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天使の祭壇

俺は周囲を確認しながら歩く。

確かにここはseed

俺はシルクのいるブリッジへと歩いている。


あれは、どういうことだ、夢にしては鮮明過ぎる。

「考えても分からないか」

自動ドワが開き、中に入ると、さも当然のようにシルクは制服姿で艦長のシートに座って作業をしている。



「もう、歩いて大丈夫なの?」

こちらが声をかける前にシートが回転し、振り返る。

髪はロング、体は極度に強調されているわけでもないが、大人の女性を感じさせる。

召喚獣としてのいつも着ている服も良いがスカートが短く制服も目のやり場に困る。

そもそも、どうして制服が、こんなに短くなっただろう。



「あ、ああ、大丈夫だ、問題ない。」

まずい、目が合わせられない。



「はぁ、あなたが問題ないという時は何か問題があるのよ。」

小さくため息をつき、頭をかきながら、こちらへ歩み寄ってくる。




正直、なんでこんな高位の召喚獣が俺と本契約しているか正直謎なんだが。

「流れ」を司る召喚獣、召喚石は水晶

10年も一緒にいるが全く分からない部分が多い。



「なに?どうしたのよ?人の顔見つめて?」

考えていたら、いつの間にか見つめてしまって、いたらしい。

「ご、ごめん、なんでもないよ、気分悪くしたかな?」

慌てて顔を反らす。



「え?、全然、そんなことで気分悪くならないから大丈夫よ。」

慌てて手をブンブンと振っているシルクの顔が少し赤い。

「恥ずかしいけど、私はもっと、あなたに見てほしいし・・」



「? なにか言った?」

声が小さくて俺には良く聞き取れなかったが。

「なんでもないわ、それよりこれ」

シルクは振り返ってしまい離れていく、また俺(艦長)の席でなにか操作している。



後ろのドアが開きファランクスが浮いている。

「あれ、さっき知らないって言ってなかったか?」

シルクは再び振りかえり俺の方へ歩いてくる。

「・・・これ、大破した状態であなたの側にあったから直しておいたわ。」

ファランクスは黒いボディに金の縁取り、中央の紅い石も綺麗に光っている。

俺が手をかざすと、俺の横、いつもの定位置で浮いている。

「マスターヲ確認、再ビ護衛任意ニハイリマス」




シルクは右手の人差し指を右の頬にトントンと当てて、首を傾げながら聞いてくる。

「ねぇ今、ワンワン召喚できないでしょう?」

「え?・・・・本当だ」

繋がりはある、でも自分の内側に意識を向けてもマリードが反応しない。

「詳しく話してくれる?」

・・・・・




今まで起きたこと、事細かく説明してみたが、シルクはしっかりと聞いてくれている。

「信じてくれるのか?」

「あなたは嘘を言っているの?」

シルクの目が鋭くなりこちらを睨んでいる。

「いや、そんなことないよ」

「でしょうね、あなたは私にそういった嘘はつかないから」

慌てて否定したらシルクの睨みが消えている。

「私はあなたの全てを肯定するわ、以前言ったでしょう?」

「そうだったな、悪い」

嬉しいことを言ってくれる。



「違うわ、こういう時は、ありがとうね」

シルクの人差し指が俺の唇に触れる。

「ふぇ?」

見つめられ、今度は顔を覗き込まれる。

息がかかりそうだ。



「こういう時は、ありがとう」

「・・・そうだな、ありがとう」

シルクは笑み、姿勢を正した。

「それより、謎が多いわね」

高位の召喚獣のシルクでも分からないのだろうか?

