第三四章 君といたくて、野球を
台湾出身の陸坡と申します。
この小説は、もともと中国語で執筆したものをAI翻訳を通じて日本語に変換しています。そのため、不自然な表現や誤った言葉遣いなどがあるかもしれませんが、どうかご容赦ください。
「本当は前から友達とちゃんと話してみたかったんだ。例えば台湾の投手ってどんな練習をしているのかとか。野球の経験がほとんどなくて、しかも南極で生まれた日空が、どうしてあんな速いボールを投げられるのか……すごく気になってた。でも二年になってからは色々あってさ。勉強、練習、試合……ぜんぜん話す機会がなかったんだ。佐久間も、俺が先輩や後輩とあんまり仲良くするのが好きじゃないし。だから今日みたいにゆっくり話せるのが嬉しいよ。」
「うん、僕も色々勉強になりました……」
夜の学校は薄暗く、安全灯だけがぼんやり光っていた。
球場から逃げるように学校へ来たはずなのに、林友達は藤田先輩が相変わらず野球の話ばかりしていることに気づく。台湾の中学生はどんな練習をしているのか、と興味津々に聞いてくるのだ。
台湾の中学校には「野球の体育班」があって、ほぼ毎日、授業として野球の練習を行う――そんな説明を聞いて、藤田は目を丸くした。
日本の野球は基本「部活動」。
藤田にとって、昼間はせいぜい朝練で、学校では勉強が中心。放課後になってやっと練習が始まる。
大阪桐蔭や横浜高校、神村学園のような強豪校でさえ、授業より野球に時間を使うとはいえ、それでも「学校の授業を受ける」という前提がある。
同じクラスの蓮や流星、宇治川に話した時も、三人とも同じように驚いていた。
その後も藤田は、練習メニュー、打撃、投球の細かい技術について矢継ぎ早に質問を続ける。
友達は、佐久間がいつも言っている「藤田はほんまの野球バカ」という言葉の意味を、改めて実感した。
チームメイトと喧嘩して、球場から逃げ出してきたというのに。
それでも藤田迅真は、やっぱり野球の話をしている。
さっき自分で切り出した“補聴器”の話など、もう忘れてしまったかのようだ。
「先輩、そろそろ寮に戻りませんか? もうすぐ夕飯ですよ。」
こうしてたくさん話せば、藤田先輩も気が晴れて、自然に戻るだろう――友達はそう思っていた。
だが、今回ばかりはそう簡単にはいかなかった。
「場所を変えて話そう、友達。岬阪町の商店街、行かない?」
飲み終わった缶をリサイクル箱に放り込みながら藤田先輩が言い、
なぜか友達の手をぐいっと引っ張った。
友達はその誘いが少し嬉しい反面、藤田の“帰りたくないモード”に緊張もした。
「でも先輩、戻らないとみんな心配しますよ?
白井先生や先輩たちも探しに来ると思うし……」
なんとか説得しようとする友達だったが、
今日的藤田迅真はいつもと違った。
妙に落ち着かず、聞き分けもない。
藤田は友達の手を掴んだまま、
まるで“脱走犯が自由を味わう瞬間”みたいな笑顔で言った。
「見つからないように商店街に行くんだよ。
……特に“あの人”には見つかりたくない。」
「見つけたぞ、藤田。」
──五年前。
放課後もだいぶ過ぎた岬阪中学校。
立入禁止で封鎖された屋上へ続く階段の踊り場で、
冷たい壁に背中を預けて眠っていた藤田は、
目を開けた瞬間、目の前に“ドアップ”の顔があった。
野球着のまましゃがみ込む佐久間圭一。
まだ中一の幼さが残る、少し生意気そうな笑み。
藤田はこの場所に佐久間がいることに驚き、
目を丸くしながら、佐久間のほっぺをむにっとつまんだ。
「夢? 夢の中にも佐久間が出てくるの?」
「ちげーよ、バカ。
毎日顔合わせてんのに、夢でも出てきたらキモいだろ。」
佐久間はぺしっと藤田の手を払い、
軽くため息をつきつつ藤田の頭をわしゃっと撫でた。
「ほら、行くぞ。
監督は怒ってるけど、謝れば終わりだって。
子どもはな、しょんぼりした顔して“反省してます”って言っときゃ、
大人は怒りながらも最後は許すもんなんだよ。」
ほぼ“詭辯”だけど、
ホテルでいろんな客を見てきた佐久間が言うとなぜか説得力がある。
佐久間は藤田の手を引っ張って立たせた。
藤田は立ちながら、こっそり涙の跡をぬぐった。
その様子を見ても、佐久間は何も言わず前を向く。
階段の封鎖テープを跨いだところで、
藤田はその場に立ち止まった。
「どうした?」
「圭一……やっぱり俺、無理だと思う。」
「無理って、テープ跨ぐだけだろ? はい、よいしょ。」
「ちがうよ、封鎖線じゃなくて……
野球のこと。
その……投手をやれって言われたこと。
やっぱり俺、無理だよ。
それに、圭一も投手やりたいって……投げるの上手いのに……」
「は?」
佐久間圭一は心底意味がわからない顔をした。
「俺が投手やりたいわけないだろ。
監督が ‘藤田と村瀬を投手にする’ って決めたんじゃん。
あんな、酸っぱくてしんどくて、
下手したら腕ぶっ壊れるポジション、絶対いやだし。」
「え……そ、そうなの?」
藤田は不思議そうに佐久間を見る。
小学生の頃、二人で野球をしていた時、
佐久間はそんなこと言っていなかった気がする。
「それよりこれ、ちゃんと着けとけ。」
藤田が考え込んでいると、
佐久間がふいに手を伸ばし、封鎖テープ越しに藤田の耳に触れ、
外れかけていた補聴器を丁寧に直してくれた。
頬を赤くした藤田を見て、
佐久間はからかうように耳をつまんで言った。
「何その顔?
