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ダンジョン大陸A&J  作者: Zyuka TIME
第2章・天に舞い上がる少女
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side-A・3人娘がやってきた!

「な……何だあれは……? あれがばあさんの、芸術なのか……!?」


「ばかもの! あれがワシの芸術なわけがあるか! 御降臨なされたのじゃ!!」

「ご、御降臨なされた……ってまさか……」

「まさか、我らが主……魔王様……」


 物知りばあさんとグロービス兄弟が空に浮かぶ城を見て慌てている――

 そして、ポカンとした表情で何もわかっていないという感じのノヴァに説明する。


「このダンジョン大陸で、天空に浮かぶ建造物は二つあるとされておる―――――」

「そのうちの一つ……かつての大魔王レオンガルデの軍が移動要塞として使っていた――」

「そして、今はレオンガルデの娘、レイナガルデ様の居城となっている――」



「「「浮遊魔城!!!!!」」」



「え!? やっとここで――ヒロイン登場!?」


「何を言っているんだ!? あの城の主は、魔王だ!!」


「魔王って……? 知っているのフルカス!?」


「ああ、噂だけだがな……現魔王レイナガルデ――」

「とてつもなく、麗しいくて美しい絶世の美女と言われている!!」

「その美貌は元来魔王の天敵である勇者さえも虜にするという!!」


 フルカスの言葉にグロービス兄弟が続ける――


「そんなに詳しいならその魔王ちゃんに会った事があるの?」


「「ない!!」」


「……あっそ……」


 自信満々で返答するグロービス兄弟に少し呆れるノヴァ――




 彼らが見上げる浮遊魔城だが、町の上空をゆっくりと回っている――

 町の住人たちもそれに気づいたのか騒ぎになっている――が、灯台の異変と違って歓声が多く聞こえる――ような気がする――

 その町の住人たちの歓声を集めるようにゆっくりと町の周囲を浮遊する浮遊魔城――


「……着陸地点を探しているのか?」

「浮遊魔城は大陸各地を回り、建築素材や食料物資などの物流管理を担っている――そのため、大陸の主要都市には浮遊魔城着陸用の広場があるのじゃが……このファトスは北都が近い故、そのような広場はない……」


「え!? 物流管理!? なにその知識チート潰し!? そんなことされちゃ、物流改革で大儲けのチートが使えないじゃん!!」


「ノヴァよ、お主は何言っているのだ?」

「物流管理はレオンガルデ様が大陸を支配した時に行った事業の一環である」


「えっと……まさかそのレオンガルデって……転生者、とかだったり、する……?」


「「―――――?」」


 ノヴァの言葉が理解できず、疑問符を浮かべるグロービス兄弟――




「……………見ろ!! 何かが降りてくる!!」


 フルカスが、浮遊魔城から何かが飛び出てくるのを見つける!!


「誰か魔獣化した飛行型の魔族か?」

「いや、それにしては――でかい!! 城よりは小さいけど――」

「鳥――!? ドラゴン――!?」

「いや、あれは――……飛行機!!?」



 ビュウウウウウン―――………ドン!!



 浮遊魔城から飛び出てきた飛行機は階段の下の舞台、その限られたスペースにうまく着陸する――!!


 プシュウ……ウィーン……


「な、なんだかファンタジー世界にあるまじき科学的というか……SF的というか……アニメ的、というか……てか、どっかで見たことがあるような……?」




「どうにか着いた、着いた~~♪ ありがと、ファロちゃん♪」

「中に乗れるのね、この子……すっごい経験だわ……」

「しっかし、よくこんなちょうどいい着陸場所があったな」


 飛行機の上部――ハッチ――?――が開き、3人の……それぞれ風変わりな女の子たちが舞台の上に降りてくる――


「ええっと、シャルロッティちゃんいる~~?」

 1人目、見た目幼女――


「ま、間違いない!! あの方こそがレイナガルデ様じゃ!!」

「「なんだって~~!!」」

 物知りばあさんがその幼女の名前を呼び、グロービス兄弟が驚愕の声をあげる――


「え、あれがヒロインの魔王ちゃん? って……幼女じゃん……」


「ここがあのサキュバス・シャルロッティが言ってたファトスのダンジョン? なんか……悪趣味な塔ね」

 2人目は、長身の美女――


「なんか性格きつそう……悪役令嬢ってヤツかな……?」

「――勇者アニス!!」

 少し失礼な発言をしてしまったノヴァの横で、フルカスが叫ぶ!!


「え? ゆ、勇者?」


 ドタドタドタドタドタ!!


 そして、フルカスはすごい勢いで階段を駆け下りる!!


「魔王レイナガルデの配下になったという噂は本当、本当だったのかぁ!! ―――――うわったぁ!!」


 ズダン!!


