旅人
旅に出た
風に向かって旅に出た
行く先も決めず
宛もなく
何も考えずにいたら
潮の香りに誘われて
海辺に着いた
胸のすく景色に
見惚れていると
すぐそばに旅人がいた
その人は無口な人で
こちらから声を掛けても
そっけないそぶりで
返事もなかった
少しムッとして
海の向こうに目を向け
人生の来し方を眺めた
また旅人に話しかけた
砂浜に足をさして
波にさらされないように
してるふうに見えた
やはり返事はなかった
最後に一言投げかけた
僕らは旅人ですね
あなたには帰るところはありますか
僕にはあるかもしれません
僕は流木みたいなものですから
読んでくださりありがとうございました。