夕暮れ横丁
さあ、いらっしゃい、ここにはいろんなお菓子があるよ。
食べると気が違うお菓子、食べると小さな童になって過去へ戻れるお菓子。
食べると、幽霊になって空を飛べるお菓子。
でも気を付けないといけない。
お銭は、君の体の魂だから。
これは、「天罰お菓子」の代償だよ。
お寺のお坊様に化物が取り憑いたという。
夜な夜な行灯の油を舐めるお坊様。
旅の雲水さんがやってきて、古庫裏婆がいるというので、
欄間の天井を剥がしてみると、山姥のような婆様がいたという。
それを見事に打ち倒すと、お坊様は前と同じような普通の有難いお坊様に戻ったという。
鬼やらいがやってきて、鬼を退治していきます。
あの家、規制線の貼ってあるあの何か事件のあった家。
あの家に入って行って出てくるころには、墨だらけの服になっていました。
通り雨。稲妻。
晴れた頃には、花も咲くだろ。
涙を隠して、鬼やらいが去ってゆく。
やっぱり、誰か死んだんだ。
通り雨、雷雨、雨が降ったあとは、紫陽花に雨の雫。
通りの向こうで、小鬼が雨に降られて、ほうほうの体で逃げてゆきます。
死ぬぞ、と云いながら、狐面の少女が遠くの雨雲を見ています。
もうすぐ夏です。
あめふらしが、櫻の枝を片手に死んだ子を探しています。
喰らう気だ。
懐かしき懐古は愛おしきかな。
人面相ができて宿場町に来た。
鬼やらいに出会えると思って。
人面相はぶつぶつと死ね、死ねと呪いの呪詛を唱えている。
見知らぬ人がそっとその人面相を触った。
すると、ふと、身が軽くなって人面相は消えた。
ほっかむりをつけた顔の見えない人だった。
気をつけよ、とそう言って鬼やらいは去っていった。
夢の幕間。
押し入れから墨まみれの牡牛たちが顔を突き出している。
油まみれになって、舌をつきだしてモーモー泣いている。
液体が垂れて下の布団にかかっている。
悪夢だ、と思う前に、ぱちんと爪を切る音みたいなのがして目が覚めた。
右手がぬるりとした。そこにはたしかにタールで汚れた右手があった。
そこの神社はおかしかった。
鳥居のしたにはいつも首を吊った死体がぶら下がっていて、
境内は、殺人事件があったかのそうに血まみれなのだ。
それが見えるのは、どうやら私だけらしい。
友人が笑顔で、行ってはいけないよ、と言ったのに、その神社の祭りに行ってしまい、
行方不明になってもう一年ほど経つ。
宿場町に、夏が来た。
入道雲が美しく切なく、胸を締め付けるように、いらかの群れの上に鎮座している。
燕が低く飛んで明日は雨だと告げる。
ここでは、時が止まったかのような、錯覚を覚える。
古い想い出、懐かしき懐古の旅。
さあ、明日はどこにゆこう。
秋になったら、彼岸花を手折って
お地蔵様に供えてやろう。
秋祭りで、りんご飴を食べるのだ。