 何かを叫びながら、駆け下りたフルカスは、階段の下の方で無様に躓き――盛大にすっころんだ……………




 プルルルルル~~


「何だ? 知り合いか? アニス?」


 そして飛行機から降りてきた3人目の少女――は、小さな人形のようだった――


 降りてきた、と言っても他の2人のように舞台の上には立っていない――背中のバックパックから出ているプロペラで宙に舞い、同じくバックパックから出ている翼で、姿勢を制御している――そんな感じだ。


「むむ――!? あの娘も、ビューティ・ドールであろうか?」

「うむ、そこのポラリス4世と見比べても遜色ない美しさよ」

「どちらかを町おこしに使えないかね?」


「あれは……ポラリス4世と同じ意思を持ったヒューマノイド……!? 魔王ちゃんの方にも日本人の転移者がいるのか?」




「勇者アニスよ!! 答えてくれ!!」


 すっころんだ痛みにしばらくフリーズし、ようやく起き上がった顔面血だらけのフルカスが、アニスに詰め寄る―――――


「……誰? あなた……? てか、その顔で近づかないでください………」


「お、俺はフルカス!! 聖大陸、出身で………聖女様の命で勇者の軍にいた………」



「へ? 勇者の軍の生き残り? でも、フルカスなんて名前、聞いたことがないよ?」


 レイナが、フルカスの血だらけな顔を見ながら言う。


「まあ、あの状況じゃ誰が生き残っているかなんて把握のしようがなかったし………」


 アニスは少々目線をそらしている――


「あ、でも、浮遊魔城にいた私ならいざ知らず、フィティシア様になら生存報告を入れていてもよかったんじゃないですか? 私もフィティシア様になら時々会ってますよ?」


「あ、いや……俺はフィティシア様に会うことはできない――なぜなら俺は……………」


 フルカスは、ほんの一時言葉に詰まり――大声で叫んだ!!



「俺は最終決戦の前に臆病風に吹かれて逃げ出した脱走兵だからだ!!」



「なるほど……あのフルカス、魔獣形態を見せない変わり者の魔族――ではないかとは思っていたが……人間、しかも勇者の軍にいた者であったとは……」

「まあ、我ら兄弟の魔獣体のようなものではなく、醜いものだったならば、変身するのを嫌がる奴はよくいるもんな……」

「ワシは気づいておったぞ――あのフルカスのエナジーは、正真正銘人間のものじゃった――まあ、だからこそ食事に招いてエナジーをもらっておったのじゃ」


 フルカスのように駆け下りるようなことはせず、物知りばあさんとグロービス兄弟が階段を下りてくる。


「あ、シャルロッティちゃん! この党の連絡、ありがとね」


「レイナガルデ様――この度はご足労いただき誠にありがとうございますじゃ」


 そう言って片膝をついてレイナに敬服する物知りばあさん――グロービス兄弟もその背後で同じようなポーズを取る――


「え? ええっと、シャルロッテって……?」


 その後ろで、ポラリス4世とをなぜか肩の上に乗せたノヴァが、同じように階段を下りてきて素っ頓狂な声をあげる。


「ワシの名前、じゃが?」


「えええっ!! ばあさん、あんた、シャルロッテなんて……そんな名前だったの!!?」


「シャルロッティじゃ」


「レイナ――あれが、サキュバス部隊の隊長で、フィティシア様の天敵って言われてたシャルロッティ? なんかイメージが違うわね」


 アニスが血だらけのフルカスから目をそらし、物知りばあさんを見て言う――


「「「サキュバス!!!?」」」


 そう叫んだのはファロとノヴァ、そしてポラリス4世―――――




「ああ、そうじゃな――この魔人体ではわからぬか――」


 ポポポンッ!


 軽快な音と共に物知りばあさんの姿が変化する――!!

 小柄な老人の姿から、スタイル抜群で妖艶な――美魔女の姿へ――


「うわわわわわ!! 真のヒロインはばあさんだった!!?」

「ええっと、最初からその姿で来てたら芸術の試練、楽々突破だったのに!」


「いやあ、ワシの魔獣体――このサキュバスの姿は長く保てないんじゃ――姿を保つには人間の男からエナジーをもらわなければならんのでな……」


「あ、声はそのまんまなんだ……………」


「先の戦いでは最強の女勇者フィティシアにやられた傷がもとで、な――」


 愁いを秘めた表情でそう言う物知りばあさん改めサキュバスシャルロッティ――


「あ、フィティシア様ならベリア王国に住んでいるので今度会いに行ってみます?」


「いや、それは勘弁してほしいのう……」


 ポポポンッ!


 そう言うと、物知りばあさんシャルロッティはばあさんの姿――魔人体に戻る――


「で、アニス!! 俺の話を聞いてくれ――!!」


 物知りばあさんとの話が終わったとみるや、大声をあげるフルカス――


「話しの前に傷の手当てをしてください」


「あ、あの、レイナガルデ様!! いや、レイナガルデ陛下!!」

「我々はグロービス兄弟!! かつてレオンガルデ様に仕えていたヒゲがダンディな者です!!」 


 その横でグロービス兄弟も自己アピールをはじめる――


「我は兄のターチ・グロービス!!」

「弟のレムル・グロービスです!!」


「「貴女様に仕えさせてください!!!!!」」


 必死に頭を下げるグロービス兄弟――


「いや、その話はとりあえず置いといて――レイナちゃんたちがここに来たのにはある目的があるの――」


 血だらけで迫るフルカスに、ヒゲで迫るグロービス兄弟――それを両手で制し、レイナは続ける――




「この中に日本人、いる?」

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