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本契約と仮契約

「ここってどこかな?教えてくれると助かるんだけど?」

「お前は私を隷属させるために来た魔術師ではないの?」

少女には驚きの表情が浮かんでいる。


「魔術師ってなんだ?・・」

魔術とかあるのか?

「魔術師ではない?」

「そもそも魔術を知らないよ。」


俺でも魔術使えるようになるのかな?


「確かに・・・お前から全くオドを感じない魔術の類は使えないわね」

「え、」

そっかーいきなり、使える可能性を否定された。

手で目を覆い、うなだれる。

確かにシルクやマリードと契約しても魔法は使えるようには、ならなかったし仕方ないか。


いやいや、今はそれどころでない。

少女に向き直る。

「まぁ・・・宇宙で作業してたんだけど・・・気が付いたらここにいたんだ。」

「ウチュウという所は知らないけど、ここはアルシア王国とヤヌス王国の間にある幻想の森の海竜湖よ」


・・・なにいってるの?分からん地名が出てきたよ。


予測はしていたが・・・混乱してきた。

「アルシア王国?ヤヌス王国?」

「王国を知らないの?」

少女の額に皺が寄る。


要するに俺はこの広い宇宙で迷子ということか・・・

しかも体が若返っている、若返っているのはいいこと(?)だが、違和感がある、慣れるまで時間がかかるな。



そもそもなんで若返った?

そもそもなぜ転移している?

転移の前兆が全く感じられなかったのはなぜだ?

そもそも、ここは、同じ世界なのか?

それとも異世界なのか?

どちらにしろ帰る手段はどうする?

「あの・・」


シルクとの契約による繋がりは感じるが、連絡が取れないなぜだ?

ファランクスの機能が回復してどのくらい生存できる?

そもそも先住民の存在は?

「あの!」

「んあ?・・悪いなんだっけ?」

怪訝そうに俺を見つめてくる少女


「おまえ・・・あなたは私をどうするつもりなのですか?」

「んーどうもこうも、君をどうにかするつもりはないよ、襲ってきたのは君」

少女の疑いの目が少し和らいだか?


「あなたは私を使役するのが目的ではないの?召喚獣・・・従えているわよね?」

「いや、いきなりここに飛ばされてきただけだから・・確かに契約はしてるけど・・・俺は心配させる前に帰らないと」


そもそも帰り方がわからないが・・どうしたものか・・

「私を使役させる気はないの?」

「使役の方法を知らないよ」

そもそも迷子です。

使役ってどんなことだ?

召喚の契約とは違うのか?


「私を使役して、その力で人間の争いに使うのでは?」

いや、私は迷子です!

「きっと騙して私に、いやらしい命令を・・心までは屈しないわ!」

「いやだから迷子だからね!」

あ、声に出ちゃった。



「落ち着いた?」

「ええ、ごめんなさい」

少女は立ち上がりスカートの埃をパッパと払う。

先程の脚は綺麗に治っている、良かった。

「貴重な回復薬を狼使ったの?」

「え?普通だろ?家族だし」

彼女から疑いの色が消え、目を見開き驚きの色に変わる

「家族・・・」


彼女は俺をまっすぐ見つめる。

よしてくれ、俺みたいな、おっさん見つめないで。

あ、今は若いのか。

「あ、私にも使ってくれたの?」

「重症だったし、女の子に傷が残るはダメだろう」

自分の右足が治っていることに気が付いたのだろう。

「・・そっか、ありがとう」

「全身の細かい傷もない襲われる前の状態みたい」

自分の太腿をスカートをめくり確認している。


・・・あんまりスカートをめくらないでね、オジさん気まずいからね!

