表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/8

六話、髭さえ無ければ後もう5分寝られるのに…巻

PIPIPI!と電子音が鳴り響く


目覚まし時計が自分の役目である決められた時刻を必死で私に教える。


私は、時計を止めると今の時間を確かめる。


朝の5時30分を針は示していた。


六畳一間にある小さな窓を開けて部屋の

湿った空気を入れ換える。


外は朝なのに蒸し暑く空も曇っているため

ジメッとしていて湿度が高い。


私は、小さくため息をしながら

歯磨きをして熱いシャワーを浴び

寝汗で臭う私の身体を洗い流す。


お風呂場の鏡に映る無精髭ぶしょうひげあごを覆う小汚い中年の男を見つめ


「何の為に髭が生えるのか意味が分からない…」

と独り言をつぶやき髭をカミソリで剃り始めた。


剃り終えて改めて鏡を見ると特徴が特にない

中年の男が鏡に映る。


「特徴が無い者は髭があると汚いのか…」

と顎を触りながら下らない独り言を、鏡に

映る自分に向かって話す。


私は白いポロシャツと、デニム生地のズボンに着替え、プログラムされたロボットの様に

冷蔵庫にある缶コーヒーを取り出し


テレビの前に座ると

何も考えずに電源をいれた。


朝のニュースがやっている。


一つ目の男がスーツを着て紙に書いてある

事柄を無機質な感情で読み上げる。


「先日のお昼過ぎに茨城県笠間市で車と妖怪が接触する事故がありました。」


「車に乗っていた男性(37歳男性)はお酒をのみ自宅に帰る途中で妖怪(風間理ほのか女性齡300歳)さんと接触してそのまま逃走しました。」


「男性に怪我はありません。」


「次のニュースです、内閣提出の『妖怪権利保護法』は、先ほど衆議院と参議院の両院で可決され、成立しました。」


すると隣にいる女性アナウンサーが


「これで妖怪の皆さんに人間と同じ人権が

与えられました。」


「今後どの様な影響があると思われますか?」


と一つ目の男性アナウンサーに聞くと

少し間をおいて答える。


「私はこれをきっかけに妖怪と人間が、寄りよい関係性になっていく事を望んでいます。」


と答えると女性アナウンサーが

「そうですね、そうなれば嬉しいと思います。」

と笑顔で頷きCMへと変わる。



すると電話の呼び出し音が鳴る。


嫌な予感を感じながらも電話に出ると


「休みの日にすまない、サトリだが、

今回の件(妖怪権利保護法)で、AYAKASHI

本部にて緊急招集会議がある。」


「鈴木さんも10時までに本部に来て欲しい。」


「では失礼する。」

と言って電話を切られた。


覚とは日本妖怪管理機構(AYAKASHI)の

妖怪監査兼監督ようかいかんさけんかんとく室長で私の上司である。


そしてさっきの電話のやりとりが一方的なので不自然に感じた人もいるだろう。


覚さんは心が読める妖怪で言葉にしなくても

会話が成立する。


なので覚さんには嘘をつけない。

そして妖怪達や人間達を調べるのに適した

能力なのだ。


私は覚さんの能力も凄いと思うが

真面目で責任感が強く思いやりがある彼を

一人の人物として尊敬していた。


私は渋々とスーツに着替え(AYAKASHI)の

職員バッチを胸に付ける。


キーンと耳鳴りがすると私の部屋にある全身が映る大鏡が光を放ちそこから腰の曲がった老人が出てくる。


その老人は

「鈴木様、本部からお迎えに上がりました。」

と伝えると大鏡を指差して

「私の後を付いて来て下さい。」

大鏡の中に入って行く…

私も老人の後を追って大鏡の中に入る。


大鏡の中に入ると無数の窓が見える。

私がキョロキョロと辺りを見ていると


老人が「鈴木様、はぐれると大変なのでしっかり付いて来て下さい!」


と怒っていた。


この怒っている老人は、妖怪(雲外鏡)と

言ってAYAKASHIの職員を本部まで送り届けてくれるのだ。


雲外鏡さんの能力は、鏡の中を移動出来る事と照魔鏡しょうまきょうという、魔物や妖怪の正体を映し出し鏡に映る者の本性や

真の姿を暴く力があると言われていて

マルチな能力である。


皆さんはなぜ普通にAYAKASHI本部へと

行かないのかが気になると思うがそれには

様々な理由がある。


我々監査のために潜入している者がAYAKASHI本部に出入りしているのを

目撃されるというリスクをなくす為と


AYAKASHI本部がそもそも一定の場所に存在しないのが理由なのである。


以前のAYAKASHI本部は東京都にあったのだが日本の総理大臣である(藤川琥珀)が

テレビの中継で妖怪達の秘密を世間に話してしまった事がきっかけで

場所を移さざる得なくなったのだ。


その秘密とは、妖怪達は人間の想いや感情で作られている、なので人間の感情次第で

妖怪は消滅してしまう。


これが世間に知られると人間とは恐ろしい

もので今までは対等だった筈なのに

急に妖怪達を見下す様になり奴隷の如く

扱う人間達が出てきてしまう。


妖怪達も人間から酷い仕打ちをされても

抗う事が出来なくなってしまった。


人間が消えろと想うだけでその妖怪が

消滅してしまうのだ。


いたずらで人間に消滅させられた

妖怪の被害者達もいた。


なので悪意のある人間から妖怪達を守る為に妖怪達が沢山集まるAYAKASHI本部を常に転々と移動せざるえなくなってしまった

のである。


改めて言うが妖怪達は人間の想いや感情から

生まれてくるのである。


そして読んでいる皆さんの中には名字がある妖怪と無い妖怪がいる事に気づいた人もいると思われる。


それも人間の想いが原因なのだ。


名字がある妖怪は日本中に複数存在している者達で妖怪の名前で呼ばれている者達は

この世に存在する最後の妖怪なのである。


つまり私の潜入先にいる小豆洗いも最後の

妖怪の一人である。

昨今ザルを使い川で物を洗う者が存在しない、そして加工食品が多いので小豆自体を

知るものが少なくなっている。


故に小豆洗いの人数も少なくなり現在では

一人だけになってしまった。


では逆に複数存在している妖怪がいるのは

何故かと考える人もいるだろう。


バケギツネの風間利さんを例にあげる。


当時我々の時代はあるアニメが流行っていて

アニメに出ているキャラクターが人に

動物の尻尾や耳が生えた女の子が

異世界で人間と一緒に冒険するという

話しなのだがそんな者は現実にはいない。


しかし人間のいたら良いなぁ…

という欲望なのか切望なのか

私には分からない。


しかしその想いが強い為に獣人型の妖怪が

沢山生まれたのである。


それが風間利さん達なのだが、他にも当時

流行っていたアニメの影響で吸血鬼や鬼も

沢山生まれたと聞いている。


何とも言えないものである。


雲外鏡さんが私の方を見て

「鈴木さんAYAKASHI本部に着きましたよ!」

と大きな窓を指差していた。


私は大きな窓を開けて外に出ると

目の前に日本妖怪管理機構(AYAKASHI)

と金色の巨大な文字で書かれていて

天空にある雲を突き抜ける程の高さがある

ビルが見えた。


私はため息をしながらAYAKASHI本部に

入って行く。






































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