男でそんな可愛い顔すんなよ、迅真。」
誰にも分からない。
中学のあの数年間で、練習が厳しすぎたのか──
あの可愛げのあった顔は、
いつの間にか“ヤクザの兄貴”みたいな顔つきになっていた。
学ランの下に野球着を着たまま、
自転車を漕ぐ佐久間はそう思いながら坂海工の校門前で止まる。
中に入ろうとしたが、一度立ち止まり、門を見つめてつぶやいた。
「ここにいる可能性は高いけど……
今は、いないかもしれないな。」
そう言って、また自転車にまたがり、にぎやかな方面へ向かった。
藤田迅真が自分から逃げるなら──
“自分が必ず探しに来る場所”ぐらい、あいつは分かっている。
ほんと、めんどくせぇ!
この野球バカ!
ケンカした途端に隠れやがって。
ぜんっぜんカッコよくねぇぞ、エース藤田隊長。
「藤田迅真! このバカ野郎!!」
人気のない道路で、自転車を漕ぎながら佐久間は叫んだ。
** ** ** **
「……とりあえず、今日は夕食後は全員部屋から出るな。
自主練も勉強会も中止。
破ったら即ペナルティだ。いいな?」
「はい!」
藤田がいなくなったと聞き、
雑務を終えた白井はすぐ宿舎へ向かった。
二年生から“藤田がいない”“佐久間も飛び出した”と聞き、
血圧が上がるのを感じた。
本当は怒鳴り散らしたかった。
なぜこういう時、コーチに報告せず火に油を注ぐ真似をするのか、と。
だが、叱るより先に藤田を見つける方が重要だ。
玄関前で待っていた片岡里子が聞いた。
「どうだった?」
白井は首を振る。
「やっぱり駄目だ。
さっき高橋監督にも連絡した。
監督も探してくれるって。
三年と一年の方は田中さんに伝えてもらった。」
「ありがとう。ごめんなさいね。
今日あなた、グラウンドにいなかったのに、
私のミスでこんなことに。」
白井は自分を責めたが、片岡は眉をひそめた。
「何言ってんの。
コーチを名乗る以上、責任は二人で半分こでしょ。」
「私もあなたも野球部の指導者だ。
なら一緒に背負うんだよ、白井。」
片岡はため息交じりに白井の肩を軽く叩く。
「謝る暇があったら、藤田を見つける方が先。」
「白井先生! 片岡先生!」
玄関を出ようとした二人の前に、
南極日空が階段をドタドタと駆け下りてきた。
「友達! 友達がまだ学校にいて……
まだ帰ってきてません!」
** ** ** **
『友達〜 今日はカツ丼だよ〜!!』
南極は夕食のトンカツを写真に撮り、
衣がサクサクに揚がった金色の断面を特写して友達に送った。
運動部の高校生で、肉が嫌いな奴はいない。
特にトンカツなんて、ご飯三杯はいける“神ごはん”だ。
が──今日は返事がまったく来ない。
普段なら、秒で「已讀」も「回覆」も来るのに。
「……え? 祭りの準備そんなに大変なの?」
と床に寝転びながら思っていたら、
その時、
二年生を集合させる白井の声が宿舎に響いた──。
携帯のバイブ音だった。
自転車違反の“二人乗り”で、後ろの荷台に立っていた友達は、
ポケットの中で震える携帯に気づき、取り出そうとしたその瞬間──
藤田学長が、急ブレーキ。
「わっ──!」
驚いた友達は、反射的に藤田の背中に抱きついてしまった。
「ご、ごめんなさい! 学長っ……!」
顔までべったり背中にくっついてしまい、
伝わる体温に友達は耳まで真っ赤。
だが藤田は気にした様子もなく、いつもの柔らかい笑顔で言った。
