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65、氏神様の神社 〜決着、しかし……

 カルデラは、きっと怒ってる。


 俺は、頭がチリチリしてきた。カルデラは、どこにいるか見えない。でも、きっとすごい睨まれてる。殺気のようなものを感じ、俺は緊張でおかしくなりそうだった。


 フェニックスが飛び回っているけど、全く奴の影が見えなくなってる。そのことが、余計に俺の緊張感を高めていた。


 いま、見えるのは、ミカトがスイトの助っ人に入ったことで、パララカが警戒したらしいことだけだ。


 ループ・ドールは、一ヶ所に集まっている。完全にビビっている状態だ。



『敵情報は、どうなってる?』



【ループ・ドール】

 残り5体、状態:おびえ


【パララカ】

 体力残89%、状態:歓喜


【カルデラ】

 体力残97%、状態:不明



 えっ……パララカ、喜んでるの? 体力は、ほとんど減っていない。それに、カルデラもほとんど減っていない。俺の魔法攻撃では2%しか減ってないよ。



 ゾゾっと嫌な寒気を感じると同時に、すぐ足元に熱線で焼かれたような焼け跡ができた。


 きっと、奴の攻撃が直撃したんだ。でも、バリアが弾いた。俺は、心臓がバクバクした。でも、見えない奴の相手は、俺にしかできない。


 一撃で2%減らせるなら、50連射すればいいんだ。



『属性ランダム、50連射準備、ターゲティング、カルデラ』


【連射準備完了しました】


 俺の身体が魔力で強く光った。


 ん? 悪寒が消えた。


【ターゲットを見失いました】



『敵情報は?』



【ループ・ドール】

 残り5体、状態:おびえ


【パララカ】

 体力残89%、状態:歓喜



『カルデラが消えてる。逃げたのかな』


『はい、転移魔法陣が消滅しました。ここと繋がる場所に逃げたようです』


『パララカは、置いていかれたんだ』


『はい、パララカは、おそらく魔法より魔剣の方が効くと考えられます。剣を二刀流にしてください。属性を重ねて発動できます』


『わかった。よろしく』


【チャージ・オールを発動しますか】


『イエス』


 いつの間にか、腰にはもう一本、剣がぶら下がっていた。俺はそれを抜き、左右両方の手に剣を持った。


 右手の剣には火魔法と雷魔法、左手の剣には水魔法と風魔法が付与されていた。



 俺はミカトとスイトのそばに移動した。


「俺も加勢するよ」


「リント、斬れないんだよ」


 俺はミカトの剣に右手を近づけた。すると、ミカトの剣は火魔法と雷魔法をまとった。さらに、スイトの剣には左手を近づけた。スイトの剣は水魔法と風魔法をまとった。


「リント、これ、維持するのに魔力がガツンと取られるよー」


「一気に片付けよう!」


「わかった。俺も長くは維持できない。ミカト、いくぞ」


 俺が奴をひきつけた隙に、二人は一気にパララカに斬りかかった。


 ミカトは、奴の左胴を斬り裂いた。


 バリバリバリ!


 スイトは、奴の足を斬り、奴は体勢を崩した。


 ガドドド〜ン!



 攻撃はかなり効いているように見えた。俺は、高く跳躍した。そして、ミカトとスイトが離れた瞬間を狙って、奴の頭に二本の剣を突き立てた。


 バキバキバリバキ!


 俺は、剣から手を離し、二人を手で制した。スイトとミカトは俺の意図がわかったらしく、パッと離れた。


『重力魔法、グラビティ!』


 俺の両手から黒いイナズマが、奴の頭に刺さった剣に向かって放たれた。


 チュドーン!!!


 奴は、まるで自爆したかのように、派手に爆発した。


「うぎゃ」


 俺達は、その風圧で、ボス部屋の壁に叩きつけられた。飛び回っていたフェニックスも、石の壁に当たって消滅した。



「大丈夫? ミカト、スイト」


「リントのバリアがあるから大丈夫だったよ。びっくりした」


「俺も問題ない。今のは自爆か?」


「いや、たぶん俺が重力魔法を使ったから……爆発したかも」


「えー、あ、見えない奴らは?」


「一体は逃げたみたい。ちょっと確認するね」



『敵情報を出して』


『この部屋にはいません』


『あれ? なんちゃらドールは?』


『先程の爆発で消失しました』


『そっか、わかった』



 俺は、落ちていた剣二本を拾い、鞘におさめた。


「もう、敵は居ないよ」


「そうか。しかし、転移魔法陣が現れないよな。壊れているんだっけ。石室の扉も開かないけど」


「スイト、中から開けられないの? 閉じ込められた?」


「リント、焦るな。仕掛けがあるはずだからちょっと待て」


 スイトは、あちこちを調べ始めた。ミカトは、ポーションを飲んでいた。かなり消耗したよね。二人とも怪我はないみたいだ。というか、ポーションを飲んで治したんだろうな。



『万年樹の精霊の使徒、終わったかの?』


 この声は、腐木の精霊かな。


『はい、出口がないんですけど』


『わしが封じておるからの』


『開けてもらえます?』


『嫌じゃ』


『はい? どうしてですか?』


『一匹、逃したじゃろ。追いかけて倒すのじゃ』


『無理ですよ。転移魔法陣は消滅しましたから』


『なぬ? おまえが壊したのか。さっき、酷い爆発があったが』


『奴はその前に逃げてますよ。向こうから壊したみたいですよ』


『なんじゃ。それならよいのじゃ』



 ガラガラガラ



 石室の入り口が開いた。



「あっ、開いた。リントが何かしたの?」


「腐木の精霊が封じていたみたい。逃げた奴の確認をしてきたよ。転移魔法陣を奴が壊したと言ったら、それならよいのじゃ、だって」


「なんだ。用心深いな」



 俺達が石室から出ると、人面樹になっていた木から湯気のようなものが出ていた。臭い。硫黄のような臭いがする。


 木は、だんだん腐って朽ち果てるように溶けていった。そして、中に入っていた人が、その場に倒れていた。


「万年樹の精霊の使徒、わしは帰るのじゃ。後片付けは、たまゆらにやらせればよい。逃した魔物は、人間の魂を喰って強くなるぞ。捜し出して始末せねば、取り返しのつかぬことになるのじゃ」


「そう言われても……」


「ダンジョン内で倒せなかったのは痛かったのぅ。外では、そのスキルは使えんじゃろ。せいぜい気をつけることじゃ。外で、奴の方から襲ってくるやもしれんからな」


「えっ……」


「じゃ」


 そう言うと、爺ちゃんはスーッと消えた。



「リント、中村さんと早瀬さんを助けなきゃ」


「うん、行こう」


 俺達は、二人が人面樹に変えられた場所へ走っていった。でも、二人は居ない。キョロキョロと辺りを見渡すと、この階の入り口近くに居た。


 でも、二人の様子はおかしい。


「中村さん、早瀬さん、大丈夫?」


 ミカトが声をかけると早瀬さんが振り返った。だが、その表情は暗い。そして、中村さんが、肩を震わせて泣いていた。彼女達の奥には、腐った臭いを放つ何かがあった。



昨日は、更新できず、ごめんなさい。

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