10.皇太子の私室にて
ネーヴェル帝国 皇太子 視点
明日、否、もう今日か。
皇太子として、それなりに帝王学を学び、剣術を極め、呪術に精通してきた。
その成果を発揮する地位に就くこととなる。
気負いはないと思う。
皇帝であった父が、数年前体調を崩してから政務はほとんど私がこなしていたのだから。
皇帝の座に就いたからとてやることは変わらない。
この地で唯一の国家。
他国に攻められるという脅威はないが、大なり小なり内乱が絶えない。
その内乱の理由も実にくだらないものばかりだ。
先の戦もそうだった。
ばかばかしくても彼らに正当性がないため鎮圧せざるを得ない。
皇帝である父の命に従い私は皇太子である私直属の三騎士団を率いて内乱の鎮圧に向かった。
私は、敵を少々侮っていた。
その驕りと油断がいけなかったのか、命を落としかけたのだ。
幸い、それを察知した二人の騎士が私を助けその後危機を乗り越えるまで守り通してくれた。
その功績を称えて私が皇帝に付くと同時に二人には私の剣と盾の両翼の長になってもらうことにした。
むろん、正規の手続きを得て彼ら二人を皇帝直属の騎士団である黒と白の団長に推した。
周りからは、思ったほど反発はなかった。
若干数人の元老院と軍関係の者たちの反応が気になったが、反対はしなかったので心に留めておく程度にして追及はしなかった。
白騎士団の団長に、ゲルプターク・ヴェルツ=フライヘア・ホイティエ
黒騎士団の団長に、アーヴェンツ・シュワート=フライヘヤ・ルフィト
二人とも私と同年代だ。
私とともに彼らも即位式のあと騎士団長任命とともに士爵の称号を拝命する。
ゲルプタークは、最近になって認知されたヴェルツ公爵の庶子。
アーヴェンツは、北方のシュワート辺境伯の三男。
まだ、二人とはあの時の数刻ともに行動したのみで人柄などわからないが、いずれ私の腹心の臣下となってくれることを願ってやまない。
拝命式でその片鱗を窺うことができる。
忠誠のカフス
捧げられるそのカフスによって彼らの忠誠心が試される。
彼らは、私にどんなカフスを捧げるのだろうか?
この因習を真に理解しているものはあまりいないだろう。
父が在位中に捧げられたカフスの記録を見てもそれがはっきりとしていた。
私は、皇帝となる。
彼らは私を支える両翼になってくれるだろうか?
やっぱり、幕間はいりました(汗 話の流れ的にはやっぱり入れておきたかったので……
(掌編感覚なのでいつもより文章短めです)
幕間はこれを入れて後1話入る予定です
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※お返事とても苦手でありきたりのお返事しかできない自分が恨めしい