もし? あの時、僕は彼女を助けられていたら?
僕の愛する彼女が交通事故で亡くなってしまった。
彼女が横断歩道を渡っていると? 高齢者が乗った車がブレーキと
アクセルを踏み間違って、凄いスピードで彼女とぶつかる。
彼女は、即死。車を運転していた老婆は? 大怪我をしたものの
命には問題ないという事だった。
高齢の女性は? 80歳を超えているため。
刑務所に入ることはなかった。
もちろん裁判にはなったのだが、高齢の女性は無実を言い放ち。
裁判は時間がかかっている。
人を轢き殺しておいて、【無実】を訴えるこの女性に僕は悪意を感じた。
僕の彼女は? もう戻って来ないし。
彼女は、生き返らない!
少しでも、悪いと思うなら? 事実を言って、罰を受けるべきだ!
でも? この女性は、自分の罪を認めない。
人の考えを持たない人間は、人間と呼べるのか?
僕は、この女性を殺したいほど憎いというのに、、、。
この女性には、罪の意識が欠けている。
罪にならないで、この女性を殺していいのなら、、、?
僕は、迷わずこの女を殺すだろう。
・・・といっても僕の彼女はもう戻ってはこない。
僕と彼女との出会いは? 高校から一緒になって。
高1の時に、初めて同じクラスになった事から仲良くなった。
元々は、たくさんいる友達の一人だった彼女。
何時からなのか? 僕にもはっきりとは覚えてないのだけど?
彼女と二人で居る事が、僕の中で当たり前になっていった。
彼女と一緒に居ると? 僕も笑顔が増えた気がする。
彼女は? よく笑う女性だったから。
天真爛漫で、思った事はズケズケ言うけど、、、?
彼女の言う事は、信頼できたし!
何よりも、僕の支えになってくれた。
どんな時も、僕を信じて! 着いてきてくれた。
今度は、僕が彼女の支えになって行こうと心に決めたというのに。
もう、彼女は居ない。
・・・もし? 彼女が事故に遭う前に。
助ける事ができるのなら? 僕が彼女を助けると誓う!
そんな時?
僕の前に、大きなカエルが現れる!
『お前は、もう一度、戻りたい時間があるのか?』
『・・・えぇ!? 誰が喋ったんだ?』
『ココだ! ここだ! 俺が今! 喋ったんだ!』
『・・・かっ、か、カエル!? カエルが喋ったのか?』
『お前は、しつこいやつだな~! そうだ! 俺が喋ったんだ!』
『・・・でっ、でも? なんでカエルがそんな事を言うんだよ!』
『何故なら?“俺は時間を戻せるカエルだからだ!”』
『・・・“時間を戻せるカエル?”』
『あぁ、お前は? 時間を戻したいんだろう!』
『・・・あぁ!』
『その願いを叶えてやる前に、俺をココの近くの沼に返してくれ!』
『何処の沼だよ。』
『“死沼”だよ!』
『・・・あぁ、あの沼か? いいよ! 僕が君をその沼に返してあげるよ
その代り、約束だぞ! 僕を彼女が死ぬ前の時間に戻してくれ!』
『分かった! 約束だ!』
『よし! じゃあ~早速! その沼に行こう!』
『あぁ!』
僕はカエルを手に掴んで、そのまま“死沼”に向かった。
歩いて、10分ぐらいの所にある近くの沼だった。
『ありがとう、お前のおかげで、元の場所に戻れたよ。』
『いやいや? お礼はいいから、早速! 僕の時間を戻してくれ!』
『よし! いいだろう! 目を瞑れ!』
『・・・あぁ、』
あっという間だった、僕が目を開けると、、、?
彼女が横断歩道を歩きだそうとしている。
僕は直ぐに、彼女の名前を呼んで渡らないように止めた。
『雪那! 止まれ! 横断歩道を渡っちゃダメだ! そこで待ってて!
直ぐに、僕がそこに行くから!』
『・・・えぇ!? 優成? なんで、ココに居るの?』
『いいから! 雪那は、そこを絶対に動くなよ! いいな!』
『・・・ううん。』
僕と彼女が、話しているうちに、、、。
あの高齢者の乗った車が凄いスピードで走り去っていった。
木や物を撥ね飛ばしながら、最後は大きな木にぶつかって車は止まった。
そう、彼女は生きている。
運転していたあの高齢の女性は即死だったらしい。
僕は、彼女の元に走って向かい強く彼女を抱きしめた。
『・・・よ、良かった、無事で。もう会えないかと思ったよ。』
『もう! 優成は、大袈裟なんだから!』
久しぶりに見る彼女を見て、僕は涙が止まらなかった。
『・・・どうしたの? 今日の優成おかしいよ?』
『いいんだ! いいんだよ! 本当に無事でよかった。』
『そんなに、優成が私の事を心配してくれて、嬉しいけどね。』
『・・・・・・』
・・・ただただ、僕は彼女を抱きしめていた。
もう、絶対に彼女を失いたくない!
そんな想いが、僕の頭を駆け巡る。
時間を戻してくれたカエルには、本当に感謝しかない。
こうして、彼女が死なずに僕の傍に居てくれるのだから。
『ありがとう、カエル!』
*
・・・その頃、あのカエルは?
『俺がこの“死沼”に戻れたという事は? あの彼女やあの男も何時か?
この沼に引きずり込む時が来る! 確実に男の寿命は彼女のせいで削られた。
本来死ぬはずの、あの女性を生かした代わりにあの老婆の女性が死んだ。
新しい彼女の寿命は? 80過ぎまで生きる事になっている、どうやって
回収するか? あの男の家族達の寿命も縮めて回収するしかない!
あの男の、残りの寿命は、あと5年ほどしかないしな! その間は彼女
との時間を楽しむがいい!』
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