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成長
あの出会いから数年、私達は良好な関係を築きながら成長していった、はずだった。
最初に違和感を感じたのは舞踏会でのダンスだった。
慣例として舞踏会では婚約者同士が1番にダンスをするはずなのに、兄はマリアではなく別の女性と踊っていたのだ。
ただの偶然かとも思ったが、何回か回を重ねても兄はマリアと踊ることは無かった。
兄に理由を尋ねてみたが、曖昧にはぐらかされるだけで、答えては貰えなかった。
私は思い切って、壁の花になってしまったマリアに話しかけた。
「お姉様、最近お兄様とはあまり上手くいっていないの?」
私の言葉にマリアは少し戸惑った様に微笑んだ。
「…大丈夫ですわ。少し、ほんの少しすれ違ってしまっているだけで…。」
苦しそうに、私に心配させまいと微笑む姿がぎゅっと胸を締め付ける。
…私だったら、貴女にそんな顔はさせないのに。
そんな言葉を飲み込んで、おもむろに自分が着けていたブローチをマリアの胸元につける。
「大丈夫、私はお姉様の味方ですから。」
そう言って、そっとマリアの手を握る。その手は冷えきっていた。
「シェル様…。」
本当はもう少し傍に居たかったのだけれど、他の貴族達から声が掛かってしまった為、公女として行かなければならない。
あぁ、もう、お姉様と私、二人だけの世界になってしまえばいいのに。