「なぁ友達、あそこのコロッケ食べに行かない? 奢るよ。」
指さした先は、以前友達が南極や流星と訪れた浜辺食堂。
店の前には揚げたての牛肉コロッケの屋台が出ている。
そのとき、ポケットの中でまた震動。
携帯を見ると南極からのメッセージ──
今日の夕食・豚カツの写真付きで「どこ?」と。
返信しようとすると、藤田の視線がちらりと向けられ、
友達はなぜか“悪いことをして見つかった”みたいな気持ちに。
だが藤田は特に気にしている様子もなく、
「佐久間から? それとも……コーチ?」と訊いた。
「い、いえ。日空です。」
友達は画面を見せながら答える。「寮、今日は豚カツらしいです。」
そして言った。
「学長、コーチも心配して探してるみたいです。戻りましょう。藤田学長。」
藤田は一瞬、黙り込む。
そして、申し訳なさそうに友達へ向き直った。
「……ごめん、友達。
日空とコーチには、“俺は無事”って伝えてほしい。
そして……本当に悪いけど、友達は先に寮へ戻ってくれ。
俺は……もう少しだけ、ここにいたい。」
すでに夜六時を過ぎ、商店街はネオンと看板の灯りで明るい。
黒やグレーのスーツを着た会社員、
白い前掛けと白頭巾の店主たち──
その中に、高校の制服で、
日に焼けた野球少年・藤田迅真がぽつんと立っている。
どこか場違いで、
どこか寂しげで。
藤田学長は、やっぱり投手丘の上、
スタンドライトの下に立つ方が似合っている──と友達は思った。
友達は南極への返信を打ち終え、
藤田の前に立ち、にっと笑ってピースしてみせた。
「お腹すいちゃいました! コロッケ二個いきますね、先輩!」
そう言うと、屋台へ駆け出す。
「……えっ、あ、うん! わ、分かった!」
藤田は少し呆けたあと、慌てて返事をした。
走っていく小柄な学ラン姿の友達の後ろ姿が──
ふと、藤田の記憶の中の“中学時代の佐久間圭一”と重なる。
いつも藤田の手を引っ張って、
どこへでも連れて行ってくれたあの頃の佐久間の姿と。
「あれ……友達くん?」
学園祭で使う備品を買いに、吹奏楽部の寮生メンバーと
先生・女寮の寮監と一緒に外出していた
友達のクラスメイト、青木陽奈。
みんなでクレープを買いに行く流れになったが、
陽奈はクレープにそれほど興味がなく、
コンビニでカフェオレを買って一人待っていた。
そのとき──
こんな時間に、岬阪海商店街を歩く林友達らしき姿が目に入った。
しかも隣には……男?
年上っぽい。たぶん坂海工の二年生?
もしかすると三年生?
その男が友達にコロッケを奢っているのが見えた。
陽奈の脳内に、最悪の可能性がよぎる。
ま、まさか友達くん……
南極くん以外の男に……先を越されて……!?
そしてその男の顔をじっと見る。
──怖い。
絶対、友達くんに「あんなこと」とか「そんなこと」しそう。
ぜっっったいダメ。陽奈、そういう刺激的なのより純愛が好きなんだから!
決意した陽奈は、震える指で南極にメッセージを送った。
その瞬間──
「きゃっ!? クレープのアイス落ちるっ!!」
振り返ると、部員の一人が買ったばかりのクレープの
いちごアイスがぽとんと地面に落ち、
淡いピンク色のアイスがじわりと溶け広がった。
その“落ちる瞬間”が陽奈の目に焼きつくと同時に──
** ** ** **
吭ッ! ドサッ! ──っ!!
藤田!
藤田ぁっ!!
試合中断!止めて!誰か保健室の先生呼んで!!
