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ダンジョン大陸A&J  作者: Zyuka TIME
第1章・ファロ・オリジン
4/43

side-J・浅科梨乃亜

 ――

 ―――

 ――――

 ―――――

 ――――――

 ―――――――



 ガラガラガラ~~~―――――


「聞いて! 聞いて! 聞いて! 学校に軍隊が来てるの! 軍人さんが来てるの!!」




 ――飛行形態から戦闘形態、飛行機から人間の姿へ――変形機能を持ったままヤッタルデーをヒューマノイド化し、大暴れさせる――


 オレたちがその議題で盛り上がっていた時、突然部室のドアが開き騒がしい女の子が飛び込んできた――


「変形用、飛行用、ヒューマノイド用と別々のヤッタルデーを用意するって言うのはどうや?」

「カットカットで個々編集した動画を撮る、っていう分にはそれでいいかもしれませんけど……やっぱりノーカットで飛行→変形→戦闘ってやった方がかっこよくありませんか?」

「それに、スケさんをつかってヒューマノイド化した場合……どうしてもオリジナルとの違いが出るのは避けられないわ。それが素人目には、微々たる違いだったとしても――」

 机の上にヤッタルデーとスケさん、そしてバトルヒューマノイドの代表格としてオレのファロが並んでいる。

 図面を広げ、ヤッタルデーを外装パーツに分解改造した場合スケさんにどのような形で装着するか、装着した場合に出る動きの不具合とかをコンピューターでシュミレーションしていく――

「機体の隅々にまで燃料を送るためのエナジーチューブとかエネルギーダクトとかって……実際にあると邪魔よね――大型ロボットを動かすっていうリアリティのためには必要なものなんだろうけど」

「飛行機として飛ぶには燃料が必要不可欠ですから――アニメでは宇宙を飛んでましたから」

「敵は宇宙海賊やからな。浪花に降りてきた敵機を撃破するだけやとじり貧になる」


 議論は続く――意見が出るたびに図面に新たな事柄を書き込み、コンピューターにデータを打ち込んでいく――



「ね~~聞いてる? 軍人さんが来てるの! 迷彩柄が施されたいかつい軍用車が来賓用駐車場に駐車していて、見てた人が言うには軍服を着た物凄くハンサムな男の人が出てきたって!!」


「……梨乃亜ちゃん、ゴメンね。今議論中なの」

「梨乃亜、君ならどう思う? ヤッタルデーを大暴れさせたいって言うんだけど……」

「ヤッタルデーってわかるか?」


 その騒がしい女生徒、名前は浅科梨乃亜。


「……やったるでぇ? ……、………知ってる、知ってるわよ! えっと、ヤッタルデーってあれでしょ? ……ええっと、確か……そうそう! ダンディな髭のおじ様と通天閣の前で戦うロボット!」


「ダンディな髭って……そんなキャラクターいたっけ?」

「宇宙海賊の先鋒で出てきた敵キャラクターやな……CMとかやったらメインヴィランみたいな扱いで写っとったけど、浪花大戦の初期の方で負けて退場してから浪花決戦でも出てこんかったはずや」

「つまり、CMくらいしか見ていないのね」


「で、そのヤッタルデーがどうかしたの?」


「ああ、今そのヤッタルデーのフィギュアをヒューマノイド化して暴れさせられないかって話をしてるんだ」


「ええっ!! ダメだよ!! こんないかにも戦うために生まれましたっていうようなロボットを暴れさせるなんて!! 美しさのかけらもないじゃない!! やるなら私たち研究部のの最高傑作ファロちゃんのバージョンアップだよ!! 一時的な飛行能力だけでなくてもっと長時間、もっと自由自在に飛べるようにならないと!!」


「おいおい、ファロは俺個人の所有物だぞ!」


「いやいや、モーションキャプチャーやプロペラ飛行などは研究部の皆で協力して作ったものでしょ! ロボットを戦わせるんじゃなく美しいアンドロイドやガイノイドが戦う、それこそが戦闘ヒューマノイドの道、ヒューマノイ道の真骨頂よ!!」




 ――浅科梨乃亜――


 オレとは同学年だがクラスは違う。

 だから、ヒューマノイド研究部以外で顔を合わせる事はほぼない。

 梨乃亜自身は大の格闘技好きで、格闘系の倶楽部によく見物に行っているためヒューマノイド研究部にこないこともある。

 そして、ヒューマノイド研究部ではヒューマノイドでどんな戦い方ができるか、どんな武装ができるかを口にしている――


 ただし、梨乃亜は基本人型を大きく逸脱したヒューマノイドは認めないという信念を持っている。


「ヒューマノイ道は人型で極めるべき――人の形を取らないヒューマノイドなんてただのロボットよ!!」


 いつもそう主張する――浅科梨乃亜とは、そんな女の子だ。




「そう言えば、梨乃亜ちゃん――さっき言っていた――軍人が来たって言うのはなんなの?」


 ヤッタルデー飛行変形大暴れ設計書から目を離した東屋部長が梨乃亜に聞く。


「そうそう、軍人さんたちはきっと必ず間違いなく――真一君をスカウトしに来たのよ!!」


 梨乃亜が目を輝かせてそう言う――


「バトル・オブ・ヒューマノイドでの活躍は軍隊からスカウトがくるほどのきらめきを放っていたのよ!! 羨ましい!!」


「いや、日本にあるんは軍隊やのうて自衛隊やけどな」


 大上先輩が梨乃亜にツッコミを入れる。


「そういや、そうね……それじゃあさ、自衛隊でヒューマノイド戦略部門ってのが作られて……真一君が将来そこに就職するように言いに来たって、言うのはどう!!」


「なんか願望になってないか? 第一本当に自衛隊かどうかもわからないだろ!」


「そうね、軍用車って言っても多種多様だし……どっかのサバゲーチームが来たとか?」


「……学校のサバゲー同好会のOBが来た、とかかしら?」


「サバゲー同好会――あの活動してるのかしていないのかわからへん連中か」


「ちゃんと活動してるなら、私入会してもいいんだけどね!!」


 などとたわいもない会話が交わされている時だった――




『2年A組神城真一君、2年A組神城真一君、お客様がお見えです。職員室の隣、第一応接室へ来てください。繰り返します――』



 なんて校内放送が流れてきたのだ――


「あ、やっぱり軍人さんのスカウトなんだよ! 真一君、私も行っていい!?」


 梨乃亜がおかしいリアクションをとり……


「神城、あんた、なにしたんや?」

「大丈夫? 自分の悪い行いに心当たりはない?」


 大上先輩と東屋部長もやっぱりおかしい……


「第一来客って言ったって、本当に梨乃亜が見た軍用車の軍人が俺を呼び出してるってわけでもないだろうに……」


 とりあえず、頭の中に応接室までの道のりを思い浮かべる――


 研究部員の中には梨乃亜と同じように興味本位でオレについてこようってやつひそひそと言い合っている者も何人かいた――まったく、暇な人間が多い事である――



「あ、待って真一君!」


 オレと一緒に部室を出ようとした梨乃亜が立ち止まる。


「ファロちゃんをちゃんと持って行かなきゃ!! きちんとバトル・オブ・ヒューマノイドで優勝した時の事、アピールしなきゃね!」



 ――――――

 ―――――

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 ―――

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