少女も気が付いたのか慌ててスカートを直し向き直る。

「あなた、これから、どうするの?」


途方にくれてます。


「帰り方がわからないから困っているよ。」

少女は俺を観察しながら、

「なら、今、私、結構危険な状況なんだけど・・・あなたのワンちゃんと同じ契約を私にしてくれない?」

「はい?」

少女にまっすぐ見つめられている。

身長は160ぐらいか今の俺より少し低いな。


「私を逃がしてくれれば、帰るの協力するわ」

「どういう事?」

情報集めとか、だろうか。

「私の村に送還術の魔道具があるから」

「送還術?」

聞いたことない単語だ。


「送還術は対象を本来あるべき所にかえす失われた魔法よ」

便利な道具があるものだな。

「で、助けてくれないの?」


そんな真直ぐ見ないでね、将来有望な顔つきだ。

「この狼としている契約は一度すると破棄できないぞ、そもそも逢ってお互い、なにも知らない」

「そうね、でも力で屈服させられ、無理やり使役されるより、何倍もマシ」

切羽詰まっているか。


彼女が弾き出された森が騒がしくなってきている。

数名の男の声。

「時間がないの助けると思ってお願い」

少女は手お合わせ切望する・・この前シルクに怒られたばかりなのだが・・・

「知らない人間の玩具になりたくないの!」

「仕方ないか・・・いいよ仮契約なら」


仮契約なら怒られないだろうし、シルクは女の子に優しくしろと、いつも言ってるし大丈夫だろう。

召喚石をファランクスに隠せば見つからないだろう。

少女が発光し、光が収束する。

桜色の球が一瞬、彼女の胸に見えた。

「え?これ本契約?」

「本契約?良く分からないけど、大丈夫よ、私の村にどんな契約も破棄できる魔導具もあるらしいから」

いろいろあるのね。


「私の名前はアリアよ、これからよろしく艦長さん」

「なぜアリアさんが俺を艦長と呼ぶ?」

「さっき魔法の盾がそう呼んでたでしょう?」


「ああ・・・ファランクスのことか、良く聞こえたな」

噂をすればファランクスが飛んでくる、自己修復が終わったのか傷跡がなくなっている。

「アォーン」

マリードも駆け寄ってくる、こちらも大丈夫のなようだ。

個体名アリアトノ本契約ヲ確認」

「本契約・・・やっぱり」

さっき俺は仮契約したつもりなんだが。


ファランクスはアリアを認識してスキャンしているのだろう、アリアは気にすることなく、しゃがみ足元に来たマリードを撫でている。

「ワフワフ」

マリードも尻尾を振って素直に顎を撫でられている。

「本契約ってどういうことだ?」

「私は本契約とか仮契約とか知らないわよ」


こちらでは契約方法が違うのか?

「私の知っているのは隷属や使役の契約、召喚者の玩具になり果てる契約だけよ」

契約の鎖で縛り意志を奪い、自由を奪う契約、身も心も奪われる。


「それより逃げないと」

そうだ、アリアは傷こそ治っているが満身創痍の状況で、いきなり襲ってくるほど追い詰められていたんだ。

「私を使役させようとする一団が来るわ、かなり引き離したけど」

「俺が契約したんだから大丈夫じゃないの?」


アリアが首を振る。

「魔術師はプレイドが高いの、横取りされたと知れば」

「そんな、いきなり襲ってこないだろ・・・」

あー、そういえばこの子も(アリア)もいきなり襲ってきたましたね!

「接近スル人型生命体ヲ確認・・・」

「興奮状態・・提言・・未知ノ戦闘ヲ避ケ、現状カラノ撤退ヲ推進」

「さっきも言ったけど、大丈夫だろう?いきなり襲ってこないだろ?」

ファランクスも人工知能のくせに心配性だな。


木々の間から三人の男か飛び出してくる、先頭の皮鎧を着た男が剣を突き付け・・

「ぶっ殺してやこのアマ!」


うん、ダメだ、あの顔は、逃げよう、まだ距離があるし・・・逃げよう!

「戻れマリード」

マリードが俺へ走り寄り、飛び掛かり光の粒子となり消えていく。


「艦長さん、どうするの?」

「まだ距離がある、森に入れば、逃げきれないか?」

追ってきている人間は三人、走ってくるが、あの速度なら・・・

森に向かって走り出す。


「なら私も一旦戻ってるわね」

「戻る?どこに?」

目の前のアリアはマリードと同じ粒子になり消えていく。


「まじかー、俺一人じゃないかー」

ファランクスが目の前に移動してきた。

「お前だけだよー」

「狼ハ艦長ノ指示デス、アリアハ消耗シテイルト推測デキマス」

適切な指摘だね、「俺が戻れ」っと言った訳だし。

ぼやきながら走り出す。



森に入って直ぐにファランクスが俺の前に移動する。

「シルードヲ展開シマスカ?」


確かにさっきから枝が当たって痛いのだ。

「大丈夫だ、展開したら俺が通ったとこだけ道ができて分かっちゃうだろ」

ファランクスのシールドを展開したら、シールドに当たる枝がことごとく折れて、

道ができて、何処へ逃げたか分かっちゃうだろ。

「了解シマシタ」


それにしても手付かずの森だな、森の中は暗く走りにくい。

男達の声もまだ聞こえる、森に入ってきているのだろう。

暫く続くかと思った追いかけっこだったが。

「出口?」

前方に木々の間から光がさす、森の出口だ。


「警報!」

(ダメ!)