本塁付近に藤田が倒れていた。
左耳からは血が滲み、
耳の中は“虫の羽音のような轟音”しか聞こえない。
あの日は、秋晴れで気持ちよく、風も冷たかった。
藤田はただ、いつものようにピッチャーの球を見て、
打とうとしただけ。
そして──
ボールが、左耳に直撃した。
石をぶつけられたような衝撃。
視界が揺れ、体が後ろに倒れ──
周りのざわめきはノイズに変わり、
そして視界が真っ暗になった。
意識が途切れる直前──
「迅真っ!!」
ただ一言だけ、はっきり聞こえた。
あの声。
あの叫びは──
佐久間圭一。
** ** ** **
「えっ!? そんなことがあったんですか!」
友達は大きく目を見開き、藤田の左耳の補聴器をじっと見た。
藤田が語る中学時代──
それは校内で行われていた紅白戦だった。
ふたりはいつも一緒にいすぎて、
上級生や仲間に冷やかされるほど仲が良かったため、
その日佐久間は言った。
「じゃあ今日の紅白戦は、別チームな。」
その結果、
佐久間が投手、藤田が打者。
という構図になった。
中学時代は投手経験の多さで、
むしろ佐久間のほうが“投手らしい投手”だった。
「どうせ当たったら全力勝負な!」
そう二人で笑っていた。
しかし試合終盤──
球数も増え疲労していた佐久間は
「最後まで投げ切る」と言い張り、
そのまま六回裏に入り……
そして、あの 頭部デッドボール が起きたのだった。
デッドボール──
それが頭部であれ、身体のどこであれ、
野球選手にとっては致命的になり得る。
このことは、台湾でピッチャーだった林友達も
何度も監督から叩き込まれていた。
「そういうケガはな、相手に一生かけても償いきれんぞ。」
これが台湾泰源中学の監督が、投手陣に口酸っぱく言っていた言葉だ。
だが投手というものは、どれだけ注意しても
時には死球を当ててしまう。
友達も一度、馬耀のお尻に思いきりぶつけてしまったことがある。
馬耀は浴場でお尻の青あざを見せつけながら、
「うぅ……友達が僕のお尻にイチゴ作った……もう嫁に行けないよ。
責任とって一生面倒みてね?」
と泣き真似してみせた。
「友達、もう馬耀と結婚しちゃえよ~」
「将来、奥さんにこのアザ見られたら絶対浮気疑われるって!」
周りの連中は、青あざをネタに散々いじってきた。
「うるさい!馬耀、お前その尻どけろ!押すぞ!」
友達がぷんすかしながらアザをぐいっと押すと、馬耀は
「ひぃぃぃ!」と奇声を上げて転げまわった。
──あの頃は、死球の怖さなんて考えもしなかった。
ただの悪ふざけの延長だと思っていた。
だが今、藤田学長が語った“本当の死球”の話は
そんな軽いものではなかった。
台湾の監督の言葉が、友達の中で重くよみがえった。
** ** ** **
あのボールは時速約115km。
変化量の大きい高速カーブだった。
その軌道が大きく逸れ、
藤田の左耳を直撃した。
中学生規定の打者用ヘルメットはしていたが、
角度が最悪だった。
耳のすぐ下をえぐるように球が入り込み、
外耳・中耳を同時に損傷。
鼓膜破裂。
出血。
左耳の聴力には、
今も永久的な障害が残っている。
商店街の片隅でコロッケを食べながら、
藤田は淡々と語った。
「聞こえるんだよ。でもね……
すごく小さくて、ざらざらしてて……
水の中で誰かが耳元でささやいてるみたいなんだ。」
友達が言葉を探していると、藤田は突然言った。
「コロッケ食べたら、コーラ買いに行かない?
久しぶりに飲みたいんだ。」
まるで、話題を変えようとするかのように。
「藤田、どうした?」
キャッチャーマスクを外した佐久間が、
投球を止めた藤田に近づく。
藤田は助聴器の上をそっと触りながら呟いた。
「……投げても、全部打たれそうな気がする。」
その手を、佐久間がそっとつかむ。
「大丈夫。打たれたって、外野が捕ってくれたろ。」
「でも……」
「平気だよ。これをちゃんとつけてれば、問題ない。」
そう言うと佐久間は、
ためらいもなく藤田を抱き寄せた。
球場の真ん中で。
「心配すんな。今のお前は立派なエースだよ。
しかも……俺がいる。
俺、佐久間圭一は、藤田迅真のキャッチャーだ。
高校でもずっとな。」
藤田の表情が変わる。
不安がほどけていく。
「……ほんと?高校でも?」
「当たり前だろ。
さ、投げろ。お前の球、誰よりも知ってんだから。」
藤田がうなずき、マウンドに戻る。
打者が構える。
佐久間がサインを出す。
藤田迅真、投球──
三振。
その瞬間、藤田の背中にまた自信が戻った。
あの日から、彼はずっとそうだった。
ずっとずっと……
俺に譲って、俺をあやして、俺のことばかり気にしていて。
周りから見れば、
“嫉妬深い”“やたら俺にべったり”“誰も近づけたくないだけ”
そんなふうに見えるかもしれない。
でも俺にはわかる。
圭一は……また俺が傷つくんじゃないかって、そればかり怖がっていた。
だけど──
それではまるで、
あの事故一つで、
彼が一生俺の責任を負わされるみたいじゃないか。
俺の人生を、
俺の安全を、
全部背負う義務があるみたいに。
だから俺は、あの関係が──
