act.1 壊滅
「今日もいつも通りの渋滞かぁ。金曜だから許してやるぜ。」
オレは少しイラついたが、かけていた曲のボリュームを上げて紛らわせる。
首都高の金曜の夜は言わずもがなの大渋滞だが、サラリーマンのオレこと金女欲(28)は今日も土日の休みに向かって少しずつ家路を走っていた。
去年やっと新車を買った。今まで乗っていたのは親父の乗っていたのを貰ったので、自分で買ったのはこれが初めてだ。
6年間真面目に働いて、遂に、銀色に輝く愛車を購入したのだ‼︎
などとノリの良い曲を聴きながら、ちっとも進まない高速の上でニヤけていた。
《ドン‼︎》っと車の上に何やらとてつもない衝撃が⁉︎
何が起こった⁉︎
《ドン!ドンッ‼︎》
車が揺れている⁉︎
「おおおわっ…‼︎」地震⁉︎
何んと、この車の上には人間なのか?剣を持った白髪の男が乗っていたのだ。
その男は天空から降って来て、金女の車の上に着地した様だ。
オレはとにかく恐くて何が何やら分からない。
運転席でハンドルを強く握ったまま動けなかった。
収まったか
恐る恐る外を見て確認しようとした。
すると、ボンネットの上に剣が降りて来て垂直に刺さった‼︎
「‼︎」
その持ち主であろう男も降りて来て、ボンネットの上からこっちを覗き込んで来た!
フロントガラス越しに目と目が合って瞬きも出来ない。
金の目がこちらに近づきオレは息をするのも忘れていた。
ただただ心臓の爆音が抑えられない‼︎
「コイツも只のメッキか…。くだらない。レアオロス!リアレオン!ミポサ!全滅させろ。」
「鋳塊〜、またぁ?骨折り損のくたびれ儲けじゃんかぁ〜」
「ミポサ。お前の場合はただ殺れたら楽しいのだからどこも損をしていない。むしろ」
「得だね♡確かに〜‼︎日本のことわざって難しいよね〜。」
「ミポサはことわざ言いたいだけだろ。使い方覚えないのに使いたがるし。」
「3人共うるさいぞ!ここに居る車を全滅させろ!」
「いちいち俺等を使わなくとも自分でやれっての。」
鋳塊はリアレオンをジロッと見た。
「ハーイハイ。」
鋳塊はショートの白髪で、金の目を持つ男。
筋肉隆々で特に、黒のタンクトップから出た肩は鍛えられていてメチャクチャ太い!
リーダー格の様だが底知れない。
レアオロスは堅物な男で、どっしりとした長身。
ゴツい見た目の黒髪で褐色の肌をしている。
リアレオンは金髪細身で、キレやすい性格だ。
ミポサは男だが、かわいい見た目をしていて、好戦狂。
とにかく戦いが好きで、160cmと小柄。髪はピンク色だ。
「イエ〜イ♡」
ミポサが楽しそうに首都高の車達を爆破させていく。
「オラオラオラ〜〜‼︎」
リアレオンもエンジンMAXの様だ。
「はいはい。」
レアオロスは静かに淡々と仕事をこなしてゆく。
大渋滞していた首都高は壊滅状態で、そこら中から煙が上がっていた。
読んで頂きありがとうございます。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!