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七話、子供からどうやって生まれてきたの?と聴かれコウノトリが卵で運んできたのさと嘘をつく巻

AYAKASHIの受付に座って新聞を読んでいる

人物がいる。


見た目は人だが明らかに人間とは違う雰囲気を感じた。


その人物は高級感のある黒いスーツを

着て漆黒のマントを身に纏っていた。


私の視線に気づくと黒い霧となり

一瞬で私の背後に立つ。


首元に口を開け牙を突き立てる

仕草をするので

私は軽く手で払いその人物に注意をする。


するとその人物は肌が白い美しい青年へと

姿が変わると


「鈴木さんごめんなさい!」


「嬉しくなると吸血鬼ごっこをしたくなって…」


と申し訳なさそうにして私に謝る。


彼は吸血鬼の(血池直也、齢125歳人間で

例えると大体21歳位)で国会議員でもある。


ちなみに吸血鬼と聞けば誰もが人の血液を

好む妖怪だと思うが実際は血液を吸わない。


主食は主に植物の精気で指先から食事を取る

現に私は複数の吸血鬼と話したが皆、血液を

吸わないのである。


その中でも私に噛みつく仕草をした

血池さんは特に特殊で人間と同じ様に

ご飯を食べる。


好物は湯豆腐だと聞いた時には思わず

笑った記憶がある。


血池

「妖怪権利保護法が可決されたから今まで

よりは妖怪への風当たりが違う様になるかなぁ。」


鈴木

「それはどうでしょうか…」


血池

「何でですか?」


鈴木

「人間は法律だけでは抑えきれないからです。」


血池

「鈴木さん…ご家族の事を今でも…」


鈴木

「その話しは止めませんか。」


私の一言で場の空気が重くなり沈黙に包まれる。


すると大声で「おーい鈴木殿!」と

真っ赤な顔をした鼻の長い妖怪が

私に笑顔で話しかける。


彼は鼻高天狗の(山天剛、年齢不詳)で

日本三大妖怪の一人である。


「相変わらず下品な天狗ですね…」

と山天さんの背後から声が聞こえる。


黒い翼を持つ鳥の顔を持つ天狗が扇子で顔を覆い隠しながら不敵に笑っているのは、

烏天狗(黒柄不吹、年齢不詳)である。


私は黒柄さんが何となく苦手である。


黒柄

「皆様、今回の妖怪権利保護法についてどう思いますか?」


山天

「それを話し合う為にAYAKASHIに集まるのだろうが、たわけが…」


黒柄

「山天さん、今何か言いましたか?」


血池

「それより覚さんはまだ来てないですね…」


鈴木

「そうですねもうじき10時になるのに…」


そう言うと私は腕時計の時刻を見ると

10時12分になっていた。


覚さんは時間に厳しい方でいつも15分前には必ず来ていた。


だが今回はまだ本部に来ていないので

私は何かあったのかと心配になる。


するとAYAKASHIの本部にある緊急アラームが鳴り響く。


緊急アラームが鳴る理由は


(妖怪達が人間に消された時)


(人間に危害を加えた指名手配中の妖怪が

現れた時)


(新たな妖怪が産まれた時)