「嫌いなんだよ……」
「えっ? 藤田先輩、コーラじゃなかったんですか?」
コーラを買ってくるために冷蔵ケースへ向かった友達は、
思わず振り返った。
藤田が小さく「嫌だ」と呟いたのが聞こえたからだ。
藤田ははっとして、
「あ、いや……そういう意味じゃなくて」と頭をかいた。
そして友達の手にある二本のコーラを見て数秒黙り──
「……友達、ごめん。やっぱりお茶にしない?いいか?」
「喔,好啊。」
結局藤田は、緑茶を二本レジに持って行った。
** ** ** **
「左耳の感音性難聴です。補聴器の使用をおすすめします。
多少敏感さは落ちますが、野球ができないほどではありません。
安心してください、続けられますよ。」
医師ははっきり言った。
聴力はもう戻らない。
だが野球は続けられる。
藤田の両親は、
昔から佐久間の母親と面識があったらしく、
示談は穏やかに進んだ。
佐久間の母親は 全額治療費を負担した だけでなく、
藤田専用に、
スポーツ選手向けの高性能で高価な補聴器まで作らせた。
責任という言葉では足りないくらい、
全てを尽くして。
退院後、
監督はチームの前で藤田の状態を説明した。
表向きは「みんな安心しろ」という説得だったが、
本当は佐久間に向けての言葉だと誰もが分かった。
藤田が戻った数日間、
彼と佐久間は、以前と同じように一緒に練習した。
投球も、配球の話も、笑い合うのも。
藤田は心の底から嬉しかった。
また野球ができる。
そして圭一と、また同じグラウンドに立てる。
練習の帰り道、
気持ちが溢れて、
つい無意識に口から出た。
「また野球できてよかったな、圭一。」
ただ、それだけ。
生きていてよかった、まだ投げられる、それだけの意味だった。
──その瞬間。
藤田は、
佐久間に思い切り抱きしめられた。
胸の奥を焦がすような熱さ。
運動で汗ばんだ熱ではなく、
もっと深いところから出る、
ふるえるほどの体温。
「……ごめん……ごめん……ごめん……
ごめん……ごめん……ごめん……」
何度も。
何度も。
身体を震わせながら。
彼の腕の中で、湿った感触が藤田の肩に落ちた。
そのとき、藤田は気づいた。
事故の日から今日まで、
圭一は一度も自分を許していなかったのだ。
あの一球が、
藤田の耳を壊したという罪。
藤田は何も感じ取れていなかった。
毎日、当たり前のように隣にいた佐久間の
張り詰めた表情も、
押し殺した恐怖も、
自分を責め続けた日々も。
自分はただ言っただけだ──
「よかったな」と。
その一言で、
圭一の心の堤防が壊れてしまった。
藤田はただ抱かれながら、
震える佐久間の「ごめん」を
何度も何度も聞き続けた。
** ** ** **
「グループに返信もないし、町を探しても姿が見えない。坂海なんてそんなに広くないのに……いったいどこへ行ったのかしら?」
片岡はスマホの野球部グループを確認しながら小さくため息をついた。
藤田迅真と林友達が男子寮を出てから、すでに一時間近く経っている。
白井が車を運転し、二人で坂海町を何度も回っているが、阪海工の制服を着た生徒はどこにも見当たらない。
その頃、藤田の両親や、林友達の姉の婚約者・川頼さんも仕事を終えて駆けつけ、合流していた。
高橋監督と田中ママの保護者ネットワークも総出で捜索に当たっている。
そんな中で、片岡はふと、嫌な予感を口にする。
まさか二人とも制服を脱いで、電車で坂海の外へ出たんじゃ……?
坂海から和歌山市までは、電車で三十分もかからない。
「藤田が無断で外出したのは確かに良くないけど、あいつがそんなことをするタイプじゃない。
日空へ送った林友達のメッセージにも“藤田先輩と一緒にいる”とあったし……藤田は後輩を巻き込むような人間じゃない。たぶん佐久間と揉めて、帰りたくないだけだろう。」
「もう……こんな青春映画みたいなケンカ、せめて大会が終わってからにしてほしいわね。」
片岡はぼやきながら窓の外を見回す。
そして数秒の沈黙のあと、片岡はぽつりと尋ねた。
「藤田が補聴器をつけてる理由……佐久間が関係してるって聞いたけど、あれ本当なの?」
白井は目を伏せ、静かにうなずいた。
「ええ、本当です。」
その事実は白井だけでなく、高橋監督や保護者たち、そして過去に藤田と佐久間と共にプレーしていた仲間なら、誰でも知っている。
中学一年の校内試合で、佐久間圭一が誤って藤田の左耳にデッドボールを当て、藤田は永久的に片耳の聴力を失った。
「それでもエース投手として投げられるなんて……本当に才能があるのね。」
片岡は感心とも驚きともつかない声を漏らす。
ふつう片耳を失うと、日常生活だけでも平衡感覚が狂い、めまいに悩まされる。
まして投手という繊細なバランスが要求されるポジションなら、なおさらだ。
だが藤田には、それを感じさせる気配がまったくない。
片岡はふと、佐久間の仕草を思い出す。
練習中でも試合中でも、彼は藤田の肩や背中、頭にそっと触れることがあった。
ただのじゃれ合いだとばかり思っていたが――
もしかして彼、藤田の身体の状態を常に確認していたんじゃない?
