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紡ぎ唄のように - Spinnerlied genannt -  作者: 久郎太
第二幕:華麗なる式典
18/45

18.姿なき者達

姿なき者達の会話


 陽が完全に落ちても帝都は賑わっていた。

 いや、最高潮に盛り上がっていると言っても過言ではない。

 通りにはいつもの倍以上に露店が連なり、路上で吟遊詩人が祝いの歌を歌い、大道芸士たちが競うようにその技を披露する。

 老若男女、大人も子供も笑顔で歌い、踊り、飲み、食い、浮かれていた。

 ふと見上げれば、宮殿は呪術で明るく宝石のように輝いている。

 今頃は、大祝宴会が宮殿の大広間で仰々しく執り行われていることだろう。

 一時間毎に花火が上がり、人々の歓声がその度わき上がる。


 その様子を帝都にある時計台の屋根の上から見下ろす者達がいた。

 しかし、姿は見えない。

 闇に紛れているわけではなく、本当に全く姿が見えないのだ。

 唯一その存在がそこに居ると証明できるのは、姿なき者達の会話がそこで繰り広げられていたから。 


『三十五年か……、前皇帝の在位は随分と短かったな』

『あほぉ、普通だろう? 即位したときの年齢で在位なんざぁ左右されるだろう? それに、人間の寿命はオレらとは違うんだからなぁ』

『それは、お前に言われるまでもなく判っているが?』

『判ってるんだったら、口に出すなよ』

『……』

『それにしても、今代の皇帝は良い時期に即位したなぁ』

『そうだな、お前の光弾をはじくではなく消滅させたからな』

『あれにはオレも驚いた。 まさか、そこまで完璧な守護のモノが用意出来てたとは思わなかったからなぁ』

『最初に砕けた【光の盾】にも驚いたが、それ以上の【不可侵の鎧】を発現させるほどの力を持った者が現存していたとは』

『まぁ、盾にしろ鎧にしろあれは作り方を知っていても込められる力によって左右されるからなぁ。 ほんとびっくりだ』

『そういえば【始原の歴書】が消失しているとはどういうことだ?』

『ああ、それ? まぁ、何とかなるっしょ、とりあえず書魂ブックソウルの無事は確認したし』

『……何時の間に』

『なんだよぉ? オレだってやる時はやるぜ?』

『……』

『なんだよぉ? その疑う眼差しはぁ?』

『はぁ』

『ったく。 ……といっても、このままじゃちぃっとまずいがな』

『どうするつもりだ?』

『……、とりあえずなんとかするしかないだろ? あれが、無ければ如何することもできないだろしな』

『お前のことだから、無茶をしないだろうが、過度な接触は避けろよ?』

『わぁってるって、接触は最低限に止めるよう努力・・するさ』

『そうしてくれ』

『んじゃ、さっそく行動しますか。 お前さんは、何時・・ものお勤め頼むぜ?』

『了解した。 契約の更新が無事に終わったしな。 ……だが』

『ああ、判っている。 ちょっと世界全体に嫌ぁな感じがただよってるからなぁ』

『【奴ら】も活発になっている。 下手をすると越えてくるモノも出てくるかもしれん』

『引き寄せるものが今この国にあるんだろうぜ、きっとなぁ』

『やな感じだ』

『……大丈夫だと思うが、お前達・・も気を抜かずに十分気をつけろよぉ?』

『ああ』


 それを最後に、姿なき者達の会話は途絶えた。

 聞こえてくるのは、夜空に弱く瞬く星と満月の下、祝祭に酔いしれる人々の浮かれた喧騒のみ。

 静かに、夜は更けていった。

















これにて第二幕終了です!

今回は、ちょっと趣が違う書き方に……、会話ばかりで読みずらかったすみません(滝汗 それに、エピローグなので文章かなり短かったですorz

次回は、幕間2話(予定)後に第三幕開始となります!

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