁部分は日除け帽子のように日差しを遮り、あなたの頭上に日陰を作る。
あなたが拠点の町へ戻ろうと歩いていたら、一人の少女の姿が目に入った。
「あのっ! 私は、先ほどあなた様に敗北したレッドドラゴンです! あなた様の圧倒的な強さに感動したので、私をどうか配下にして下さいですっ!」
赤い髪を太めの三つ編みにまとめている少女が、深く頭を下げた。
赤茶色の民族衣装的なワンピースを着た少女の胸部は、小柄なのに大き過ぎる。あのレッドドラゴンの面影は、その巨大な胸部と髪色ぐらいだった。
そんな彼女を前にして、あなたは悩んだ。
「急に配下と言われてもなぁ……」
「いや、お前じゃないです、人間。この私は、壁神様に頼んでいるのです。お前は、さっさと壁神様を降ろせです」
彼女が見上げていたのは小柄だからではなく、あなたの相棒に喋っていたから、らしい。あなたに対してはかなり辛辣だった。
あなたは渋々、しゃがみながら相棒の壁の端を地面につけて、彼女の股から頭を引いた。
「お手を煩わせてしまい、申しわけございません、ご主人様」
「いいよ、気にすんな」
彼女の壁部分は地面に対して垂直になり、後ろの両足は地面を捉える。壁が地面に立てられると、そこで位置が固定されるらしい。正面の顔部分は、ドラゴン少女のほうを向いている。
「おい、人間。お前の役目は終わったのです。私が不快になって炎を吐く前に、早くこの場から去れです。――では壁神様、改めて私を配下に」
「お断りしますッ!」
あなたがこれまで聞いたことないぐらい、相棒が強く拒否した。これにはドラゴン少女も驚いたらしい。
「どっ、どうしてなのです? 壁神様」
「――こちらのお方は、私が誰よりも溺愛するご主人様で、こちらの世界に召喚されたお三方の勇者様の中でも群を抜いて素晴らしいお方です! そんな尊ばれるべきご主人様に対する貴女の態度には、侮辱を強く感じました! 私の配下になろうとする者が、私のご主人様に横暴な口を利くというのは、どういうことですかッ! まずはご主人様に謝罪をしなさいッ!」
「あっ、あっ、あの……っ、人間、じゃなくて、人間の、勇者様、すみませんでしたのですっ! 私は、人間に住み家を荒らされて、反撃したら逆に攻撃されるようになって、人間に良い印象を持っていなかったのです! 反省するので、どうかよろしくお願いするのですっ!」
「やめたほうがいいと思いますよ、私は」
冷え切った声の相棒と、必死に頭を下げて懇願するドラゴン少女の対比が、印象的だった。
あなたは普段と全然違う相棒の態度に不安を覚えながらも、ドラゴン少女を突き放すのはかわいそうだとも思った。
「……なぁ、この子の頼みを聞き入れてもいいか?」
「ご主人様がそうおっしゃるのでしたら、私ごときに口を出す権利はございません。全てはあなた様のご命令のままに、お従いいたします」
「すまないな」
そう相棒に謝ってから、あなたはドラゴン少女のほうを向く。
「ということで、配下になるのは構わないけど、仲間じゃダメなのか?」
「仲間なんてとんでもないです! 私のことは奴隷扱いで使って下さいです! 勇者様! ありがとうございますです! 今からすぐに旅支度をしてきますので、壁神様とともに少しこちらでお待ち下さいませですっ!」
すぐさま彼女は巨大なドラゴンの姿に戻って、高速で飛んで行った。
少し経って、あなたは相棒の顔のほうを見た。彼女はドラゴンのほうをずっと睨んでいた。
「お前……あのドラゴンのこと、嫌いなのか?」
「はい、嫌いです」
相棒に即答され、あなたは困惑してしまう。
「……俺さ、お前のこと……最初は見た目で、びっくりしたけどさ、いいやつだし、言葉遣いも丁寧で物腰が柔らかかったから、あのドラゴンに対してキツい当たりだったのが、すごく意外だった」