白井は続けた。
「藤田は、自分が投手になれるなんて少しも思っていなかったんです。
数年前、高橋監督と岬阪中へ行ったとき、一年の藤田が投げているのを見て声をかけたら、あいつこう言ったんですよ。」
——佐久間に教えてもらったから、僕は上手くなれたんです。
——高校でも佐久間と一緒に野球がしたい。
「……それだけの理由で?」
片岡は信じられないというように目を丸くする。
「そう。大阪桐蔭も智辯和歌山も推薦を出したのに、どこも佐久間をスカウトしていなかったから、藤田は全部断ったんです。」
——佐久間にボールを受けてもらいたい。
——一緒に甲子園へ行きたい。
片岡は苦笑し、肩をすくめた。
「ほんと、ばかみたい。」
「ええ、本当に。」
白井も笑った。
だが二人の声には、責める色はまったくなく。
ただ――
あまりにもまっすぐで、不器用で、どうしようもなく尊い二人の絆
それに対する、静かな感嘆だけが残っていた。
白井のスマホが突然鳴った。画面を見ると、
さっき「藤田先輩と一緒にいる」と知らせてきた日空からだった。
「片岡先生、出てくれますか。」
片岡が電話に出た瞬間、向こう側から切迫した声が飛び込んでくる。
「先生!白井先生!友達たち、見つけました!」
岬阪海商店街にいる、と。
** ** ** **
「あ、あの……先輩……」
友達は、いまの状況をどう表現していいか分からなかった。
藤田先輩と二人でお茶を買い、コンビニを出て数歩歩いたところだった。
突然、背後から大声が響く。
「藤田迅真!!」
あまりの声量に反射的に振り返った友達は、叫んだ本人――
藤田の投捕バッテリーである 佐久間圭一 先輩の姿を見つける。
佐久間は自転車を押しながら、息を切らして走り寄ってくる。
そして次の瞬間、藤田先輩が 完全に不機嫌な子ども みたいに、
わざと足早に前へ歩いていってしまった。
二人は同時に立ち止まり、友達はそのちょうど真ん中に取り残された。
「こっち向け、藤田。」
「やだ。」
「いいから!話があるって言ってんだろ、藤田、こっち向け。」
「だから、やだって言ってる。」
口では拒否しているのに、藤田の体は素直にくるりと振り返る。
(なんでやねん……)と友達は心の中でツッコむしかなかった。
そのとき、友達のスマホが震え、白井先生からのメッセージが届く。
「商店街から出ないで。みんな心配してる。
友達、藤田迅真を少しだけ引きとめてくれ、頼む。」
(せ、先生……今それどころじゃ……!)
だが、もう友達の力でどうにかできる段階を超えていた。
藤田と佐久間――
二人はただ黙って向き合い、周囲の音が消えたように静まり返る。
(た、頼むから何かしゃべって……学長……!)
友達は挟まれたまま、いたたまれない気持ちでいっぱいだった。
「おい、こっち来い。話がある。」
佐久間は友達を横目で見る。彼の意図は明らかだった。
友達に聞かせたくない話があるらしい。
「行かない。」
藤田は珍しく強情に言い返す。
佐久間が一歩近づくと、藤田はビクッとしながら叫ぶ。
「来るな!お、お前も来るなって言ってるだろ!」
友達は佐久間の顔を見る勇気がなく、視線を地面に落とす。
そのとき、いきなり佐久間が言った。
「友達、お前こっち来い。」
「えっ、俺ですか!?」
佐久間の鋭い目が「来いと言ったら来い」と語っていた。
友達が近づいた瞬間――
両腕を後ろに捻り上げられた。
「痛い痛い痛い!痛いって!」
思わず中国語が飛び出す。
「圭一!何してんだよ!」
藤田が慌てて叫んだ。
「藤田。お前が来ないなら……友達を八つ当たりに使うけど?」
(は……? なんで俺……?)
佐久間がもう一度腕をひねり、友達は涙目になって悲鳴を上げる。
「やめろよ!!圭一!友達は関係ないだろ!
怒るなら俺に怒れって言ってんだろ!!