「え・・」

ファランクスとアリア声がしたが少し遅かった。

視界が開け、広がる青空、自分の足が踏みしめるはずだった大地はなく、大きな暗黒が広がる。

「まじかー」


「展開シマス」

ファランクスがシールドを展開し床代わりになっている。

「助かったよ、ファランクス」


下まで何mあるの?向こう岸も底も見えない。

自分が居た森より先は暗黒、地平線まで暗黒、底も見えない地の果てを、想像させる。

「なんだこれ・・・」


その光景に圧倒されていると、ファランクスの警報で現実に戻る。


「あれファランクスの飛行機能って精々地面から精々2メートル・・・」

「本機ニ高度ナ飛行機能ハアリマセン」

ですよねー


「落下再開シマス」

「ちょ、うわー」


やばい、暗黒の中に落ちていく。

暗黒の中は俺を乗せいるファランクスも自分の手も見えない。

「どうする、冷静に冷静に、そうだ」


後方の崖を使えば、物理的な減速ができる。

「ファランクス悪いが、崖にお前を当てて減速しよう。」

「スデニ実行中デス、岩ガ、非常ニ脆ク、ブレーキニ、ナリマセン」

確かに岩にこすれる音はしている。

なにか他の方法はないか・・・


「旧型だが科学の結晶のファランクス!どうにかなるよな?」

そうだこの子は科学と魔法の結晶!


人類の科学の結晶に不可能なんてない!



「神ニ祈ッテクダサイ」

「・・・まじかー」

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「私が外で作業なんてさせたから、どうしよう、このまま目を覚まさなかったら私は・・」

聞きなれた声だ、シルクか?

また泣いているのか?

いつもいつも、本当に泣き虫なんだから。

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「ここは?」

そこには見慣れた天井

体を起こし見渡す。


seed内の殺風景な俺の部屋だ。

体も40歳のおっさんの体だ。

「夢?」


誰かが走ってくる、部屋の自動ドワが開くが、それを待てずドアに手をかけ、無理やり開ける。

「起きた!!?もう何してるのよ!」

そこには長い銀髪をなびかせ一人の女性が走ってきた。

シルクだ。


はじめは姿など無かった意思だけの存在だったのだが、契約の際なぜか俺好みにの体系になったと言っていた。

20代半ばか、確かに美しい、これで年を取らないとか不公平だ。

「えっと、どんな状況だ?」

「大丈夫?船外作業中に突然意識を失ったのよ」

船外作業・・・あぁ修理のことか・・え?


「え、俺、崖から落ちたのでは」

「崖?本当に大丈夫?」

シルクはおれのベッドに手をつき顔を覗き込んでくる。

「しばらく休んで・・私の契約者がそんなのことでは困るわ」

「すまない・・・いや本当に・・夢だったのか?」

自分の腕は太く鍛えた身体だ、古傷もしっかりある。


「そうだファランクスは?」

「・・・それが・・見当たらないの・・・私のを使う?」

ファランクスは本来、二枚の盾で構成され、防御、支援型、攻撃型に分かれている。

それをシルクと分けて使っていたのだが。


「いやいいよ、攻撃型があっても仕方ないから」

「とにかく、食事を運ぶから、そのまま寝ていて、数日中には調査宙域につくだろうから」

シルクに、いつもの元気がない、相当心配してくれたのであろう、そのまま部屋を出ていった。

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部屋をでて直ぐの壁に寄りかかる、反対側の窓には広大な星の海が広がる。

「なにがどうなっているのよ。」

私と艦長は十年以上一緒にいるが、こんなことは無かった。


「本当に何があったのよ、お願いだから心配させないでよ。」



6番ドッグでは大破した艦長のファランクスが修理されている。

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また編集次第投稿させていただきます。


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