三つの理由である。


私はどうか良い方のアラームであって欲しいと祈る様な気持ちでAYAKASHIの放送を待つ。


するとAYAKASHI本部の館内放送が流れる。


「新しい妖怪が産まれました。」


「妖怪の皆様は至急保温室に来て下さい。」


私達は急いで保温室へと向かう。


妖怪達が、卵から産まれる事を知っている

人間は少ない。


現に私もAYAKASHIに所属するまで妖怪は

妖気がたまった所から生まれると勝手に

思っていた。


そんな事を考えていると卵の保温室に着く。


すると腕をめくった沢山の瞳を持つ覚さんが

「すまないみんな、卵に妖気を分けて欲しい。」

そう言うと山天さん達が「任せておれ!」

というと暖かい妖気を卵に向かって放つ


私は妖気が無いのでただ祈って見ていた。


なかなか卵が孵化しない…

山天さん達が汗だくで妖気を与え続けるが

卵に動きが見られない。


すると覚さんが私の方を見つめ

「鈴木さん、君にも協力をして欲しい!」


「早くしないとこの子はこの世に生まれて

これない…」


と言う。


私は何をすれば良いかを考えていると

覚さんが「卵を暖めてくれれば良い!」

と叫ぶ。


私はジャケットを脱いで水玉模様の卵を

抱きついて上からジャケットで包んでひたすら暖める。


すると水玉模様の卵がぐらぐらと揺れ出す。


私は必死で水玉模様の卵を暖めると卵にヒビが入り割れる。


卵から出て来たのは黒髪の小さな子供が

生まれた。


その子供は眼を開くと私と目が合い

「パパ!」

といきなり抱きついてきた。


何が起きたのかよく分からないでいると


覚さんが汗だくで疲れ切った顔をして


「やはり鈴木さんを呼んでおいて良かった。」


「この子は座敷わらしという妖怪です。」


「鈴木さんが座敷わらしの親代わりになって貰いますか?」


「座敷わらしも鈴木さんに懐いていますし。」


「座敷わらしは人間と近いのでお子さんを、育てた事のある鈴木さんなら安心です。」


「何か困った事があれば何時でも連絡を下さい。」


「皆様、会議はまた次回にしますので今回は一旦お帰り下さい。」


そう言うと二階の管理室に向かって行った。


山天さん達も妖気を使い果たして

ヘトヘトになっていたのでふらふらしながら

雲外鏡さんを呼び各々が帰って行く。


小さな手で必死に私の足にしがみつく

座敷わらしを背負い妖怪について詳しい

AYAKASHI本部の会長ぬらりひょんさんに

妖怪の育て方を聞きに行く事にした。


私は小さなため息をしながら歩いていると

背中では小さな命が寝息をたてている。


「はぁ~とりあえず家の中は片付け無いと

まずいなぁ…」

と独り言を呟きながらエレベーターに乗り

会長室のある24階のボタンを押すと

エレベーターの扉が閉まる。


ウィーンと音がなり上に向かって動くと

14階で止まる。

チンと音がなり扉が開くと

眼鏡を掛けた女性が乗り込む。


私はエレベーターの奥に行くと

その女性が私の方を見て

「初めまして、私は柊志保ひいらぎしほと言います。」


「覚さんの命令で鈴木さんのお手伝いをしに来ました。」


「これからぬらりひょん様の所へ行かれるのですね。」


「一緒に付いて行きます。」


というと扉の方を向く。


私がぬらりひょんさんの所へ行くのを

分かり覚さんが助っ人を用意してくれたので

さすがだなと感心していたら、


「当たり前です!覚様は、我々妖怪の指導係なのですから…。」


と柊さんが言うので

私は柊さんは何の妖怪か聞こうとすると

その前に眼鏡を外し青い瞳でこちらを見つめ


「私は妖怪サトリと人間の血を引く半妖です。」


「本来なら妖怪は卵で生まれますが稀に人間の身体から生まれる者もいます。」


「私達は、妖怪でもなく人間でも無いので

いつも孤独でした。」


「その孤独から救ってくれたのが覚様です。」


そう言うと眼鏡をかける。


私はどうりで何も言っていないのに話しが

通じるからおかしいとは思っていたが

サトリの血を引いているのなら不思議な話しではないと納得をする。


すると柊さんがまた話し始める。


「やはり覚様の話す通り鈴木様は特殊ですね。」


鈴木

「何がですか?」


「大抵は半妖と伝えると妖怪の血を引くというだけで嫌悪感を感じられます。」


「ですが鈴木さんはあっさりそうなのか、と納得されました。」