佐久間!佐久間圭一!!聞いてんのか!!」
藤田は初めて見るほど怒っていた。
その怒気に押されるように、どんどん佐久間へ歩み寄っていく。
佐久間はその様子を横目で見ながら、小声で友達に言った。
「……助かったよ、友達。」
そして腕を放し、そっと横へ押し出した。
今回だけは、
「友達」ではなく、正しい日本語の「ともだち」ではなく、
“林友達”としての本当の名前を呼んだ。
次の瞬間――
佐久間は迷いもなく藤田を腕の中に引き寄せ、強く抱きしめた。
藤田は一瞬呆然とし、手を上げて押し返そうとするが……
その手は途中で力を失い、そのまま下ろされた。
そして小さくつぶやく。
「……ごめん。」
あのとき口走ってしまった言葉。
「お前のせいで、俺はこうなったんだ」
本当はそんなつもりじゃなかった。
依存してばかりで成長できない自分が嫌で、
焦りと苛立ちを全部佐久間にぶつけた。
ただのわがままだった。
佐久間は藤田の頭を撫でながら、呆れたように、しかし優しく言う。
「はいはい……怒るのはいいけどさ。
せめて違反行為だけはやめろよ。バカ。」
佐久間はそう言うと、状況が読めていない林友達がまだその場に突っ立っているのを見て、
軽く顎で「空気読め」とでも言うように合図した。
――藤田は、思っている以上に見栄っぱりだ。
インタビューの回答ですら、人目のつかないところで何度も練習してからじゃないと答えられない。
そんな藤田が、後輩の前で“泣きそうな顔”なんて見せたくないに決まっている。
友達は素直にその指示に従い、コンビニの入口まで下がった。
そこで、友達は藤田と佐久間という“バッテリー”に対しての見方が少し変わった。
変わらなかったのは――
やっぱり佐久間先輩は最初から最後まで藤田先輩にだけ甘く、
その忍耐強さは常軌を逸しているということ。
そして「かっこいい」だけだと思っていた藤田先輩が、
あんなふうに子どもみたいな顔もするのだと知ってしまった。
(あれ……藤田迅真って、案外俺と同じ“普通の高校生”なんじゃ……?)
結局、藤田先輩も佐久間先輩も――
友達より一年年上の、十七歳の男の子にすぎない。
けれど、やはり球場での藤田先輩は別格に見えるのだった。
「友達!友達!」
「あ……先生?」
コンビニ前にいた友達のところへ、白井先生と片岡先生が駆け寄ってきた。
その後ろには見慣れた顔――姉の婚約者、川頼さんの姿もあった。
川頼さんは友達を見ると、叱るどころか心底ほっとした顔で言った。
「無事で良かった。」
「……うん。」
友達はこくりと頷き、申し訳なさそうに言う。
「ごめんなさい、川頼さん。」
「無事ならそれでいいよ。でもね、放課後になっても寮に戻らないと、さすがに心配するぞ。
頼むから、もうこんなことはしないでくれ。」
川頼さんは友達の頭をそっと撫でた。
友達がもう一度「ごめんなさい」と頭を下げると、川頼さんは小声で続ける。
「安心していい。君のお母さんにも、お姉さんにも言ってないから。」
「川頼さん……!」
友達は心の底からほっとした。
川頼さんは苦笑しながら言った。
「俺だって若い頃は色々やらかして叱られたもんさ。男ってのは時々、
理由もなく訳の分からない行動を取る生き物なんだよ。」
もしかしたら、川頼さんの言う通りなのかもしれない。
普段は真面目で聞き分けがよく、部長としての責任感も強い藤田先輩が――
突然“失踪”なんて騒ぎを起こすなんて、友達にも指導者にも理解しがたい。
けれど、おそらく藤田を本当に理解できるのは……
藤田の相棒である佐久間先輩だけなのだろう。
少し離れた場所で、白井先生と片岡先生が藤田と佐久間を見つけた。
白井先生は開口一番、こっぴどく叱りつけ、
試合後にきちんと反省文を書くよう二人に命じた。
片岡先生はさらに、基礎メニューを倍にするという追加の罰を与える。
「藤田、佐久間。大丈夫か?」
白井先生が二人の様子を見て声を掛ける。
叱る時は厳しい。
けれど最後には必ず――心配そうな目を向けてくるのだった。
佐久間がちょうど口を開こうとしたその瞬間、
藤田先輩がそれを遮るように話し始めた。
「あの……本当に申し訳ありません。
部長なのに、近畿大会を目前にして、皆さんに心配をかけてしまって。
佐久間圭一も林友達も、全部“俺のことを心配して”付き合ってくれただけです。
本当に、本当にすみませんでした。」
そして深々と頭を下げて、
「どうか、この責任は部長である俺に負わせてください。お願いします。」
白井先生は眉をひそめ、藤田をじっと見た。
片岡先生はふっと笑い、
「いいじゃない、負わせれば。
こういうのも“教育”のうちでしょ? 白井先生」
「……お前は言うだけなら楽でいいよな。」
白井が片岡を睨む。
最終的に白井先生は、重い処分を告げた。
「藤田。お前を部長から外す。
後任は、すぐに俺が決める。」
ちょうどその時、数人がこちらへ歩いてきた。
阪海工の前監督・高橋、そしてその横に女性がひとり。
佐久間はその顔を見た瞬間、誰かすぐに分かった。
「藤田のおばさん、こんばんは。」
佐久間が頭を下げる。
「圭一、また迅真がお世話かけてごめんね。」
藤田の母は穏やかに微笑むと、教員たちにも頭を下げた。
「うちの子がご迷惑ばかり、本当に申し訳ありません。」
藤田の母は息子の腕をそっと引き寄せ、
藤田も再び教員たちに頭を下げる。
結局その夜、藤田は寮に戻らず、
一度家に帰って冷静になるようにと言われた。
一方佐久間はというと――
母親に電話した瞬間、烈火のごとく怒られ、
「正月まで小遣いなし」と宣告されていた。
そして……
最も理不尽な被害者は、“完全なる無関係”だった友達だった。
腹ペコのまま寮へ送り返され、
もちろん食堂はすでに片付け終わっている。
藤田先輩が奢ってくれたコロッケ、
そして白井先生がくれた大盛りカップ麺。
……でも、それでも!
