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ダンジョン大陸A&J  作者: Zyuka TIME
第1章・ファロ・オリジン
10/43

side-J・公園の激闘

 タンタカタ~~ン♪ タン♪ タン♪ タンタカタ~~ン♪


 鳴り響く陽気なファンファーレ―――――


「次世代の超絶美女大魔王~~レイナちゃんによる前回までのあらすじ!!」


 え? 何? さっきから?


「大陸全土で巻き起こったダンジョンコアの大量盗難事件!! ある者は言った! もしかしたら死んじゃった、お父様――今は亡き大魔王レオンガルデの意思がまだまだ生きているのだろう、と! また、ある者は言った! 怪盗王シーフロードの仕業ではないか、と! だけど違う!! この美女魔王名探偵であるレイナちゃんは助手の勇者アニスちゃんと共に誰よりも早く真相を知ろうと頑張った!!」


 オレが認識できていないよくわからない時に現れ、よくわからないゴージャスな不審者と相対している、よくわからない二人の少女――その片方――見た感じ小学生か中学生くらいの幼い感じの少女が、よく響く可愛らしい声で朗々と語りだす――


「調査は、難航し、何度諦めようかと思ったかわからなかったけど、レイナちゃんはくじけない! ある時は四天王に会いに行き、重要な証言を得!! またある時は高難度のダンゾンを攻略し、貴重な証拠も手に入れる!! 大陸を駆け巡る遊牧獣魔との交流は、モフモフさせてもらったよ♪」




「……四天王云々とか遊牧獣魔はともかく、ダンジョン攻略でどうやったら証拠が見つかるんだ!?」

 思わず声に出して突っ込んでしまう――


「……重要証言をもらうために希少なアイテムを手に入れて渡す必要があったんじゃないか? RPGゲームとかにあるお使いクエストとって、だいたいそういうものだろ?」


 口から出たオレの疑問に、そう答えたのは神城真一……なんだろう、オレには神城真一として記憶があるはずなのに、同じ発想が出てこない――?


「え……あの幼女が言ってるんはゲームの話なんか?」


 ヤッタルデーは、口調さえ一致していないけど―――――




「そしてやっと得られた手掛かりをまるで難解なパズルのように組み合わせて、レイナちゃんたちはとうとう真実へとたどり着いた!!」


 そこまで言って少女は仰々しいポーズを取る!


「ダンジョンコア大量盗難事件の犯人は~~お前だ!! ノーヴェル・マシー!!」


 ビシッとノーヴェル・マシーに指を突きつける少女!


「――と、いうわけで!!」


 くるりと、さしていた手を上に向ける――


「“ブック”!」


 少女が少し声色を変えてそう言うと、ポンッという音と共に小さな本が空中に出現する――


「これまでレイナちゃんの大冒険を綴った素晴らしすぎる世界に一冊の希少本、そのタイトルも超絶美麗――『レイナちゃん漫遊記』!! おじ様が盗んだダンジョンコアを全部レイナちゃんに譲渡し、泣いて懇願するなら図書館に寄贈してあげてもいいわ!!」


「今は亡き余の主君――大魔王、レオンガルデの娘、レイナガルデが書いた本、か……」


 薄ら笑いを浮かべながらノーヴェル・マシーが少女に返答する――野次馬が集まっている中で異質な三人はまるで舞台の上の役者のようにも見える………


「余としても、十分に興味をそそられるものではあるが―――――」


 ビシッ!! ガキン!!


「――!!?」


 少女の言葉に応えようとしたよくわからないゴージャスな不審者、ノーヴェル・マシーに、もう一人の――こっちはスタイルの良い高校生か大学生くらいのコスプレ少女が、剣を使い斬撃を仕掛ける!!