「極めて変わった方ですね。」


鈴木

「そうですか?」


鈴木

「しかしサトリの能力は便利ですね。」


鈴木

「言葉にしなくても気付いてくれる。」


鈴木

「長年側にいてもなかなか出来ない事ですよ。」


鈴木

「ただ柊さんは、サトリの能力で気疲れしませんか?」


「サトリの能力で気疲れですか?」


鈴木

「えぇ何でも分かると疲れますからね。」


鈴木

「あまり気を遣うと身体に良くないです

よ。」


「本当に変わった方ですね…」


「聞きたく無いのに心が分かるのは辛い事です。」


「だから私の側に誰も寄り付かないのです。」


「私が心を読んでしまうから…」


鈴木

「そうですか?私は心を読まれても平気ですよ。」


そんな事を話していたら24階に着き

エレベーターの扉が開く。



畳が敷き詰められた広い和室が目の前にあり

その真ん中にある小さなちゃぶ台の近くで

お茶を飲んで座るぬらりひょんが

こちらを見て

「こちらヘおいで、待っていましたよ。」

と言って座布団を三つ並べて置いてある所を指をさしていた。


私達は座布団に座ろうとするとぬらりひょん

「そこに座る前に靴は脱いで欲しいだがや…」

と少し悲しそうに言う。


私達はあわてて靴脱いでエレベーターの前に置き座布団に座ると座敷わらしをそっと

座布団のうえに下ろす。


鈴木

「ぬらりひょん様お聞きしたい事があります。」


ぬらりひょん

「言わんでも分かっておる。」


ぬらりひょん

「妖怪の育て方を知りたいのじゃろ。」


ぬらりひょん

「結論から話すが人間の子供として育てて

欲しいだがや!」


鈴木

「へっ?」


ぬらりひょん

「だから鈴木殿、座敷わらしをお主の子供として育てて欲しいのじゃ!」


「それは難しい事では無いでしょうか。」


ぬらりひょん

「何故じゃ?」


「座敷わらしが妖怪だからです。」


「妖怪は歳を取りません!」


「鈴木さんが歳を取っても座敷わらしは

子供のままです。」


ぬらりひょん

「その心配は無い!」


ぬらりひょん

「なぜなら座敷わらしが親と認めたのは

鈴木殿だからじゃ。」


ぬらりひょん

「妖怪は人間の想いでいくらでも変われる…」


鈴木

「ちょっと待って下さい、認めたとはどういう事でしょうか?」


ぬらりひょん

「鈴木殿は妖怪の卵を暖めたであろう?」


鈴木

「えぇ覚さんに言われたので…」


ぬらりひょん

「妖怪が生まれる為には卵の時に強い想いと妖気が必要なのじゃ。」


ぬらりひょん

「だが今回の卵は想いが足りず本来ならば

孵化することはなかった…」


ぬらりひょん

「しかし鈴木殿が卵を暖め生まれて欲しいと強く願った結果想いが集まり形となったのじゃ。」


ぬらりひょん

「だから人間に近い存在としてこの世に生まれて来たのじゃ」


鈴木

「それにしても、私はこの子を育てる自信がありません。」


鈴木

「それにそんな資格も私には無いのです!」


ぬらりひょん

「ならその子《座敷わらし》も諦めるのか?」


鈴木

「どういう事ですか?」


ぬらりひょん

「そのままの意味じゃよ。」


「ぬらりひょん様!鈴木さんだけでは座敷わらしを育てるのは無理です。」


ぬらりひょん

「ならお主が手伝えば良かろう。」


「へっ?」


ぬらりひょん

「だから鈴木殿とお主が結婚して共に座敷わらしを育てれば良かろう。」


鈴木

「えぇ?!」


私はぬらりひょんが何を言っているのか

理解出来ずにいると


柊さんが少し頷き決心を固めると

私に「鈴木さん私と結婚しましょう!」

と言うと強く手を握り締める。


私は思わず「はい」と返事をしてしまった。


ぬらりひょんが

「よし善は急げじゃ!」


「結納の儀は全てわしに任せよ!」

というとふわりと何処かヘ消えて行く。


私は頭の中が真っ白になりボーとしていると

座敷わらしがつぶらな瞳で

「パパどうしたの?」

と聞くので

私は座敷わらしの頭を撫でながら

「大丈夫だよ。」

と笑顔で伝えるとまたすやすやと

眠り始めた。


こうして私は心の準備も出来ずに

いきなり妻子持ちとなる…


この先不安でしか無いのである。



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