「まず、未知の星への転移と帰還、若返り、三体目の本契約、現状ワンワンとアリアさんの召喚不可能、転移先での私の念話が不可能な事、私にも分からない事が多いわね」



シルクは再び人差し指を頬にトントンと当ててグルグルとその場を回っている。



確かに、召喚獣と本契約していれば、どんなに離れても意思を届けることができる。

「かなり遠い所に飛ばされたのかしら、とりあえず、また呼ばれたら、ファランクスからこの船に信号を飛ばして」

「分かったよ、何種類か飛ばしてみるよ」

シルクはすぐ横のパネルを操作している。

「これ回復薬、全部使ってしまったんでしょう?」

テーブルから出てきた回復薬を取り振り返る。

「え・・・」



振り返った所に誰もいない、先ほどまで居た艦長がいない、ファランクスも消えている。

回復薬が床に落ち割れる音が誰もいないブリッジに響く。

---------------------------------------------------------------------------



アリアは自分の膝枕で寝息を立てる艦長を見つめている。

先ほどファランクスが艦長の横にやってくると、私たちを不思議な光で覆った。

その光の中でなら闇が退き、地面が見える。

「クゥーン」

鼻を鳴らすワンちゃん

どうやら出てこれたようだ。

アリアの横で伏せているワンちゃんを顎を撫でてあげると満足そうだ。

それにしても、回復魔法の効き方がおかしかったわね

突然完治したように見えたけど。



「ん・・」

小さなうめき声、膝に違和感を覚えアリアは視線を落とす。

「起きた?」

「ん、え?アリア?」

顔に手を当て拭う

「体が大丈夫なら、どいてくれる?」

「あ、すまない、面倒をかけたな」

上半身を起こし周囲を観察するが、ファランクスのシールド内にいること以外、分からず周囲は真っ暗だ。

マリードが鳴きながら鼻をすり寄せて撫でてやる。

「大災害の傷跡に落ちたのよ」

「大災害の傷跡?」

アリアは向かいに座る、スカートから覗く脚は綺麗で傷跡はない。

服の血は付いたままだが、白い服の損傷はなくなっている。

「?、良くは知らないわ、昔、世界が滅亡するほどの災害だったとか」

俺の視線に気づいたのかキョトンとしたが話し、を進めてくれる。

「この中では何故か松明の光も飲み込まれてしまうのよ、それより・・」

「どうしたんだ?」




アリアはまじまじと俺を見つめている。

「確かに回復したけど、治りか早すぎるし、なんで若返ったの?」



自分の手を見ると、確かに、また小さくなっている15歳ぐらいだろうか

「まじか、訳が分からない、てかさっきまでブリッジでシルクと話していた時は問題なかったはずだ」

「ブリッジ、シルク?」

アリアは首を傾げる。

「ここにはいなかったの?」

「そのはずだ・・・」



アリアに簡単に説明する。

「空の上にそんな世界があるのね」

見上げるが空も見えず、暗黒の広がる世界

「艦長が召喚されたことは確実ね」

「なぜだ?」

俺はアリアに向き直る。

「あなたの身体はずーとここにあったわ、若返ったけど」



「その本契約の重複のせいで魂が裂けているのかも?」

「それでも体が二つ存在する理由がわからない。」

アリアは立ち上がる。

「ここで考えても分からないわ、取り合えずここから出ないとね」

「それもそうだ」

立ち上がるとマリードが横に並ぶ。



「ファランクス」

服を直しながらファランクスの報告を聞く。

「現在、周囲ニ未知ノ、エネルギーガ満チ、シールド展開中」

紅いレンズが光る。



「そのまま維持できるか?」

「問題アリマセン」

「ところで出口あるのかしら」

不安な事を・・・

だがたしかに、どうしたものか。

周囲はただ暗黒。

「とりあえず、周囲を探索してみよう。」

「落下時ノ状況カラ、艦長ノ正面ニ、落チテキタ崖ガ存在スルハズデス」

「なら岩肌に沿っていった方がいいわね、この大穴は最大級の穴で直径100キロはあるはずだから」

下手に動くとそのまま遭難して、終わりということか。




少し歩くと直ぐに岩肌に当たった。

岩肌を左手に、歩いていく。




「ねぇ、星の海ってどんなところなの?」

「移民船ってどんなものなの?」

「艦長の生まれは世界はどんなところ?」

「艦長は本当はいくつなの?」

「シルクは恋人なの?」

「どんな仕事をしているの?」

初めはアリアからの質問攻めを受けていたが、段々疲れたのか静かになってしまった。



「大丈夫か?」

「無理、疲れた、お腹すいた」

「クゥーン」

アリアは岩肌に手をかけ寄りかかり、マリードは座り込んでしまった。

時間の感覚が分からない。

暗いだけでこんなに感覚が分からなくなるのか。



「艦長、休憩ヲ取ルベキデス」

「だな、少し休憩しよう」

アリアとマリードが仲良く喜んでいる。

いつの間に仲良くなったのだろう。



身体は若返ったが、体力はそのままだな。

座りこみ、非常食のレーションを取り出す。

「あとどのくらいある?」

「残念ナガラ、アト一食分ニナリマス」



そういえば回復薬受け取れなかったんだ。

あと1本あるが慎重に使おう。

シルクの顔が浮かぶ、心配しているだろう。

「そうだ、ファランクス現在位置をシルクに発信してくれるか?」

「3パターンで実行済ミデス」

優秀な装備だ。

「ファランクスは優秀ね、これも美味しいし」



「そうか?昔は食べられたものではなかったが」

「そうなの?」

昔は頼まれても食べる気にはならなかった。



「そういえば、この星は隷属、使役契約っていうのがるのか?」

「卑劣なものよ、しかも契約ではないわね」



シルク曰く召喚獣を道具として使い捨てにするものらしい。

戦いで使われのなら、まだマシだが、人によっては慰み者にされる場合もある。

「最低だな」

「そうね、人間の中でも魔術師が何より偉いわね」



魔術、俺たちの言う魔法と同じなのだろうか?



「魔術は限られた人にしか伝えられていないわね、理由は分からないけど」

一部が独占しているということか。

魔術がそのまま権力になる。

召喚獣を手に入れれば魔術が使えるらしい。

だから命がけでも召喚獣を従えたいのか。

「そういえば契約を破棄できる道具があるとか言ってなかったけ?」

「私の住む村にあるわ」

なら、目的地はアリアの住む村だな

「とにかく、出口を探さないとな」



その後しばらく休んでから、再出発した。



「あれ、なんだこれ」

不意に左手のあった岩の感覚が無くなった。

「空洞ガアリマス・・・奥ニ、人工物ヲ、確認シマシタ。」

アリアを見ると頷く。

「行ってみましょう。」

しばらく歩くと突然、シールドの外の周囲の岩肌が見える。

振り返るとシールドの外は暗黒が広がる。

俺の立っているところが暗黒との境界線だったのだろう。



「やっと出られた、みたいね」

周囲は岩だが暗黒より全然いい。

ファランクスもシールドを解除している。

「もう少し先に人工物があるらしい、警戒していくぞ」

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また暫く歩くと風格のある巨大な白い建物が見えてきた。

「天使の神殿・・・」

アリア?

「天使の神殿?」

「大災害の遥か昔にいた天使様達の神殿よ」

こんな地下深くに、突然現れた巨大な建造物

何者も寄せ付けない神聖さを感じる。

「神々の時代の産物」

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