「え、攻撃!? しかもあれって……!!」

「剣か!? いつからここはファンタジー世界になったんだ!?」

「銃刀法違反やないんか!?」


 一番近くで見ているオレ、真一、ヤッタルデーがそれぞれ見た感想を言う――

 公園の向こうは普通に住宅がある日本の風景だが、ゴージャスな不審者や謎の少女たちの服装、そして剣という武器までそろってそこだけ見ればファンタジー映画のワンシーンとも思える――




「なかなかに美しい意匠が施されているで剣でごじゃるな。麿の側室のガイノイドたちにも、あのような美しい装備を与えてみたいものでごじゃる!」

「秀作氏、その赤外線スコープを拙者にも貸してほしいでござる!!」

「安心するでごじゃる、疾風殿。このスコープは録画機能もごじゃるからあとで鑑賞会をするでごじゃるよ」




 野次馬たちの反応もそれぞれだ――中にはのんきな会話を交わしている者たちもいる――

 それらの様子や本来のオレ――神城真一、そしてヤッタルデーの様子を見ながらオレは……ガイノイドのファロとなった自分の状況を理解しようとこころみる――


 だが、ゴージャスな不審者と二人の謎の少女の戦いは続いていく――




 キィン――!!


「不意打ちとは、勇者のすべきことか? ――アニス――」


 少女の剣撃を防いだのは、ノーヴェル・マシーの左手にいつの間にか装着されていた豪華な装丁の盾だった――


「不意打ちででも、おじ様のような大物を打ち倒せるならよいではありませんか?」


 カンカン!! キンキン!!


「レイナ、あなたの書く絵本には不意打ちではなく正々堂々一騎打ちで打ち倒したって書いてくれるとありがたいけど」


「ちょっとそれはいただけない――物語としての面白さと脚色は必要とはいえ、あまりも真実とかけ離れた物語は、魔界では敬遠されるぞ」


「なら、真実を書けばいいでしょ――よく言われるでしょ?」


 勇者アニス――そう呼ばれている少女が大きく剣を構える――!!


「勇者というものは魔王よりも欲張りだってね!!」


 ガキィン! バキン!!


 細かい攻撃からの強烈な一撃で、ノーヴェル・マシーの盾に大きな亀裂が入る!!




「実際に、戦う少女――」


 それは、オレ――ファロも同じ――そう、その姿に……


「あこがれる……」

「美しい……」

「きれいや……」


 オレたちの意見はとりあえず、一致した――




「フレッフレッ♪ アニスちゃん! がんばれがんばれ♪ アニスちゃん!」


 もう一人の方の少女――魔王のレイナちゃん――とか言っていた方は応援要員なのか?

 不思議な踊りを踊りながらアニスに声援を贈っている――


「ふむ、さすが勇者アニス……なかなかに手ごわい――」


 バシンッ!! ガランガラン!!


「きゃっ!」


 ゲームなどで名前を付けるならば、シールドバッシュ? シールドバインド?

 とにかく、アニスの攻撃に合わせて勢いよく盾を突き出して距離を置くノーヴェル・マシー!!

 それで亀裂が入っていた盾はわれてしまう!!


 アニスはすぐに体勢を立て直し、追撃をしようとするが――!!


「ダンジョンコアよ、その力を示せ」


 ノーヴェル・マシーが取り出したのは――オレ――いや、神城真一が渡されたのと同じ謎の宝石――!!


「“余の心をわけてやる――いでよ、ダンジョンモンスター”!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 ノーヴェル・マシーの言葉と共に、光りだしたそれに共鳴したかのように地面が揺れだす!!


「地震!?」

「いや、周りは揺れていない――!!」

「あれは!?」




 公園の地面が隆起していく――!!


「土壌はまあまあ……ふむ、色々と装飾に使えそうなものがあるな――」


 隆起していく地面の上に立つノーヴェル・マシーが指揮者のように腕を振りまわすと、その形が変わっていく――公園内にあった遊具が浮き上がり、変形し、鎧のようにまとわりついていく――


 そして―――――


「ノーヴェル・マシーの心を受け継ぎダンジョンモンスター、ナイトゴーレム!! 誕生!!」




「しゃべったぁ!!?」

「知識や知性があるのか!?」

「生まれたばかりやのに!?」


「そこにいるデカ物! お前と同じようなものだ! 俺はマスターであるノーヴェル・マシーより心と知識、そして戦士としての設定をあたえられている!!」


 そんな声が公園の遊具をまとったでかいモンスター――ナイトゴーレム――から聞こえる!!