「すみません。ご主人様が侮辱されて、私も冷静ではいられませんでした」
「でも俺をかばってくれたのは嬉しかったよ」
あなたが感謝を伝えると、彼女の表情が曇った。
「……ご主人様。私は、あのドラゴンの方に、嫉妬をしてしまっていたのです。化け物のような私とは比べようがないぐらい、彼女はとても可憐な容姿でしたから。あのようなお方がご一緒するようになれば、ご主人様の心が私から離れていってしまうのではないかと不安で……」
「それはない」
あなたは断言する。
「心配させて悪かった。お前は俺の相棒だ。誰が俺達のところに来たとしても、そこは絶対に譲らない」
「ありがとうございます……」
この時、彼女の顔部分が消えて、代わりに粘土状のものが伸び始めた。かなり大きく、色もグレー単色から人の姿へと変化する。
「えっ?」
あなたは目の当たりにした。彼女の上半身が、だんだんと形成されていったのを。
黒髪セミロングの、白いセーラー服姿の女子高生だった。
彼女の顔の各部こそ壁の時と同じだが、ちゃんとした顔の形になっている。セーラー服の襟やリボンは、反対側のミニスカートと同じ紺色だ。
彼女の上半身は、あなたが彼女を写真から選んだ際、期待した姿そのものと言っていい。
特に目立たない容姿の女子高生姿ではあったものの、壁から出ている格好だけが普通じゃない。
「私の体はこのような感じなのですが、やはりあのドラゴンさんに比べたら、見劣りしますよね? お胸も小さいですし……」
困った顔の彼女は、上半身を反り上げた格好で、両手は下げている。
壁から出ている格好がかわいい。セーラー服の下でおへそが見えているのが良い。声が愛らしいまま、顔もかわいくなって新鮮だ。
彼女の上半身は、あのドラゴン少女のような派手さはなくても、小綺麗で、素朴さが大変好ましい。
「……いや、上出来だよ」
あなたが彼女をずっと眺めていたら、彼女の上半身が壁へと引っ込んでしまった。いつものように目と鼻と口だけになった。
「すみません……ご主人様。私自身の力が弱いので、あまり維持は出来ませんでした……っ」
彼女の声や表情から、かなり疲れている感じに思える。
「なら、肩車していれば、ずっと上半身を出していられるんじゃないか?」
「はい。ご主人様のお力もあればそれも容易いですが、ご主人様と顔を合わせることが出来なくなってしまいます」
文字通り、壁が二人の視線を隔てているのだから。
「それもそうだな。また回復したら見せてくれ」
「はい、もちろんです。ご主人様」
「じゃあそろそろ、あのドラゴンが戻って来るだろうから、担ぐぞ」
「お願いします」
あなたは相棒の後ろに回り、彼女を肩車した。その際にお尻を覆う、薄緑の縞パンが目に入ってしまう。いつものことだ。
太ももが肩に乗り、首の後ろで股がぶつかっている。あなたは彼女が落ちないよう、彼女の足を握る。
例えあのドラゴンがすぐ戻って来ないにしても、大して疲れないので問題ない。
「……俺はお前の足が好きだ。俺がもし浮気しそうになったら、その綺麗な足で俺を挟んでほしい。いや、そうでなくても、挟んでほしいな」
「はい。一生懸命、挟ませて頂きます」
彼女は股下を狭めた。その分だけ、あなたは恩恵を得る。
「……痛くないですか?」
「どちらかというと気持ち良くなり過ぎて、逆にキツい。普段通りで頼むよ」
「はい、ご主人様」
彼女の拘束は弱まった。それでも、活力がいっぱい湧いて来る。
(終わり)
変態的ファンタジーでしたが、変態具合のほうが強くて、ファンタジー要素は弱かったように思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。作者の別作品『例えではなく本当にゲテモノ彼女!』もヤバい外見の人外娘がヒロインですので、気になったらお読み下さい。




