act.8 永遠のダビデ
それから欲は毎日のように未国埜亜空間に通い、刀の鍛錬に励んだ。
「まずはこの一口の刀の方からだ。切られてもいいという気持ちで最初は受け身を取るな。相手に当てることだけを考えろ。受け流すのは後からでもついて来る。」
渾然が師匠だ。
「はい!」
「渾然は刀のこととなると鬼と化すからな。」
フリッジが言う。
「鬼?」
「今のところは未だまだ人間だ。へへっ!」
今日の鍛錬は終わり、ドアを開け、美術室に戻って来た。
「あっーアッツ‼︎」
それを見ると綺蝶が欲に近付いて言う。
「大分いい躰になったじゃない。腹筋も割れて来たみたいね。」
「私の永遠のダビデになれるかしら?」
「じゃあな。俺は帰るからな。」
「はい!渾然さん。また明日。」
「おう!」
「渾然も帰ったし、さっ!脱いで脱いで!」
「はっ?はい⁉︎何故?」
「何故?じゃないわよ。」
「あっ!石膏のモデル、まじですか?」
「まじよ!」
小1時間程、欲はまっ裸で立ってモデルをしていた。
「あの…今日はもう帰ってシャワーも浴びたいし…。」
「明日も仕事?」
「明日は休みですが。」
「そう。」
綺蝶が近付いて来て欲の腹筋を舐めるように触る。
「硬くなったじゃない。いいわね。」
「自然と鍛わるものですね。」
「そりゃあ渾然の過酷な鍛錬を受けているんだもの。当たり前よ。私好みの腹筋に育ったわ。」
「あの…この体勢」
「ここも硬くなってる。」
「あっ!何を!」
「もう、かわいいんだから。」
pm7:13
辺は真っ暗だ。
「もう7時過ぎてるわねぇ。帰りますか。」
「ですね。」
「明日は朝からでしょ?」
「はい。」
「期待してるわよ。私のダビデ。」
そう言って綺蝶は欲の頬にキスをして肩を叩いた。
欲は綺蝶の帰って行った後ろ姿を見て笑みを浮かべた。