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71、万年樹の島 〜人気アイドル?

「それって、種族の特性じゃない?」


「えっ?」


 ミカトに言われて種族名を確認すると、ハーフフェアリーだったのが、フェアリーになってる。


 あー、幼女が言ってたのは、これなんだ。半人前だけど半人前じゃないって……。


「そっか、見てなかった。でも顔は人間の顔なのに。これって隠れスキルを使ったからかな?」


「うん、そうだろうね。しかしリントの魔力、半端ないね。レベル上げておいてよかったな。じゃないと、体力……」


 笑いをこらえながらも、一応俺を励まそうとしてくれているのかな。いや、ミカト、完全に笑ってるよ。


 いいけど、別に。体力がないのは妖精だから仕方ないんだ。人間とは違う。でも、人間の姿なんだよねー。



「まぁ、また、レベルが上げれば少しは上がると思うよ。万年樹のダンジョン、5階層クリアして、どんどん先に進もうぜ」


「うん、そうだね。スイトを起こしに行こうよ」



 コンコン


「リント、起きてるかー?」


「起きてるよ。噂をすれば、登場だねー。スイトってエスパーじゃないの?」


 タイミングよく、スイトが来た。珍しく慌てている。


「リント、昨日助けた中に、アイドルがいたらしいぜ。さっき、食堂が大騒ぎになってた」


「うん? もう朝食食べたの? ミカトが知らせに来て、いま、一緒にテレビ見たよ」


「そうか。いや、まだ食ってないけど」


「じゃ、一緒に食べよう」


 俺が立ち上がると、スイトは、なんか笑ってる。


「ふっ、おまえら、着替えて少しは身なりを整えろよ? クラスメイトの女子二人が泊まってるのを忘れてるだろ」


「あー、もう二人は起きてるの?」


「食堂にいるぜ。きのこちゃんと騒いでる」


 幼女もいるのか……。じゃあ、きちんとしておかないと、またぶつくさ言われそうだな。


「じゃあ、10分後に食堂な」




 俺は着替えて、食堂へ向かった。なんだよ、他の王子もいるじゃないか。彼らは、賑やかに喋っている。


「リント、おまえ、なんかやらかしたらしいな」


(一番会いたくない奴だな)


「バナト、おはよう。別にやらかしたわけじゃないよ」


 中村さんが俺に気づいた。でも、フイッと視線を逸らされた。まただよ。何? 俺、何かした?


「あ、リントくん、おはよう。昨日はありがとうね」


「早瀬さん、おはよう。中村さんもおはよう」


「おはよう」


 うん、返事はしてくれるんだ。


「青空くんって10人もいるんだね。みんな、イケメンばかりで、びっくりしたよ」


「そうなのかな? 俺、人間のイケメンがよくわからない」


「あ、そっか、感覚がハーフフェアリーって言ってたっけ」


「うん、まぁね」


 早瀬さんは、いつもよりもよく喋る。中村さんが無口になってるから、気を遣ってフォローしてるのかもしれないな。


「そうそう、昨日、救出した人達の中に、如月 賢太がいたんだよ。さっき、テレビで見て驚いたよ〜」


「ミカトが知らせに来て、俺も見たよ。名前はわからなかったけど、有名なの?」


「うん、人気アイドルグループの一人だよ。番組ロケ中に謎の失踪でねー、すごい騒ぎになってたんだ〜。また会えるかなー」


「ふぅん、そっか。うーん、どうかな?」


 早瀬さんと話してると、ミカトとスイトがほぼ同時に食堂に入ってきた。ミカトが来ると、早瀬さんの態度は一気に変わった。わかりやすいよね。アイドル話をやめたんだ。




 俺達は、少し離れた席で朝食を食べた。すると、幼女が近寄ってきた。せっかくわざわざ離れたのに。


「みんな、おはよう。よく眠れたー?」


「はい、あ、いや、どうかな」


「そうだ、きのこちゃん教えて。リントのステイタスなんだけど、種族が本当の種族になってて、体力や物理攻撃力が下がったんだ。どうして?」


「ミカトくん、それは、半人前が隠れスキルを使ったからだよ。だから、地上の妖精の地位を得ちゃって、その種族補正がかかったんだよ」


「そっか、やっぱり。リント、レベル上げしておいて良かったな。レベル低い状態で、体力下がったら大変だったじゃん」


「ん? ミカトくん、それ、違うよー。たかだかレベル1,000程度で隠れスキルを使うなんてバカなんだよ〜」


(ちょ、なぜ、俺のレベルを知ってるわけ?)


「あれ? きのこちゃん、リントのレベルを知ってるの?」


「知らないけど、隠れスキルは、レベル1,000を超えないと使えないの。普通ならレベルMAXまで使わないんだよ」


「ん? どうして?」


「半人前が使った隠れスキルは、魔力をかなり消費し続けるの。だから、すごく負荷がかかる。下手すりゃ何もしなくても、魔力切れになって倒れるかもしれない」


(えっ……スキルはそんなこと言ってなかったよ)


「じゃあ、大変じゃん、リント。魔力回復薬を買わなきゃ。あっ、万能薬があるよね。焦った〜」


「何本か持ってるよ。4本かな?」


「じゃあ、4日分しかないのね。下手すると、2日分かもね」


「えーっ?」


 幼女がこわいことを言ってる。そうか、眷属けんぞく化の隠れスキル、何かデメリットがあるとは予想してたんだよね。


「半人前、ステイタス、見せてみなさいよ」


「えーっ、やだよ」


「知らないわよ? 4本だけしかないんでしょ? 必要なら、あたしが売ってあげてもいいよ。アイテム屋だもん」


 あ、そっか。確かに、幼女は、初心者向けの買取屋を経営してるんだったよね。


 俺は、いやいやながら、幼女にステイタスを見せた。彼女は、無言だった。いや、小さく舌打ちが聞こえた。


「それなら、日常生活で魔力切れで倒れることはないよ。しかし、いびつな成長してるわねー」


 何がいびつなのかはわからない。でも、日常生活は大丈夫だと言ったけど、それだけなんだ。普通に大丈夫なわけじゃない。


 魔力を使うときは、今までよりも残量に気をつけなきゃいけないんだ。


「一日に、眷属にどれくらい魔力を使うことになるの?」


「そうね、今なら一人あたり100くらいかしら。何人いたっけ?」


「確か186人……18,600くらいか。わかったよ、ありがとう。それくらいは残しておくように気をつける」


「彼らの石のタンクが満タンになれば、必要量は減るけど」


「あ、額の石? あそこに溜めるんだ」


「そうよ。タイムトラベルするときは気をつけなさい。数十年以上離れると供給できないから、ストックがなくなると彼らは倒れるよ」


「わ、わかった。気をつける」




「じゃあ、リント、ミカト、今日はダンジョン行こうぜ。万能薬を集めよう」


「スイト、俺も誘うつもりだったんだよ。5階層クリアしなきゃ」


「よし、じゃあ、三人で行こうよ。やっほーい」



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