 ガシッ!!


 ナイトゴーレムは頭上で手を組むと、それを地面に向けて思いっきり振り落とす!!


 ドゴオン!!




「うわあ!!」

「きゃっ!」

「や、やばい!!」


 バッ!!


 ナイトゴーレムが組んだ手を地面に叩きつけたために大量の土や石、砂があたり一面に襲い掛かる!!




「はっ!!」


 アニスは人間とは思えない跳躍でそれを避け、


「“光の障壁”~~」


 レイナは自身の前に薄い光の幕を出現させる!!


「「バリア!!!!」」


 野次馬たちの前にいた超常自衛隊の二人がそう叫ぶと、彼らの前から先は目に見えない壁ができ、人々を守る!!




 そしてオレたちは――


「お、おおい! 大丈夫か!? ヤッタルデー!!?」


「大丈夫や!」


 ヤッタルデーがその巨体でオレと真一を守ってくれた―――――!!




 タンッ……


「まったく……魔族の心を受け継いでいるだけあって好戦的ね……なら、私も――“ラビリンス”!!」


 軽い音と共にえぐれた地面に降り立ったアニスも自分の胸元から同じような宝石を取り出して、軽くキスをする――




「まさか!? あの娘もモンスターを生み出す気か!?」




 カッ!!


 瞬間、アニスの体が光に包まれる!


 そして、その光に彩られたまま、アニスのシルエットが大きく変化していく――!!




「こ、これはまさかっ! あの伝説が現実に起こっているというのでござるか!?」

「まさにまさにぃ、麿たちが愛してやまぬあの伝説が目前で輝いてごじゃる!!」

「秀作氏の目にもそうとらえられているでござるか!!」

「うむ、間違い無いでごじゃる!! これこそ麿たちが憧れ目指した!!」


「「魔法少女の変身シーン!!」」




 なんか野次馬の一部でテンションが異様に上がっているような……

 まあ、それはそれとして――光が収まり、きらびやかな甲冑と大きな武器を身につけたアニスの姿が現れる!!


 それは正義の魔法少女というよりも、美少女戦士というような姿だ!!




「迷宮武装勇者アニス見参――さあ、私というダンジョンを攻略できるかしら!!?」


 ガンガンガン!!


 姿を変えたアニスは、両手に持つ武器を振り回し、ナイトゴーレムを叩いて叩いて叩きまくる!!


「ぐ、ぐぐ!!」


 ナイトゴーレムの――公園の遊具が変形してできた鎧部分はともかく、他の部分を構成するものは公園にあった大地だ。その部分が削られ、あたりにまき散らされる!!


「アニスちゃんがんばれ~~♪ ヴェルちゃんパパもがんばれ~~♪」


 なんか背中に天使のような翼をつけたレイナがくるくる回りながら、能天気な応援をしている――




「―――――あの翼、どうなっているんだ? あの大きさの翼で小柄な幼女とはいえ人一人を浮かべるなんてことが……可能なのか!?」


 オレ――ファロを作った時、プロペラと羽を使った飛行を実現するために飛行機やヘリコプター、ドローン等の航空力学を勉強しまくっていたからなのだろう――真一がそんなことをつぶやいている……




 ガン!! ゴン!! ギン!! ――ザシュ!!


 ナイトゴーレムは巨体で鈍重――同じ重装備ではあるが素早く動き、斬撃を繰り出すアニスによってあちこちダメージを受けてあちこちに残骸をまき散らしていく!!


