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act.4 垢無し峠
ある晴れた真昼間。
オレは渾然さんと紫咲くんと社のある所まで山ひとつ登って来ていた。
しかも、到底、山登り出来る様な格好ではない。
普通のTシャツとジーパンで標高2000mはくだらない山を登って来たのだ。
渾然さんに至ってはスーツだし…。紫咲くんなんて、ブラウスにベストと短パンだし。
「あの〜。どこに行くのかだけでも教えてくれませんか?ねぇ、渾然さん…。」
「この辺りなんだがなぁ…。」
何も無いが、久しぶりの平坦な空間。
オレはそこにへたり込んだ。
この上の神社に来る人が車を停めるための場所だ。
《ザッ》
周りの草木が擦れた音がした。
その瞬間、背後から大男が現れた‼︎
振り返る一同‼︎
「何奴⁉︎」
紫咲が叫んだ!
真っ赤な皮膚と頭には金の牡牛のそれを彷彿とさせる立派な角が見えた‼︎
その男は2mを優に超えているであろう巨漢だった。
「鬼っ⁉︎」
「どうします⁉︎渾然さん!」