緊急クエスト
あれから私達は依頼をこなし、ランクS冒険者になった。アルカディアギルド史上最速らしい。私には「神速剣士」ノアには「知恵神」という二つ名がついた。なぜか?それは、この前の緊急クエストに参加したときだった。
「さーて、今日はどんな依頼があるかな?」
「ノアは、討伐依頼がいい!ポイズンブルートがあればいいな!」
「ああ、あれね。意外と楽しかったよね!今まで戦った中で一番強かったし。」
ギルドに入ってクエストボードを見ていたときだった。
「大変だ!黄泉の森に、最上位聖騎士でも敵わない未知のモンスターが!」
すぐさまギルド長が降りてきて言った。
「このモンスターの討伐を緊急クエストとして取り扱います。報酬金は、活躍次第です!」
「「「「「「うおおぉぉぉおおぉぉぉ!」」」」」」
ギルドにいた冒険者たちが雄叫びを上げて準備に取り掛かった。
「はぁ、あまり呼びたくないですがあの人も呼びますか…。」
ギルド長はそう言うと、紫色の水晶玉に向かって誰かと話した。しばらくすると―――。
「久々に来たわね。何も変わってないわ。」
「久しぶりです。大英雄ルル。」
「何が相手かしら?」
「特徴は?」
ギルドに飛び込んできた兵士に聞いた。
「は、はい。えーと、全身が黒く肉塊のような見た目から触手が出ています。また、地面や木が腐敗していたところを見ると酸のようなもので覆われているのかもしれません。それと、黒く変色したモンスターも確認できました。」
「邪神が復活しただと⁉️いや、封印されていたはず…。まさか、突破されたのか⁉️」
「神々の封印を突破された?そんなことがあり得るのですか?」
「あれは最古の最高神だ。腐っても、今の神よりも強い。しかも、アルカディアの邪神だ。私でも、手に負えん。誰か!神の名を冠している職業、またはスキルを持っているやつはいるか!」
ルルがギルドにいた冒険者たちに聞いたが、誰も手を挙げる人はいなかった。私達は、逃げますかね――。
「そういえば、フランさんとノアさんが神の名を冠している職業だったはずです。」
何いってんだバカヤロー!
「へぇ、どこにいるのかしら?」
「そこにいます。フランさん!こっちに来てください!ノアさんもです!」
「誰が行きますか!面倒なことに関わりたくないんです!」
急いでギルドから飛び出した。
「待ちなさい!」
ルルがフランたちを捕まえようと手を伸ばしてきた。能力値50%だよ?なんで追いつけるのさ。
「くっ!」
「避けた⁉️」
まさか避けられるとは思っていなかったのだろう。
「ちっ。面白いじゃないか!」
そして、わたしたちにとっては数分に感じられる数秒はルルの勝ちに終わった。今、抱えられて移動している。
(身体能力の差で大丈夫かと思ったけど、戦闘経験の差で負けた。まだまだだ。私達は。)
「フリューオン!捕まえてきたぞ!」
「早いですね。まぁいいでしょう。そのまま黄泉へ行ってください。依頼は合同発注扱いにしておきます。」
「わかったよ。行くぞ。」
「「はい…。」」
「走るぞ。ついてこい!」
「わかりました。ノア!走るよ!」
「うん!」
「よし、行くぞ!」
(能力値80%!)
私達は、音よりも速く駆けた。
(なんで80%で追いつけるのよ!おかしいでしょ!)
「ハァ、ハァ。速いな!負けられないよ!」
「お姉ちゃん、速い…。待ってよぉ!」
「わかったわよ。よいしょっと。」
「きゃっ⁉️」
ノアをお姫様抱っこして走る。心做しか、ノアの顔が赤い気がするけど気の所為だよね!
「ついたぞ!ここがSランク魔境:黄泉の森だ!」
「ねぇ、ノア。ここって…。」
「うん。私達が…。」
「「出会った場所。」」
「え?ここでパーティー結成したのか?」
「はい。」
「まぁ、いい。速くいかないと洒落にならん。」
アァァァァアアアァァァァア!
「ちっ。もうここまで来たのか!」
ルルは自分の武器を取り出し、臨戦態勢に入った。フランも戦闘態勢に入ろうとしたが、ルルの武器に目を奪われていた。そのルルの武器は―――。
「なんで、この世界にライフルが…?」
そう、ライフルだった。それも、スナイパーライフル。腰のあたりにはピストルが下げられていた。
「破ッ!」
そんな短い掛け声とともに彼女のライフルが火を吹く。
ギャアアァァアアァアアァァア
邪神が悲鳴を上げる。それだけなのに、周囲の生き物が死んでゆく。耳から血を流しているあたり、鼓膜が破れたのだろう。
「この銃は火竜砲って言って、私の武器だ!」
彼女はそう言い放った。その一言で、私の士気を一気にあげる。
「久しぶりの強敵だね。ノア!本気を出そう!」
「わかった!『封印解除:氷結神』!」
「能力規制解除ぉぉぉ!からの、神代魔法『全てを穿け、神の矛!神威付与』!そして、神代魔法『最高神フランが命ずる。今一度、この世界の理を読み解き、事象を起こし、目の前の堕神を、塵残さず消せ!神殺』!神代魔法『橙神・黄神よ、最高神フランが命ずる。我が味方に無限の癒やしを、そして鉄壁の守りを!刹那の御力!』」
フランは惜しみなく魔法を使っていく。しかし、膨大な魔力量のおかけで通常運転を可能にしている。
また、補助魔法を使っているためいつもよりも高いポテンシャルになっている。
「古代魔法『氷結神たるノアが命ずる。目の前の敵を強大な嵐で切り刻め!氷結切断:吹雪の舞!』」
―――ドゴォォオオオォォォォオォォォオン!
この世の終わりかと言うほどの爆音が鳴り響く。キノコ雲のようなものが空に広がり、晴天を覆い尽くす。
アアアァアアアアアァアァァァァァアアア!
邪神が断末魔をあげながら地面に溶けるように倒れた。
「ふぅ、終わった。さて、帰ろうかな。」
私が邪神に背を向けた瞬間―――。
ドスッ!
「え?」
「お姉ちゃん!」
「フラン!」
私の胸を漆黒の槍が貫通していた。倒れる瞬間、顔のないはずの邪神に嘲笑っているような姿が見えた。




