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70、万年樹の島 〜テレビに出てる! レベル1020

「おやおや、可愛らしいお嬢さんがお二人も。ようこそ、いらっしゃいました」


 屋敷に着くと、まんじゅ爺がにこやかに出迎えてくれた。なんだか、勘違いしているみたいだけど、来客が嬉しいのかな?


「彼らのクラスメイトみたいだよー。まんじゅ爺、食堂時間外だけど、晩ごはんの用意してあげて。あたしはお茶だけでいいから」


「きのこさん、はい、かしこまりました。では、皆さん、こちらへどうぞ」



 俺達は、屋敷に入っていった。


 中村さんと早瀬さんには、ミカトが説明していた。俺達も住んでいることや、まんじゅ爺が、この屋敷で世話をしてくれる人だということ、そして、まんじゅ爺も、もともと妖精だということを話している。


 二人とも、なんだか緊張しているみたい。幼女がいきなり連れてきたからだよね。二人の家の人が心配するんじゃないのかな。



 俺達は、食堂で、遅い晩ごはんを食べた。


「なんか、不思議だね」


 中村さんが、俺に話しかけてきた。


「うん? 何が?」


「いろいろなことだよ。頭の中の整理がつかない」


「あー、そうだよね。俺もちょっと困ってる」


「でも、リントくんは一番頼りないのに、一番なんか……」


 何? 俺、中村さんに説教されるのかな? 言葉の途中で、話すのをやめられると気になる。


「一番、何?」


「それは、言わない」


 そう言うと、彼女はフイッと視線を逸らした。何? 俺、中村さんに、何かしたっけ? 

 あっ、仲のいい人を眷属けんぞくにしたから怒ってる? でも、あれは仕方ないんだけど。



 晩ごはんのあと、二人は幼女に連れられて先に出ていった。やはり、いろいろと、話をしておくんだろうな。


「じゃ、俺達も寝るかー。さすがに疲れたよな」


「スイト、そうだね。明日は休みだし、ゆっくり寝よう」


 俺達も解散し、それぞれの自室に戻った。





 コンコン!


「おーい、リント、起きてる?」


 翌朝、ミカトが俺の部屋にやってきた。昨夜は、ゆっくり寝るって言ってなかったっけ?


「ミカト、早いね」


「ちょっとテレビ見てよ。びっくりしてパジャマだけど、飛び出して来たよ」


 そういえば、ミカトはTシャツに短パンだ。そして、俺の部屋のテレビをつけた。


(えっ……)


 テレビ画面には、額に赤い石のついた人が映っていた。ちょ、俺の眷属じゃない? テロップで、『三年前に失踪して生還』って出てる。


「ミカト、これって、昨日の人のひとり?」


「うん、そうみたい。あの人は、芸能人らしいよ。失踪と生還の説明をしてる。三年間、時が止まったみたいに、姿が変わってないんだって。今から、経緯の説明じゃないかな」


「へぇ……」


 失踪と生還だけでも騒ぎになるのに、姿が変わってないのは、怖いよね。


 ミカトと一緒にテレビを見ていると、彼が、上手く隠しながら話していることがわかった。たぶん、こう説明するようにと、スキルが仕組んだのだと察した。



 失踪は、とある神社の祭りに、番組のロケで行ったときに起こったらしい。何かの声に誘われて、気がついたら見知らぬ場所にいたという。


 そして、迷い込んだのは、魔物が暴れる非常に危険な場所だったそうだ。出る方法がわからず、逃げきれずに殺されそうになったとき、精霊らしき声が聞こえたらしい。

 その後は、ずっと精霊か何かに守られて眠っていたようだと話していた。


 生還は、その魔物が暴れる場所を制圧に来た冒険者が、魔物を追い払ったことで、止まっていた時が流れ始めたと説明している。


 そして、その何かの力で、自宅へ転移させてもらったのだと話した。



「眷属の話はしてないみたいだね」


「うん、でも、額に赤い石をつけてるから、おかしいって思わないのかな?」


「うん? 額の石は隠してあるじゃん。魔力を流せば隠れるって、昨日きのこちゃんが説明してたし」


「えっ? 隠れてる?」


「リントには見えてるの?」


「うん、普通に昨日のままだよ? めちゃくちゃ目立つよ」



 すると、リポーターみたいな人が彼に質問した。


『その額についている石は何ですか?』


 へぇ、やっぱ見えるんじゃない。あっ、人間には見えないって言ってたっけ。あのリポーターは、人間じゃないのか。


『貴方には、何か見えるのですか?』


 彼はそう聞き返していた。随分と落ち着いている。


『赤い石が見えますよ。一説によると、一部の種族は奴隷には印をつけるようですね』


 うわぁ、このリポーター、わかってて聞いてるんだ。何をしたいんだろ。あばきたいのかな?


 彼は、目線を下に下げて、モニターか何かを確認しているようだ。


『僕には、何も見えませんけど?』


『その助けられたという精霊か何かに、乗っ取られてるんじゃないですか? 呪いの類かもしれませんよ』


 少し、間が空いた。彼はフッと笑った。


『呪い? 僕を乗っ取って、誰かが得をするんですか? あはは、そんな非科学的なものは、僕は信じてません』


 すると、司会の人が、彼を擁護するようなことを言って、番組は終了した。



「なんか、大変そうだね」


「俺のせいかな……」


「リントは、彼らを助けたんだから、気にしなくていいと思う。みんな、元の生活に戻るのは、ちょっと大変だろうね」


「うん、長い間、失踪してた人は特に大変だよね」


「そういえば、リントは、半人前なのに半人前じゃないとか、きのこちゃんが言ってたよね?」


「あー、あれ、意味不明だったよ」


「ステイタス見た? めちゃくちゃレベル上がってるよ」


「いや、見てない。じゃあ、見てみるよ」




【名前】 青空 林斗 (あおぞら りんと)

【レベル】 1020

【種族】 フェアリー


【体力:HP】 15,100

【魔力:MP】 48,700


【物理攻撃力】 14,800

【物理防御力】 26,,300


【魔法攻撃力】 48,500

【魔法防御力】 25,800


【回復魔法力】 25,200

【補助魔法力】 34,600


【速さ】 15,300

【回避】 27,300

【運】 391


【その他】 精霊の使徒 (Lv.2)、隠れスキル (Lv.1)


【指輪情報】

 ①万年樹……ランク40、第4階層クリア

 ②たまゆら千年樹……ランク100、全階層クリア




「うわぁ〜!!」


「な、何? リント」


「めちゃくちゃ下がってる! 体力2万超えてたのに。物理攻撃力も15,000超えてたのにー」


 俺が叫ぶと、ミカトが俺のステイタスを覗いた。


「なっ? レベル1,000超えてるじゃん。ってか、魔法関係、ヤバくない?」


「めちゃくちゃ上がってる! どうして? いや、それより、なんで下がるんだよ〜」


(やばい……ショックがデカすぎる)



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