act.7 武器庫のフリッジ
目の前に広がっていたのは大草原だった。
「……ここは…」
「欲。お前にはこれからここで特訓をしてもらう。」
「ここは日本じゃないのか?」
「日本とかどこの国とかじゃねぇんだよ。亜空間なの。ここは時間・場所ともにこの世ならざる空間。故に、元の場所に戻っても時間は進んでないし、どれだけこの中の物を壊しても外には響かない。オーケー?」
「うん…多分分かった。」
「じゃっ!始めようか。」
そう言って渾然は笑みを見せた。
「冷蔵庫〜カモ〜ン‼︎」
「おい!冷蔵庫って呼ぶなよ、武器庫だろ!せめてフリッジと呼べ!毎度毎度言わせんな!」
「どっちにしろ冷蔵庫だろ。」
「響きが違うんだよ。響きが。」
ドスンッと頭上から冷蔵庫らしきものが降ってきた。
「これが新入りか?渾然。」
「あぁ。」
「あのぉ〜…もしかしてこの冷蔵庫、喋ってます?」
「喋ってるよ!おれは武器庫だ!よろしくな。」
「よろしくお願いします…。」
「フリッジっていうのは渾然が付けた。」
「じゃあフリッジって呼びますね。欲です。金女欲。」
「分かった。欲。」
欲は渾然に言われるまま白い冷蔵庫型のそれを開けた。中には大量の武器が詰まっている。
「この中から使いたい武器を選べ。」
斧にダイナマイト、拳銃や刀、手裏剣、などなど…ありとあらゆる武器が揃っている。
「ん〜ん。どうしよっかな〜。扱いやすいのってどれなんですか?」
「どれも扱うにはそれ相応の訓練がいる。どれも初めは扱いにくい。」
「…う〜ん。」
「因みに、俺はこの中の全てを使い熟せるぞ!」
渾然が自慢げに言った。
「じゃあこれにします!」
欲が手にしたのは刀だった。
波々模様の美しい波紋が入った刀だ。
「ああ、それは良い。」渾然
「すげーのを選んだな!そいつを扱うのは難しいぞ。」フリッジ
「この刀はこいつと連結させて」
渾然は横に立ててあったもう一口の刀を取り出しながら言う。
「こうやって使うんだ。」
二口の刀は持ち手の部分がメス・オスになっているので嵌め込むと両端が刃先の一口の刀となる。
言葉にならない程、欲の目は輝き胸がいっぱいになった。
「もちろん、一口でも使えるがな。」
「…まさか連結させられるとは思って無かったよ。えらいのを選んじゃったかな。」
「特訓のしがいがあるな!」
渾然は喜んでいる様だった。
読んで頂きありがとうございます!書いてる側もわくわくしてます!皆さんにもわくわくしてもらえる様な作品になれたらいいな。ではまたつづきでお会いしましょう!