あの豚カツが食べたかった!!
「友達!! 帰ってきた!!」
「ただいま。日空……やめろ、疲れたから抱きつくな。」
友達の姿を見るなり、
大型犬のように嬉しさ全開で飛びついてくる南極。
腹の音が鳴っている友達は、
無言で南極を押しのけ、黙々とカップ麺を作る。
床の上、小さなテーブルで麺をすすっていると――
南極が……
にこ~~っと笑いながらこちらを見つめている。
どう考えても怪しい。
友達は麺を咥えたまま、
みるみる警戒心を強めながら言った。
「……邪魔しないで。
今ひと口でも奪ったりしたら、本気で怒るからな。」
「へへっ、友達、これ見て! ジャーン!」
「おおお!? まさかの……カツ!? 俺の分、残してくれたの? 日空!」
日空は自分で効果音をつけながら、
まるでドラえもんの秘密道具みたいに
大事そうに包んだカツを取り出した。
実は友達から連絡が来たとき、
日空はすぐに食堂のおばちゃんへお願いし、
友達のために一枚だけ豚カツを取り分けてもらっていた。
友達なら絶対にお腹を空かせて帰ってくる。
そして豚カツを見たら絶対に喜ぶ……!
日空の予想は、見事に当たった。
カツを一口かじった友達は、目を潤ませながら言った。
「南極、本当に好き……マジで好き。」
特に深い意味はない。
嬉しすぎて、ただそのまま口から出ただけ。
だけど――
「好き」って言われた瞬間、
日空の胸は幸せで爆発しそうだった。
彼は少し照れたように笑って答える。
「俺も。」
** ** ** **
車の後部座席。
迅真は静かに窓の外を見ていた。
閉まり始めた商店街のシャッター、
ぱっと灯る街灯。
そんな中、運転席から父の声。
「迅真。
教員の先生から聞いたぞ。
……佐久間とケンカしたんだって?」
「仲直りはしたのか?
さっき迎えに行ったら、佐久間が探しに来てたぞ。」
「珍しいな、お前が佐久間と言い合いになるなんて。」
両親は心配そうにあれこれ聞いてくるが、
迅真はどう返していいか分からず、
ただ曖昧に笑って流した。
本当は──
“佐久間のことを親に話すのが、なんとなく嫌だった。“
言いたくないんじゃない。
ただ、心のどこかで 言ってはいけない 気がしていた。
父が優しい声で言う。
「何か困ったことがあったら、ちゃんと電話しなさい。
三年の途中から寮に入ったんだし、寂しい時もあるだろう。
迅真、お前ひとりで抱え込むなよ?」
「……うん。分かった。」
(父さん、母さん……
まだ怒ってるのかな。
俺の耳が聞こえなくなった理由……
“佐久間の死球” のこと……)
脳裏に浮かぶのは、
あの日の病院の光景。
「本当に申し訳ありません……!」
佐久間の母が泣きながら頭を下げ、
それを迅真の母が必死に止めていた。
二つの家は昔からの付き合い。
迅真が野球を始めたのも、全部佐久間の影響。
──だって。
佐久間と一緒に遊びたいから、
俺も野球を始めたんだ。
小学生の頃、
新品のユニフォームを着て佐久間の家へ走っていった日を思い出す。
「今日から俺も少年野球クラブに入るんだ!」
そう言った時の佐久間の顔。
『よかった……! また一緒にいられる!』
まるで本当にそういう声が、聞こえてくる気がする。
(もしかしたら俺……
最初からずっと……)
投手になりたい、うまくなりたい。
──その理由って。
結局ただ。
ただ――
“圭一に、かっこいいって言ってほしかっただけなんじゃないか?”
「迅真? 今、何か言ったか?」
「……ううん。
ただ……お腹、空いただけ。」
迅真はそう答え、
ふと左耳の補聴器に指先を添えた。