「ヤッタルデー! お前は戦えないのか!?」


 降り注ぐ残骸からオレたちを守ってくれているヤッタルデー――だけどヤッタルデーは元々宇宙海賊と戦うバトルロボット――!! 戦うことができればこの状況が好転するかもしれない――


「ヤッタルデーブレードによる斬撃攻撃じゃ被害が大きくなるかもしれないがナイトゴーレムより大きなお前なら組み伏せて制圧することができるんじゃないか!?」


 そう思ったオレは降り注ぐナイトゴーレムの残骸からオレたちを守ってくれているヤッタルデーに向かって叫ぶ――!!


「そ、そないなこと言うてもわいは……」


 表情は変わらないが、言葉の調子でヤッタルデーが戸惑っているのがわかる――


 なんで?


「それは無理でごじゃるよ――小さき機械少女よ――」


 そんなオレたちの話に割り込んできたのは――野次馬の中にいた、変な言葉づかいをする大学生――


「さよう、ヤッタルデーが戦うには志を一つにしたパイロット――大河虎太郎の協力が必要不可欠でござる――」


「うむ、何の制限もなくバトルロボットが暴れられるのであれば、宇宙海賊とかわらないでごじゃる――正義の志を持ったパイロットと共に戦うからこそ、ヤッタルデーは正義のロボットたり得るのでごじゃる」


「え、あ、そっか……そうだよな………で、でも、大河虎太郎が現実にいるわけないし……………」


「それはつまり――!!」


 ヤッタルデーが戦えないことに少しショックを受けたオレの背後で強い意志を持った声がした――


「俺がヤッタルデーのパイロット――同志になればいいんだな!!」


「え? っと?」


 上を向くと、強い意志を宿した表情が見える――――――


「――いや、いいでんがな!!」


「……………?」


 オレの真上でそう言ったのは元のオレ――真一……………えっと、オレってこんなキャラだったっけ?


「ええっと、ヤッタルデーにかかわるものは関西弁で……せやかてヤッタルデー!! いくでんがなヤッタルデー!!」


 真一は、下手な関西弁をしゃべりながら大河虎太郎を真似たポーズを取る!!


「ファロ、お前も一緒にやるぞ!!」


「え? あ!」


 いきなりオレに振られ、一瞬きょとんとしてしまうが………ヤッタルデーが出撃するときには―――――!!



「「「「「ヤッタルデー・スクランブル!!」」」」」



「おおおおおっ!!」


 ………かけ声が多かったような気がするが気にしない! 声援に推され、ヤッタルデーが戦っているアニスとナイトゴーレムに向かって猛進する!!


「ヤッタルデー!! わかってると思うけど敵は手ごわいぞ!!」


「わかっとる!! てかわいとの会話はできれば関西弁でやってほしいな!!」


「すまない!! やっぱそれは難しいでんがな――でも正義の心はお前と同じだ!! それは間違わない!!」


「それもわかっとる!! で、今回わいのなすべきことは!?」


「ナイトゴーレムの制圧!! 暴れられないようにするんだ!!」


「おおっ!!」




 ガガン!! ガンガン!!


 斬撃がナイトゴーレムの体を削る!!


「迷宮勇者の力はこの程度か? アニス?」


「あら、おじ様。そのわりにはナイトゴーレムの力はかなり落ちているようだけど?」


「そんなことはない!! まだまだ元気いっぱいだぜ!!」


「いや、これ以上暴れられるんはゴメンや!!」


「――!!」


 ドドン!!


 ヤッタルデーがナイトゴーレムに対してタックルをぶちかます!!


「おっとっと……」


 ナイトゴーレムに乗っていたノーヴェル・マシーは軽く飛んで地面に着地する――


「悪いんやけどおとなしくせえや!!」


 柔道の寝技のようにナイトゴーレムを抑え込むヤッタルデー!!


「ナイス! デカいの!!」


「ね~~ね~~あなたちゃんはダンジョンモンスターだよね~~レイナちゃんのものになってくれない?」


 アニスやレイナがヤッタルデーに絡んでいる――


 そして……




 バラバラバラバラバラ―――――


 バリバリバリバリバリ!!!!!


「―――――!!!!!」




 複数のプロペラ音と、強烈な光――――――

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